連載:ついにやって来た!大規模修繕

大規模修繕工事スタート!

2020.10.02
大規模修繕工事スタート!

大規模修繕を控えた皆さんに向け、修繕工事までの道のりについて順を追って説明していくこの連載。前回は「施工会社を選ぶ」をテーマに、依頼方法や優良業者を選ぶポイントについて紹介してきました。

続く第4回目となる今回は、工事実施の決議を通すところから着工・完了までの流れを解説していきます!

まずは臨時総会を開催して工事の承認を得る!

大規模修繕を依頼する施工会社やスケジュールが決まったら、臨時総会を開催し、工事の実施について承認を得る必要があります。臨時総会は基本的に理事長の権限において、いつでも招集可能。どの業者に依頼するのか、またいつ実施するのかなどの説明も踏まえて、管理組合員に工事の実施を承認してもらいましょう。

なかには修繕の実施について異を唱える人もいるかもしれませんが「マンションの若返りや〇〇年後でも快適に住める環境づくり」をテーマに、修繕積立金を有効活用する手段であることをアピールしましょう。

なお臨時総会で賛同してもらいやすいように、事前に掲示板や説明会などで都度状況報告を実施することも望ましいといえます。

工事期間中の生活への影響について説明する機会を設けよう!

総会で工事の実施が承認されたら、理事会や修繕委員会主導でマンション住民への説明会や掲示板などを通じた告知も行っていきましょう。

内容としては「〇月〇日から〇月〇日まで大規模修繕工事を実施します」というスケジュールの共有はもちろん、作業に必要な事務所や簡易トイレなどの仮設施設を、どの場所に設置するのかといった説明も必要となるでしょう。

また工事が始まると足場でマンションの周囲が覆われ、洗濯物が干しづらくなったり作業員が行き来したりすることで、生活に影響が生じる可能性もあります。外壁塗装の際には、ペンキ独特の臭いが洗濯物に付着してしまう恐れもあるでしょう。こういった生活に影響を与える旨も、施工会社やコンサルティング会社の担当者に説明してもらう機会を設けたほうが良いといえます。

工事は一方的に進むわけではない!

連載の第2回で、コンサルティング会社は大規模修繕工事が始まったら、工事が適正に行われているかどうかを第三者的に監理する役割も担うことを説明しました。

そのため工事が始まれば、施工会社の現場代理人とコンサルティング会社の担当者との間で、週1回程度「ここはもう少し○○していこう」といった具体的な話し合いを踏まえながら、進行していきます。

ちなみに現場代理人とは、建築現場の「司令塔」としての役割を果たす人物。施工会社の代理人として、工事期間中は現場に常駐(し、契約通りに工事が行われているかを監督しながら取り仕切ることが主な仕事です。

基本的にコンサルティング会社に依頼している場合は、修繕委員会などの担当者と現場代理人が直接やり取りする機会は早々ないでしょう。

とはいえ、コンサルティング会社に大規模修繕工事の進行をすべて任せっきりというわけにはいきません。

月に1回、コンサルティング会社の担当者に修繕委員会のミーティングに同席してもらうことで「ここはこうして欲しい」といった住民側の要望も伝えていきましょう。そしてコンサルティング会社は現場代理人と住民の仲介役となり、随時要望を伝えていくかたちで工事は進められていきます。

工事終了後は施行検査とアフター点検を!

大規模修繕は、工事が終われば完了というわけではありません。当初の修繕計画通りに工事が行われたかどうか、施工検査を行う必要もあります。施工検査については、コンサルティング会社が主導で行うのではなく、管理組合も立ち会い、問題がないか一緒に確認しましょう。

仮に問題があり、再工事や追加工事が必要な場合は、施工会社との交渉やスケジュール調整などを実施するケースもあります。放置しておくと、次回以降の大規模修繕のときに費用がかさむ可能性もあるため、可能な限り1回目で対応しましょう。

なお、問題がなければ理事会で確認を取り、工事完了の書類にサインをしてそのほかの必要書類も受け取ることになります。必要書類とは、例えば工事完了届はもちろん、図面や修繕箇所の写真など。これらは次回以降の大規模修繕で活かすことになるため、大切に保管しておきましょう。またコンサルティング会社や現場代理人との話し合いでまとめた議事録なども、保管しておくと安心です。

さらに、工事での修繕箇所に不備や悪影響が生じていないかを確認するアフター点検も、工事終了後となる1年・3年・7年という周期で実施しておきたいところ。特に防水回りの修繕は、しばらく経過した後に不備が顕在化することも多いため、重点的に点検しておきましょう。なおアフター点検については、大規模修繕の工事プランに含まれていることもあります。

またコンサルティング会社でも、アフターサポートサービスを実施しているケースも。施工会社が行うアフターサービス点検時にコンサルティング会社が立ち会い、管理組合の立場で建物をチェックするという内容です。このように修繕後もサポートしてくれるかどうかも、業者を選定する際のポイントといえそうですね。

今回お願いした施工会社やコンサルティング会社の対応に満足した場合は、次回以降もお願いすることになるため、関係性は良好に保っておきましょう。

そして施工検査を終え、問題がなければ最後に理事会で慰労会などを実施することで、住民の結束をさらに固めることも大切です。さらに2回目の大規模修繕に向けて、日常的に修繕箇所の定期点検なども行いながら状況を確認し、長期修繕計画の見直しなども実施していきましょう。

以上、大規模修繕の決議を通すところから、工事着工、そしてアフター点検までの流れを順を追って紹介してきました。続く次回は、工事費を用意できないときの対処法や修繕費用を圧縮する方法などについて解説していきます!

イラスト:平松 慶

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この連載について

【連載】ついにやって来た!大規模修繕

約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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