連載:ついにやって来た!大規模修繕

大規模修繕の実施まで数年あるなら、必要に応じて小修繕工事で対応!

2023.06.29
大規模修繕の実施まで数年あるなら、必要に応じて小修繕工事で対応!

大規模修繕を控えた皆さんに向けて、修繕工事のいろはを説明していくこの連載。今回は、大規模修繕の合間に起きるトラブルに対応するための小修繕工事について解説していきます!

大規模修繕だけでは十分な劣化対策とはいえない

十数年に1度の大規模修繕だけではマンションの劣化への対応に十分とは言えない

マンションを安全で居心地の良い環境に保つためには、大規模修繕が欠かせないことはみなさんご存知でしょう。しかし、「大規模修繕さえしていれば、マンションの劣化対策は万全!」というわけにもいきません。

大規模修繕を実施する周期は12年に1度が一般的。つまり、1度大規模修繕が完了したら次回は12年程先になるのです。適切に大規模修繕をしているマンションであっても、工事期間が10年以上もあけば、建物や設備に何かしらの不具合が発生する可能性は十分考えられるでしょう。

さらに、近年では製造技術向上による資材の性能アップにともない、修繕周期長期化の動きが見られています。なかには、修繕周期を15年や18年へ見直す管理組合も増えているようです。そのようなマンションは、次回の修繕までの空き期間が長くなるため、ますます大規模修繕の合間の期間中に建物や設備に不調がみられる可能性が高くなるかもしれません。

大規模修繕はマンションの環境を維持するために有効であり必要です。しかし、マンションで発生し得るすべての建物や設備の劣化トラブルに対応していくためには、大規模修繕以外のタイミングでも修繕作業が必要でしょう。

不具合の発生には小修繕工事で対応

小修繕工事は日常的に起きる破損や故障などに対応する修繕

十数年に1度、マンションの広範囲を対象に大々的に実施される修繕が大規模修繕です。建築基準法では「建物の主要構造部とされる壁や柱などにおいて、全体の半分を超える修繕を行う工事」が大規模修繕に該当するとされています。

具体的な作業内容は、外壁タイルの補修や塗装工事、屋上や壁面の防水工事など。高所での作業を実施するために、マンションの周囲に仮設足場が設置されることが多くあります。

それに対して、日常的に起きる破損や故障などに対応する修繕が「小修繕工事」です。「経常修繕」と呼ばれる場合もあります。

具体例な小修繕工事の例には、共用部分の電球交換や共用廊下の床や壁の傷の修復などの比較的軽微なものから、雨漏り箇所の修繕やベランダを住戸ごとに仕切るパーテーションが割れた際の交換といった、多岐にわたる作業があげられます。

大規模修繕が長期修繕計画にもとづいて計画的に進められるのに対して、小修繕工事は突発的に発生した破損や不調などのトラブルに対応する工事といえるでしょう。

また、大規模修繕は区分所有者が毎月積み立てる修繕積立金から工事費用が支払われますが、小修繕工事の費用は通常の場合、管理費から支払われるのも大きな違いです。

ただし、劣化状況が深刻で、修繕作業に高額な費用が必要であれば、修繕費用を修繕積立金から支払うこともあります。

小修繕工事の実施は緊急性を考慮する

周期的に実施が必要な大規模修繕と、状況に応じて実施する小修繕工事。いずれにせよ、大規模修繕の実施は避けられないので、「小修繕工事をしないで、大規模修繕の実施時期まで待ったら費用の節約になるのでは?」と考える人もいるかもしれません。

確かに、突発的に発生したトラブルを元々予定していた大規模修繕のタイミングで実施すれば、作業員の交通費や移動の手間などが節約されるため、別々に実施するよりも費用の削減につながる可能性があります。

しかし、その場合は大規模修繕の実施時期まで劣化を放置した状態となるため、不調の内容によっては不便に感じることもあるでしょう。

また、注意したいのが、劣化を放置してどんどん症状が深刻化してしまうケースです。壁面や床の僅かな傷などであれば、急いで対応する必要がない場合もありますが、水漏れなどは放置すると天井や床に腐食が起きてしまうかもしれません。また、鉄部の錆びも対応しなければどんどん劣化が進行してしまいます。

特に、階段やベランダの手すりなどは、劣化によって重大な事故が発生するかもしれないため、異変に気付いたらなるべく早く修繕をしておきたいものです。

このような劣化を放置すると、結果的に余計に高額な修繕費用が必要となる場合も考えられます。ほったらかしにしてしまうと深刻化が予想される劣化や損傷が確認された場合は、大規模修繕の時期を待たずに早急に修繕するべきでしょう。

築年数が経過したマンションでは、劣化の発生は増えていくものです。次回の大規模修繕までの期間が長く空くのであれば、こまめな小修繕工事の実施を心掛けていきましょう。

イラスト:平松 慶

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この連載について

【連載】ついにやって来た!大規模修繕

約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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