自治会の総会に参加できない……「委任状」作成時の注意点とは?
自治会の総会に出席できないときに必要となる委任状。委任状のフォーマットは自治会が用意していることも多く、日付や捺印、押印などのポイントを押さえれば簡単に作成することが可能です。
そんな委任状について今回は、書き方や人に託すときのポイントについて紹介していきます。
自分の意思を託す委任状は人選が大事!
自治会の総会に出席できない場合、議決権を代理人に委任するため、委任状を提出することになります。議長に一任したり、議題について賛成・反対の意思表示を行ったりする場合、自治会の委任状フォーマットに沿って提出することになるでしょう。
委任状を託す相手が代理人として議決権を持つため、人選は慎重に行わなければなりません。委任した時点で、自分の意思とは異なっていても代理人の意見が尊重されてしまうためです。
委任状を提出しないといけない理由って?
総会を成立させるためには「定足数」が必要です。定足数とは総会を行うために必要な最低出席者数のこと。自治会の規約に「全会員の3分の2以上の出席が必要」などと定められています。
この定足数は実際に出席した人だけでなく、委任状の提出者も含まれます。つまり、総会を成立させるためには、出席者と委任状を合わせた数が定足数を超える必要があるのです。そのため欠席する場合でも、定足数を満たすために委任状の提出が求められるのです。
委任状を書くときのポイントとは?
委任状の書き方について触れる前に、以下でフォーマットを紹介します。
(委任状例)
令和○年○月○日
委任状
○○自治会 ○○会長殿
(本人) 住所
氏名
本総会に出席できませんので、議決に関する権限を下記代理人に委任します。
記
(代理人) 住所
氏名
代理人が空欄の場合は、議長に一任したものとして扱います。
以上
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このフォーマットを踏まえたうえで、書き方のポイントを見ていきましょう。
【ポイント1】日付は委任状を書いた日
委任状に記載する日付は、委任状を書いた日に設定しておきましょう。総会が開催される日を記入しても問題はないのですが、委任状を書いた日を記載しておけば前倒しで総会が開かれることになった場合でも、効力を失うことはありません。
【ポイント2】署名だけでなく押印も行う
何か法的に決まっているわけではありませんが、委任状についても署名した後に念のため捺印しておきましょう。第三者に、その委任状が有効であることを証明できます。
【ポイント3】本人確認のための生年月日や電話番号も記載
マンションなど集合住宅に住んでいる方は、部屋番号まで記入しましょう。本人確認のために生年月日・電話番号なども書いておくと、万が一記入漏れがあったときに連絡してもらいやすくなります。
【ポイント4】特定の代理人がいない場合は会長の氏名を記載
代理人として特定の人がいない場合、会長・議長などの氏名を記入しておくのが無難です。ちなみに委任状のなかには「代理人の記入のない委任状は、議長への委任とします。」などと書かれている場合もあります。
こんな委任状は有効か?
以降では参考までに、有効かどうかを判断しずらい委任状例について紹介していきます。
【ケース1】捺印がない!
結論から言うと、署名があれば捺印は不要となります。民事訴訟法228条4項には「私文書は本人またはその代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと推定する」とあるためです。
ただ、法律上の問題はなくとも、署名の場合でも念のため捺印してもらったほうが良いでしょう。これは、署名がある場合でも捺印が必要と思っている方が総会開催者のなかにいる可能性があるためです。後で、文書の有効性についてのトラブルを防ぐ意味でも、捺印を行いましょう。
【ケース2】一部が空欄
受任者の氏名や受任内容などの一部が空欄のままの委任状のことを「白紙委任状」といいます。白紙委任状も有効で、提出を受けた会長や理事長などの管理者に、受任者の選択や賛否の意見などについて、すべてを任せると判断して問題ありません。
ただ、記載漏れの可能性も考えられます。時間的に余裕があるのなら、念のため本人に確認した上で処理すると良いでしょう。
委任状はあくまでも代理人に意思を託す行為
委任状は自分の議決権と意思を代理人に託すためのものです。最終的には託された代理人の意見が尊重されるため、人選を慎重に行う必要があるでしょう。
また、定足数の確保といった総会の開催有無にも関わってくるため、出席しなくともできるだけ提出したいところ。委任状作成時は、法的な問題があるわけではないものの、有効性を示すために署名だけでなく捺印も行いましょう。