連載:ついにやって来た!大規模修繕

【第5回】修繕費用が足りない!

2020.10.06
【第5回】修繕費用が足りない!

大規模修繕を控えた皆さんに向け、修繕工事までの道のりを説明していくこの連載。今回は、工事費を用意できないときの対処法や修繕費用を圧縮する方法などについて解説していきます!

修繕積立金が不足する原因は積立方式にアリ!

多くの管理組合で悩みの種となっている、修繕積立金の不足。その大きな原因のひとつが、積立方式にあることはご存じでしょうか。

新築マンションでは基本的に「段階増額積立方式」といって、一定期間ごとに修繕積立金が増額していく方式を採用しています。そのため販売当初は修繕積立金の額が低く設定されており、長期修繕計画にもとづいて大規模修繕を行うためには、一定周期で値上げを行うのが一般的です。

段階的に増額していくとなると、本来は理事会などを中心に修繕積立金の値上げを実施する必要があります。しかし値上げを行うには、総会を通じて住民から承認を得なければなりません。そのため値上げに反対されたり、そもそも理事会が値上げに消極的だったりすると、当初予定したように段階的な増額を実施できないケースもあるのです。

前述した「段階増額積立方式」のほかには、大規模修繕を実施するまでの期間中、毎月負担する修繕積立金を一定の金額に保つ「均等積立方式」もあります。均等積立方式を一度、採用すれば、段階増額積立方式のように一定周期で修繕積立金の値上げを実施する必要もありません。

ただ、将来の大規模修繕にかかる費用を正確に予測するために、長期修繕計画を見直すなどの手間がかかります。また一度に値上げする分、金額も高額になるため、目先の負担増に反対する住民を説得するなどの労力もかかるでしょう。

なお、修繕積立金については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

修繕費用が用意できないときの対処法とは?

では修繕積立金の値上げが実施できず、大規模修繕間近になって修繕費用が足りない場合、どういった対策を取れば良いのか。以降で、対処法を4つ紹介していきます。

【対処法1】修繕工事を分割する

対処法の1つ目は「今回は外壁塗装だけ行う」など、どうしても必要な工事だけを実施し、そのほかは数年後に先送りする方法です。「分割」の仕方を工夫することで、限られた予算でも質の高い工事を実践できる可能性があります。

分割の仕方としては、まず「足場の有無」で考える方法があげられます。どういうことかというと、足場の設置が必要な外壁の塗装や修復のみをまとめて実施してしまうわけです。そして、非常階段や廊下、構内舗装など足場の設置が必要ない工事はその次に回します。

国土交通省が2017年に行った調査によると、大規模修繕で発生する全工事金額の内訳のうち、足場の設置を含む仮設工事の割合は19.2%となっています。つまり工事のたびに足場を設置していると、全修繕費のうち約2割という決して安くない費用が毎回かかってしまうため、まとめて工事を行ったほうが良いといえるでしょう。

さらに、棟単位で分割する方法もあります。例えばA〜Cなど複数棟からなるマンションであれば、すべての棟で同時に修繕を実施するのではなく「今年はA棟」「来年はB棟」といったかたちで工期を分散する方法も検討しましょう。

【対処法2】借り入れによる資金調達

対象法の2つ目は、金融機関から修繕費用の不足分を融資してもらう方法です。代表的な商品としては、住宅支援機構が提供する「マンション共用部分リフォーム融資」などがあります。このローンは屋上防水や外壁塗装工事など、共用部分の修繕工事費用が対象となっています。

ただ、借入金を返済していく必要があるため、いずれにせよどこかのタイミングで修繕積立金を増額しなければなりません。また別途、金利などがかかることも考慮しておきましょう。

【対処法3】一時金を納めてもらう

対処法の3つ目は、修繕費用の不足分を一時金として住民全員に補ってもらう方法です。借り入れなどと比べると金利や手数料は発生しませんし、工事箇所を削らなくても済むかもしれません。

ただ実行するには総会などで区分所有者の賛成が必要になるなど、住民の合意形成が難しく、安易に頼りにくい方法といえます。

【対処法4】修繕費用が貯まるまで工事を延期する

管理組合によっては、大規模修繕の工事そのものを延期するケースもあります。対象法2・3と比べると余分な金銭的負担が発生しないように思いますが、延期している間にも建物の劣化は進んでいきます。

その結果、いざ大規模修繕を行う時期になったら想像以上に修繕費用が高くなってしまう可能性も頭に入れておきましょう。

対処法はあくまでも応急処置! 国交省の基準に沿って積み立てよう!

ここまで紹介してきた修繕費用不足時の対処法は、あくまでも応急処置です。「工事費用が足りない」という事態を避けるためにも、やはり日頃から適正な金額の修繕積立金を積み立てていくべきでしょう。

なお国土交通省では「長期修繕計画作成ガイドライン」に沿って作成された長期修繕計画の84事例をもとに、専有部分1㎡当たりの修繕積立金の目安を算出してくれています。

金額の目安については、以下のように建物の階数や延べ床面積(各階の床面積の合計)によって異なります。

・延べ床面積5000㎡未満:218円/㎡・月
・延べ床面積5000㎡〜1万㎡未満:202円/㎡・月
・延べ床面積1万㎡以上:178円/㎡・月
・20階建て以上:206円/㎡・月

修繕にかかる工事費は当然、建物の規模や築年数、長期修繕計画の立て方などによって変わります。ただ、基本的には長期修繕計画作成ガイドラインをもとに算出した金額を積み立てていきましょう。

以上、工事費を用意できないときの対処法を中心に紹介してきました。次回は「『修繕』から『改修』へ」をテーマに、原状回復を超えた付加価値のある修繕について解説していきます!

イラスト:平松 慶

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この連載について

【連載】ついにやって来た!大規模修繕

約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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