マンション管理規約を見直したい! 改正について解説
マンション管理規約は、管理組合にとっての大切なルールです。マンションでの暮らしや管理組合の活動における重要な指針ともなる管理規約ですが、必要な手続きをすれば内容の改正は可能です。この記事では、管理規約の改正について解説します。
マンションの生活にはルールが必要
マンションでは沢山の世帯が1つの建物に暮らしています。ライフスタイルが異なることも多いため、自分達にとっては当たり前の行動が実は他の人の迷惑になってしまう場合もあるものです。
住民同士の距離が近いマンションでは、音楽を聴く時の音量やベランダでの喫煙などが、トラブルの原因になりかねません。当然ながら、マンションでの生活は戸建ての持ち家に住む場合と比較して、より一層周囲への配慮が求められるといえます。
住民トラブルの発生を防ぎ、マンションの環境を維持していくためには、マンション管理規約の存在が重要です。管理規約とは、マンションで快適に生活するための設備の使用や管理の基本的な方法を定めたルールのようなもの。マンションを良好な住環境に保つために欠かせない存在です。
管理規約は管理組合が自ら作成します。規約で定められるのは「共有部分の範囲の定義と使用方法」「理事会の権限と義務」「管理組合の運営について」の3つの内容です。
「管理のやりかたなんて知らないのに、どうやって作ればいいの?」と不安に思う人もいるでしょう。そのような人も管理規約を作成するときには、国土交通省が規約の指針とするべく作成した「マンション標準管理規約」を参考にできるので、それほど心配する必要はありません。また、日常の管理業務を委託している管理会社や外部の専門家に、規約について相談するという選択肢もあります。
管理規約と混同されやすいのが「使用細則」です。管理規約は共用部分の使用方法や、理事会の権限などについての基礎的な内容を定めるのに対して、使用細則は管理規約よりも具体的で細かい内容についてルール付けします。
例えば、「ペットの飼育は可能である」と決めるのは管理規約で、「ペットを飼育するための管理組合への申請方法」を定めるのが使用細則といったイメージです。
管理規約と使用細則の関係は、管理規約はマンションにおける憲法で、使用細則は刑法や民法のような存在であるといわれています。
管理規約の改正には管理組合員の4分の3以上の賛成が必要
実際には法律ではないものの、管理規約には法的効力があります。マンションでのトラブルが裁判沙汰に発展した場合、管理規約に書かれている内容と照らして違反があれば、違反者は不利な状況に追い込まれるでしょう。
このように、マンションにとって非常に大きな存在である管理規約ですが、一度決めた後でも規約の改正は可能です。ただし、管理規約が改正されるとマンションに与える影響が大きいため、やすやすとは変更できないようになっています。
管理規約の改正には、総会で「区分所有者数の4分の3以上」かつ「議決権の4分の3以上」の賛成が求められる特別決議が必要です。議決権の過半数で成立する普通決議よりも改正のハードルが高い点に注意しましょう。一方で、使用細則は普通決議で変更可能です。
総会は年に1回の開催が必要ですが、緊急を要する場合は臨時総会を開催するという方法もあります。総会の開催には、招集通知の発送や委任状の回収などにかかる準備や、総会当日の参加者との意見交換などに大きな労力がともなう点も覚えておきましょう。
規約の内容はどれでも自由に変更できる訳ではなく、区分所有法が定める内容から変更できない「強行規定」と呼ばれるものもあります。具体的には「規約の変更に関わる決議要件」や「共用部分の持分と専有部分との分離処分禁止」等が該当します。
規約の内容が強行規定に反する場合は無効となるので、しっかり覚えておいてください。
改正内容のよくあるパターンを確認
長年マンションで暮らしていくと、時代の流れや住民の入れ替わりによって、それまでの管理規約が不適切になる場合があります。そのような時こそ、規約の改正を検討しましょう。
ここからは、管理規約の改正でよくある内容をみていきましょう。
理事会役員のルール変更
多くのマンションでは、理事会役員の任期や理事会の定数は管理規約で定められています。
「これまでは1年で全メンバーを入れ換えていたが、任期を2年にして1年ごとに理事会の半数が入れ替わるようにした方が引き継ぎの手間を削減できる」や「住民が増加して、対応しなければならない案件が増えたので、現状の理事会の人数では厳しい」といった理由で、理事会の運営改善を目指して規約を変更するパターンが考えられます。
新ルールの追加
修繕積立金や管理費を滞納する区分所有者がいる場合は、罰則を規定すると改善につながるかもしれません。滞納者に対して、違約金の支払いルールを規約に設定するのもひとつの手となるでしょう。
また、マンション内で民泊化や賃貸経営を希望する区分所有者が出た場合は、トラブルが発生しないように、禁止事項などのルールも規約で決めて明文化しておきましょう。
より良いマンションにするために規約改正は大切
今回はマンションの管理規約の改正について解説していきました。
特別決議が必要なので規約改正までのハードルは高いですが、マンションを今より住みやすい環境とするために改正が求められる場合もあるでしょう。
古くなり、もはや意味をなさない規約などは、前向きに改正を検討してください。
イラスト:大野文彰
この連載について
【連載】理事会役員超入門
マンションだからといって、購入後の管理はすべて管理会社にお任せ!というわけにはいきません。ほとんどのマンションにおいて、理事会の選考は立候補制ではなく、メンバーが入れ替わる輪番制。つまり、居住者誰もが理事会を担当する可能性が。というわけで本連載では、理事会役員になったらまず、これだけは知っておきたい!という超入門知識をご紹介。しっかり知識を身につけて、より良いマンションライフを送りましょう!
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