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管理組合の理事長を辞めさせるには? 4つの方法を紹介!

2021.12.10
管理組合の理事長を辞めさせるには? 4つの方法を紹介!

「理事長が組合員の意見を聞かず、独裁している……」「どうすれば辞めさせることができるの? 」

組合を私物化して独断で物事を進めてしまう理事長は、管理組合の運営に大きな支障をきたす恐れがあります。この記事では、そんな理事長を辞めさせる4つの方法を紹介します。

管理組合の理事長は辞めさせたほうがいい場合もある

不正を行う理事長は辞めさせるべき場合もある

マンション管理組合の理事長は組合の代表として、通常総会・臨時総会を招集できるなど大きな権限を持っています。

そのため、一人で何でも決めていいと思い込み、管理会社と癒着して独断で委託契約を結んでしまうなど、自分の都合で物事を進めてしまう場合があります。

その場合、まずは不正を指摘するべきですが、それでも意見を改めない理事長は役職を退いてもらう必要があるかもしれません。

そこで今回は、理事長を解任させる方法を解説していきます。

「解職」と「解任」の2通りの方式が存在

理事長の職位を解くには、「解職」と「解任」という2つの方式があります。両者には次のような違いがあります。

・解職:理事長職だけ辞めてもらい、通常の理事職は継続する

・解任:理事長職だけではなく、理事の職位からも退いてもらう

理事長が行った不正が軽微なもので合った場合、「解任」によって役員のポストまで剥奪してしまうことが、いささか乱暴である場合もあるかもしれません。

そのため「解職」の提案をしたほうが、理事長本人が猛烈に反発したり、他の組合員から疑義が唱えられたりする可能性は低いといえるでしょう。

「解職」と「解任」を行う具体的な方法を大別すると、次の4つに分類することができます。

マンション管理組合の理事長を解職・解任する4つの方法

【方法1】理事会で議決する(解職)

理事による議決で理事長を解職させることが可能

理事会での議決によって、理事長を「解職」させることが可能です。議決に要する賛成数が定まっていない場合、基本的には過半数での議決になります。解職された理事長は、通常の理事に戻ります。

これは2017年に最高裁判所で行われた、理事会による理事長解任の可否をめぐる裁判の判決によって、可能だと明確化された方法です。

判決の理由は、裁判の対象となった理事長が理事の互選により選任された人物であったため、反対に理事会での決議により理事長の職を解くこともできるというものでした。

そのため、この方法で理事長を辞めさせる場合は「理事の互選により理事長を選任する」と管理規約で定められているマンションである必要があるでしょう。

【方法2】組合員が招集する総会で議決する(解任)

総会で理事長の「解任」を議案とし、議決することで理事の職位そのものを解くことが可能となります。

総会の開催は基本的に理事長が行うものですが、他の組合員でも、組合員総数における5分の1以上の同意があれば理事長に開催の請求が可能です。

理事長は、請求から2週間以内に招集通知を送る必要がありますが、何らかの事情で送ることができない場合は、請求者が総会の招集をすることができます。

総会を招集する請求者は、通常なら理事長が行うはずの組合員名簿の確認、出席票・委任状・議決権行使書の徴収といった実務を、自ら担当しなければなりません。

なぜなら総会では理事長解任の可否が議案となるため、理事長が実務を自ら行うことは考えにくいからです。

そのため実務に慣れていない請求者は、理事長経験者など作業を行ったことがある人物に相談する必要があるでしょう。

【方法3】監事による臨時総会で決議をとる(解任)

監事は理事会や他の組合員の承認を得ることなく、総会の開催を理事長に請求できます。一般の組合員が招集する総会と同様に、理事長の「解任」を議案として決議することで、理事長を辞めさせられます。

ただし、請求は理事長の不正やその恐れがある行為を認めたときに限ります。

そのため、総会開催の根拠が不確かなまま招集してしまうと、開催議案や表現によっては中傷と捉えられ、理事長から提訴される恐れがあるので注意しましょう。

【方法4】裁判所に解任を訴える(解任)

区分所有法の第25条に基づき、理事長が違法行為をしていたり、精神異常といった職務を行うに適さない事情があったりする場合、理事長の「解任」を裁判所に請求することができます。

その後、裁判所で解任請求が妥当だと判断されれば、理事長を辞めさせることができます。

暴走する理事長はどうやって対策する?

【対策1】管理規約の変更

あらかじめ管理規約に解任の方法を明確に記しておく

マンション管理規約に「解任は理事会で過半数の賛成を得られたら決定するものとする」といった、具体的な方法を事前に明記しておくことをおすすめします。

なぜなら、あらかじめ解任方法が明確化されているので、解任の可否が決まった際に理事長や他の組合員が納得しやすく、もめ事が起きにくいからです。

なお、規約の改定には総会で4分の3以上の賛成が必要です。継続的に総会の参加率が一定数以上となるようにして、管理規約の改定を行う際に公平な議決ができるようにしましょう。

また、議案とする改定内容は具体的に定めておく必要があります。例えば、解任時には理事長となる人物がいなくなってしまうため、暫定的に副理事長が職務を行うとの補足事項の追記をしておくといったことが考えられます。

【対策2】総会などには積極的に参加

理事長が独断で物事を決めてしまうケースには「自分ががんばらないと、マンションの運営が立ち行かなくなる」といった熱意が原因である場合もあります。

このようなケースでは、理事長一人で案件を進めても他の役員が反対しない場合、理事長は周囲から承認が得られたと勘違いすることがあるのです。

そのため、組合員の一人一人がマンション管理に対する関心を持って積極的に総会や理事会に参加し、理事長の問題行動を指摘したり、説明を求めたりするようにしましょう。

まずは理事長に独裁させないことが重要

理事そのものを辞めてもらう「解任」は主に総会の議決によるものであり、それに対して通常の理事に戻す「解職」は理事会の議決で可能となります。

理事会による「解職」の方が理事長本人の抵抗も激しくなく、組合員の理解も得られやすいのでトラブルに発展する可能性は低いでしょう。総会を開催する煩雑な手続きも少なくおすすめです。

なお、辞めさせる場合に備えて、あらかじめ管理規約を改定して理事長職を解く方法を明確化しておくと、組合員の多くが納得する決め方が可能となります。

また、そもそも理事長を辞めさせる事態に発展させないことが重要です。日頃からマンション管理に興味をもって総会や理事会に出席し、独裁を行う理事長に意見を言えるようにしたいですね。

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