大規模修繕

現場代理人は工事の司令塔! 必要な資格や現場監督との違いを解説

2020.03.16
現場代理人は工事の司令塔! 必要な資格や現場監督との違いを解説

建物の修繕や建設にあたって、主に職人をまとめる役割を担う現場代理人。具体的には、どんな業務を行うのか。似ていると言われる主任技術者などとも比較しながら、その役割を紹介していきます。

現場代理人は工事現場を監督する司令塔

現場代理人をひと言で表現すると、建築現場の“司令塔”。建設業者(請負人)の代理人として、工事期間中は工事現場に常駐し、請負契約通りに工事が行われているかを監督しながら取り仕切ることが主な仕事です。

注文者や下請業者と打ち合わせをして、施工上必要な安全管理や工程管理なども行います。工事中は契約内容の変更など予期せぬ事態が起こることもゼロではありません。現場代理人は会社代表者の代理人としてそこですぐに対処できるように、責任を持って管理・監督する立場にあります。

実際にトラブルが発生した場合、現場代理人に施工に関するある程度の専門的知識や経験がなければ、問題解決へ向けた適切な指示を出すことができません。また現場のチームから知識がないことで信頼を得られず、統制機能に支障をきたす恐れもあります。そのため、工事現場によっては主任技術者や監理技術者と現場代理人を兼務するケースも多くあります。

ちなみに建築業法では現場代理人を工事現場に設置することは義務付けられていません。しかし昨今の慣習では、請負契約の条件として設置義務が盛り込まれるのが一般的です。なお公共工事では公共工事標準請負契約約款によって現場代理人を選任し、常駐させることが義務付けられています。

また、工事が長期化または延長した場合には現場代理人が途中で交代する可能性はありますが、退職や病気といったやむを得ない事情がない限り、原則として変更はできません。

現場代理人になるための資格は不要

現場代理人になるために特定の資格は必要ありません。請負人(会社代表者)が自由に選任することができ、多くの場合は雇用関係のある自社の社員が任命されます。

とはいえ、現場は複数の作業員が連携して業務を進めていきますから、彼らとの良好な関係を築くためのコミュニケーション力や迅速な判断力、トラブルへの対応力などが求められます。

ほかには、事故や遅延がないように進捗を管理するガバナンス力、契約内容や工事代金に関する適切な知識も必要です。

主任技術者・監理技術者・現場監督との違い

現場代理人とよく似た立場に「主任技術者」や「監理技術者」、「現場監督」があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

主任技術者・監理技術者・現場監督との違い

それぞれの立場について詳しくみていきましょう。

「主任技術者」には資格が必要

安全管理や工程管理、代金の請求や各種交渉などを行う「現場代理人」に対し、施工計画の作成など技術的な管理を行い現場に指示を出すのが「主任技術者」です。

現場代理人は工事現場への配置義務が設けられていませんが、主任技術者は配置が義務づけられています

建また、設業法において主任技術者(現場監督)は学歴や実務経験によって定められた資格が必要ですが、現場代理人は不要です。

「監理技術者」

発注者から直接工事を請け負った建設業者が、そのうち4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上を下請負させる場合には、主任技術者の代わりに「監理技術者」を現場に配置します。

配置義務の要件が異なるだけで、業務内容はおおむね主任技術者と同様です。ただし、主任技術者よりも立場が上になるため、資格や実務経験などの条件が厳しくなります。

「現場監督」は統括者の呼び名にすぎない

法律上の定義はなく、一般的には主任技術者・監理技術者など、施工管理を担う立場の人を指します。

現場代理人と主任技術者の違い

現場代理人と主任技術者は資格の有無以外にも異なる役割があります。主任技術者の業務内容や、現場代理人との上下関係について解説します。

主任技術者の仕事は「工程管理」「品質管理」「技術上の指導・監督」まで幅広い

主任技術者は設計図書にもとづき、工事の施工計画を作成し、工事の進捗状況を管理して、決められた期日までに建物を完成させます。作業員は基本的に現場監督の指示に従って仕事を進めます。

そのために必要な工程管理や品質管理、技術上の指導・監督を行います。また同時に現場の安全を確保しなければなりません。例えるなら、オーケストラの指揮者のような存在です。権限が強く、各作業への指示を出して施工状況を確認していきます。

主任技術者になるためには、実務経験等に基づいた資格が必要です。建設工事を行うときには法律上、必ず現場監督を配置します。特定建設業者が元請として4000万円(建築一式工事の場合6000万円)以上を下請けに出す大規模工事のときは監理技術者、小規模工事のときは主任技術者を現場監督にすることができます。

現場代理人と主任技術者役職の上下関係は現場ごとに違う

現場代理人は請け負った建設会社の経営者代理として、工事全般に関する責任を負う立場にあります。そのため現場代理人にしか持てない権限があります。それは「請負代金額の変更、請求、受領」などお金に関するものです。

そのため、現場代理人は主任技術者より立場が上の役職として配置されることもあります。

現場代理人と主任技術者を兼務することも可能

現場代理人は、作業に関して作業員に的確な指示を出し、安全管理に配慮しながら発注者や下請け業者と打ち合わせを行います。これらの実務は主任技術者と重なる部分も少なくありません。

冒頭で説明したように、現場代理人の常駐には法的な義務はありませんが、主任技術者と同様、原則として工事現場に常駐する必要があります。そのため、他の工事現場を重複して監督することはできません。

こうした事情から、工事の発注者が現場代理人と主任技術者を兼務しても支障がないと認めたときは、二つの役職を一人で兼務することができます。

工事全般の知識と経験が要求される役職こそ現場代理人

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工事がスケジュール通り円滑に進むように、取り仕切る現場代理人。特定の保有資格は求められていないとはいえ、建設や工事全般の正しい知識と経験が要求される、非常に重要な役職だといえます。

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