マンション管理は「管理会社に全部お任せ!」がダメな理由
マンションは購入して終わりではなく、資産価値を保つためにも継続して管理を行っていくことが大切になります。そこで連載2回目となる今回は、「マンション管理」について詳しく解説していきたいと思います。
管理組合はもちろん、管理会社やマンション管理士などの役割をもとに、マンション管理をどのように行っていくのか見ていきましょう!
マンションの管理業務は多岐にわたる
マンション管理と一口にいっても、その業務内容は多岐にわたります。例えば日常の清掃や設備の点検、建物の修理などはもちろん、管理費や修繕積立金などのお金の管理なども含まれます。
ただこういった業務の多くは、専門的な知識をともなうこともあるため、マンション管理のスペシャリストである「管理会社」に委託するケースがほとんど。基本的に多くの分譲マンションでは、購入時から契約されていた管理会社に業務の多くを任せているのが現状といえるでしょう。
マンションの管理を主導するのは誰?
管理会社がいるといっても、管理業務のすべてをお任せというわけにはいかないもの。マンションは「専有部分」と「共用部分」に分けられますが、そのうち専有部分は区分所有者(マンションの購入者)の持ち物にあたるスペースなので、管理は個々で行っていくことになります。
一方でエントランスホールやエレベーターなど入居者全員が使用する共用部分について、管理の実務を行うのは管理会社でも、当事者はあくまでも「管理組合」です。分譲マンションを購入した人は区分所有者と呼ばれる一方で、本人の希望に関わらず法律上は管理組合の「組合員」にもなるため、共用部分の管理についても責任を負う立場にあります。
管理業務を円滑に進めていくにあたっては、組合員の代表として「役員」も必要になります。役員は「理事会」を定期的に開催し、マンション管理に関する事柄についての話し合いを中心となって進めていく存在。そしてそこで話し合われた内容を、定期的に開催される組合員全員参加の総会で、議題としてあげます。
このようにマンションの管理は、管理組合、とくに組合員の代表者から構成される理事会が当事者として実施していくもの。管理会社はあくまでも実務をサポートするだけであって、管理全般を主導で行っていく存在ではないことも知っておきましょう。
理事会が担う役割とは?
組合員の代表者で構成される理事会について、その役割をもう少し詳しくみていきましょう。
マンション管理における重要な意志決定を担う機関
管理組合の業務を実質的に担当するのは理事会です。清掃などの実務については委託した管理会社が担当するケースがほとんどですが、修繕や改修によって発生する予算の承認のほか、住人のニーズに合わせて管理規約の変更を検討するなど、管理組合の頭脳ともいえる機関です。
理事会の構成メンバーは管理組合員のなかから立候補制や輪番制などによって決定され、理事長や副理事長、監事などの役職に分かれます。任期はおよそ2年で、再任も認められることがあります。一般的には月1回くらいのペースで会議を実施し、マンションの維持や管理、入居者の要望やトラブルなど、さまざまな事柄について話し合いを行っていきます。
理事会役員には各役職に応じて役割がある
理事会では理事長・副理事長・会計担当理事・監事といった役職が設けられており、当然ですが、それぞれの役割は異なります。管理組合の代表として、業務を統括するのが理事長の役目。例えば、理事会・総会における参加者の招集や寄せられた意見の取りまとめなどを行っていきます。
副理事長は、理事長のサポートはもちろん、業務の代行を行うこともあります。
会計担当理事は、管理組合の口座に入金された管理費などを管理し、必要な費用の支払いや通帳の保管などを担当。一年間の収入・支出をまとめた会計報告書を作成し、総会に提出します。最後に監事は、理事会での議決権はありませんが、管理組合の業務進捗状況や財産状況などを監査して総会で報告します。
管理員の仕事とは? マンション管理士とは?
管理という言葉だけ聞くと、身近な存在として「管理員」が思い浮かびます。管理員は契約している管理会社から派遣されることがほとんど。具体的な業務としては、エントランスでの受付対応のほか、管理会社からのお知らせを掲示板に掲示したり、共用部分の清掃を行ったりします。マンションによってお願いする項目は異なりますが、日常的に発生するような管理に関する実務の多くを担当する人といえるでしょう。
マンション管理士は知識面でサポートをする
一方で同じくマンション管理の手助けを行う「マンション管理士」は国家資格の1つで、コンサルティングなどを通じた理事会のサポートを主な業務とします。
管理組合に所属する人の多くは一般の住人であり、マンションの管理に関して専門的な知識を持たない場合がほとんど。そこで適切な管理方法やその運営について、専門家の視点で助言・指導を行うのがマンション管理士です。理事会への出席や進行のほか、管理会社との契約の見直しなどの業務も担当します。
ちなみに、マンション管理士試験を実施している「公益財団法人マンション管理センター」によると、2018年度の試験合格率は7.9%程度。それ以前も合格率は10%を切っており、専門性の高い難関資格です。管理員が実務面でサポートしてくれる存在なのに対し、マンション管理士は知識面でマンションの管理を支えてくれる存在といえます。
とはいえ、管理会社と同様にあくまでも不足する知識を補う存在であって、管理全般を主導で行っていくわけではないことが前提です。
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この連載について
【連載】理事会役員超入門
マンションだからといって、購入後の管理はすべて管理会社にお任せ!というわけにはいきません。ほとんどのマンションにおいて、理事会の選考は立候補制ではなく、メンバーが入れ替わる輪番制。つまり、居住者誰もが理事会を担当する可能性が。というわけで本連載では、理事会役員になったらまず、これだけは知っておきたい!という超入門知識をご紹介。しっかり知識を身につけて、より良いマンションライフを送りましょう!
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