連載:理事会役員超入門

マンション管理会社とは? 管理組合との関係や業務内容を紹介!

2020.03.16
マンション管理会社とは? 管理組合との関係や業務内容を紹介!

マンションは、多くの人がひとつ屋根の下に暮らす集合住宅。適切な管理をしていかなければ、快適性や資産価値を保つことはできません。

そこで重要になるのが、「マンション管理会社(以下、管理会社)」の存在です。管理会社は、清掃や点検など、マンションの維持や管理に関するサポートを行う役割があります。

連載3回目では、マンションの管理組合が知っておくべき管理会社の業務内容や委託方法などを解説。あわせて「管理会社を見直したい」と考えている人に向けて、その選び方も紹介していきます。

そもそもマンションの管理会社とは? 管理組合との違い

管理会社とは、管理組合から委託を受けてマンションの運営・管理を行う会社を指します。

管理組合とは、区分所有法の定めに従い、原則マンションの区分所有者全員で構成される運営・管理の団体です。意思決定や情報共有の場として、年に1度の総会開催が義務づけられています。

マンションの運営・管理は本来管理組合全員で行う義務がありますが、意志決定を円滑に行うため、代表者を募って理事会を組織します。総会の開催や決議事項の検討を行うのは主に理事会です。

とはいえ、理事会のメンバーをはじめとする管理組合員は、マンション運営とは異なる本業に就いているケースがほとんどです。そのため、マンションを販売したデベロッパーの系列会社など運営・管理の専門知識を持つ業者に、実質的な業務を依頼します。こうした委託先となる会社を管理会社と呼びます。

委託には管理委託契約が必要

全部委託方式または一部委託方式をとる場合には、管理組合と管理会社で「管理委託契約」を結びます。

委託契約書のひな形は国土交通省「マンション標準管理委託契約書」を確認してみてください。

マンション管理会社の業務は4つに分かれる

管理会社の具体的な業務は、おおまかに次の4つ分類されます。

1.事務管理業務
2.管理員業務
3.清掃業務
4.建物・設備管理業務

では、その業務内容を1つずつみていきましょう。

1.お金の管理がメインの「事務管理業務」

管理会社のとくに大事な業務のひとつが、事務管理業務です。事務管理とは主に、マンションの会計に関わる全般のことを指します。住民(マンションの所有者)から納められる管理費や修繕積立金を管理し、滞納や未払いに対する督促を行ったり、会計書を作成したりします。

会計状況を理事会や総会で報告することも、業務のひとつです。また、12年~15年に一度の大規模修繕に向けた計画や、実施にともなう予算管理なども行います。

2.訪問者の受付対応などを行う「管理員業務」

マンションのエントランスには多くの場合「管理員」がいますが、この人も管理会社から派遣されます。

管理員の業務内容や勤務時間はマンションによって異なりますが、訪問者の受付や対応・備品管理・建物の巡回・業者との立ち会いなどが基本的な業務となります。

3.「清掃業務」として共用部の掃除も行う

マンションの共用部の清掃も、管理会社の業務に含まれます。共用部とはエントランス・廊下・ゴミ置き場・階段・エレベーター・駐車場などの場所を指します。

日常的な掃除やゴミ回収、業者や専門機材を用いた週1回から月1回程度の掃除などを、定期的に実施します。

4.「建物・設備管理業務」では設備のメンテナンスを実施

管理会社は、共用部だけでなく専有部にある設備の保守点検や法定点検など、メンテナンスも行います。

法定点検とは、法律で点検期間や回数が定められている点検のことを指します。エレベーターや給水設備、排水設備などは法定点検が定められている代表的な設備です。

マンション管理会社への3つの業務委託方式

続いて、管理会社に業務を委託するときの方法を紹介していきます。

大きく分けると次の3通りの方法があります。
1.全部委託方式
2.一部委託方式
3.委託しない(自主管理)

つまり、どこからどこまでの業務を委託するのかということ。3つの委託方法には、それぞれメリット・デメリットがありますので、ここから詳しくみていきましょう。

「全部委託方式」のメリット・デメリット

「全部委託方式」とは、その名の通り、マンションの管理業務を一括して管理会社に委託する方法です。

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管理業務をすべて任せることができるため、当然ですが管理組合やマンションの住民の負担は一番少ない方式となります。理事や役員が変わったとしても、理事会の構成メンバーに左右されずに、管理の質を一定に保つことができるでしょう。

一方でラクな反面、管理会社に任せきりになってしまうことで、所有者や住民の意思で「マンションでの生活をより良くしていく」といった意識が薄れてしまいがちです。総会への出席率が低下したり、重要な意思決定の場で意見を出す人が少なくなったりといった懸念があります。

全部の業務委託をするといっても、マンションの管理に関する最終的な意思決定を行うのは、実際にマンションの所有者であり、住む人たちであることは認識しておきましょう。

「一部委託方式」のメリット・デメリット

一部委託方式とは、管理業務の「すべて」ではなく「一部」を委託する方法です。全部委託方式では、設備点検や清掃など「管理会社が実際に行うわけではない業務」についても、専門業者への発注などを管理会社に代行してもらいます。

しかし一部委託方式では、管理組合が各専門業者を手配もしくは自らが業務を行うため、管理会社には「管理会社が実際に行う業務のみ」を委託するのが一般的です。

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一部委託方式において、清掃などを外部の専門業者に依頼する場合は「直接契約」となるため、間に入る管理会社がいない分、中間マージンは発生しません。つまり、マンション管理にかかる費用を抑えることができます。

ただし、当然ながら管理組合は各専門業者を選択・発注する負担などが増えることになります。実際に発注業務を担うのは多くの場合、理事会役員のメンバーかと思いますが、発注する人によってマンション管理の質が上がったり下がったりしてしまう可能性もあるかもしれません。

管理会社に委託しない「自主管理」のメリット・デメリット

管理会社に一切業務を委託しないで、住民自らが管理を行う、もしくは必要に応じて専門業者に発注することを「自主管理」といいます。

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清掃や点検、修繕の業者を自由に選んで直接契約ができるなど、中間マージンが発生しない分、管理や修繕にかかる費用を安く抑えられるのが自主管理の一番のメリットです。

一方で、管理会社にまったく業務を委託しないとなれば、管理組合や理事会の業務負担はかなり大きくなります。また、理事会役員を担う人に知識や統率力、交渉力など相応の能力が不足していれば、建物や設備の維持困難や機能低下にもつながりかねません。

マンションの管理不全は日々の生活以外にもマンションの資産価値低下を招く重要な問題となりうるため、自主管理としてやっていけるかどうか、理事会や総会で慎重に議論する必要があるでしょう。

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【連載】理事会役員超入門

マンションだからといって、購入後の管理はすべて管理会社にお任せ!というわけにはいきません。ほとんどのマンションにおいて、理事会の選考は立候補制ではなく、メンバーが入れ替わる輪番制。つまり、居住者誰もが理事会を担当する可能性が。というわけで本連載では、理事会役員になったらまず、これだけは知っておきたい!という超入門知識をご紹介。しっかり知識を身につけて、より良いマンションライフを送りましょう!

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