ゴミ捨て場に住民以外のゴミが!これって違法? 事例と対策を解説
マンションのゴミ捨て場に、住民以外の人が勝手にゴミを捨てる問題。処分の手間や費用がかかるため、なんとかしたいですよね。
今回は、住民以外のゴミ捨てにどのように対処すべきか、事例も交えながら解説します。
住民以外のゴミ捨て場の利用は法律違反の可能性が高い
まずは、マンション住民以外のゴミ捨て場の無断利用に関して、法的な縛りはあるのか解説していきます。
結論から言うと、「廃棄物処理法違反(不法投棄)」や「住居侵入罪」にあたる可能性があります。以降で詳しく紹介していきます。
廃棄物処理法での不法投棄の罰則
廃棄物処理法16条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と規定されています。
もし不当放棄すると「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または双方」が科されるという決まりです。
しかし不法投棄というと、「山に大量のゴミを捨てる」「他人の敷地に粗大ごみを勝手に置いていく」といったイメージがありますよね。マンションのゴミを捨て場に家庭ゴミを置くケースも「みだりに廃棄物を捨てる」行為に当てはまるのでしょうか。
指定ゴミ集積所以外へ捨てても不法投棄になる?
法律用語としての「みだりに」とは、簡単にいうと「正当な理由がないのに」といった意味です。
マンションのゴミ捨て場は、その物件の規模や入居者数に合わせてつくられています。そのため住民以外の利用は想定されておらず、ゴミが集積所からあふれたり、悪臭がしたりとさまざまな問題が起こり得るでしょう。いくら家庭ゴミだからといって、他人がゴミを捨てていく行為を普通の入居者はやはり許容できないはず。そのため「みだりに廃棄物を捨てた」と判断される可能性は高いです。
また、マンション専用のゴミ捨て場は、ほとんどが敷地内に設置されています。住民以外の方がゴミ捨て場に無断で入っていく行為は「住居侵入罪」に該当する可能性もあるといえます。
ゴミ捨て場へ不法投棄を行った事例
ここでは、マンションのゴミ捨て場に不法投棄を行ったとして、裁判沙汰になったケースを紹介していきます。
【事例1】飲食店から出た大量のゴミを不法投棄
2010年、東京都で起きた事例です。飲食店で出たゴミを、マンションのゴミ置き場に勝手に捨てたとして、飲食店店長他2人が逮捕されました。容疑は先ほどあげた「廃棄物処理法違反」です。
新しくお店を開店した際に出た、段ボール・棚・掃除機など合計138キロほどを捨てたそうです。ゴミを運んだ従業員8名と、ゴミ捨て場のカギを貸したマンション住民2名も書類送検されています。
ゴミのなかには、店名が記載された伝票が含まれており、マンション内の防犯カメラにも廃棄の様子が映っていたため、犯人が特定されたそうです。
【事例2】家庭ゴミの不法投棄で書類送検された例も
次に、家庭で出たゴミを不法投棄した事例を見ていきましょう。
2013年、京都市で家庭ゴミの収集などを担当していた職員とその妻ら4名が、廃棄物処理法違反の疑いで書類送検されました。
不法投棄された場所は、職員の兄が以前住んでいたマンションのゴミ捨て場。兄の引っ越しで出たDVDデッキ・衣類などの処分を悩んでいたところ、兄から「あのマンションなら分別せずに捨てられる」と提案され、捨てに行ったそうです。
1度目の不法投棄で、ゴミ袋のなかに入っていた職員宛の郵便物から、持ち主を特定。一度はゴミを受け取りにきましたが、1週間後に再び同じ場所に投棄し、書類送検されました。
不法投棄の犯人特定は意外と難しい
先ほどの2つの事例のように、ゴミ袋のなかに入っていた郵便物や伝票に書かれた個人情報、防犯カメラの映像などから犯人特定に繋がるケースもあります。
しかし個人情報が記載されていても「私は捨てていません」とシラを切られたら、どうなるでしょうか。防犯カメラの映像がなければ、その人が本当に捨てたかどうか、証明するのは難しいといえます。
そのため、不法投棄されてから犯人特定に時間を割くよりも「今後、捨てさせない」ための対策を講じる方が現実的。以降では、住民以外がゴミを捨てないような事前対策を紹介していきます。
住民以外にゴミ捨て場を利用させない6つの対策
不法投棄の犯人特定は難しいため、ほとんどの場合、ゴミ捨て場の管理者がお金をかけて処分することになるでしょう。
ただ、処分しても繰り返し捨てられてしまうケースも多いため、不法投棄を未然に防ぐ対策を行いたいところ。以降で、6つにまとめてみました。
【1】ゴミ捨て場をきれいに保つ
ゴミ捨て場が汚かったり、住民自体がルールを守っていなかったりすると、ゴミを捨てるハードルが下がるため、不法投棄の場所として目をつけられてしまう可能性があります。
「あそこのマンションは管理が行き届いていないから、捨ててもバレないだろう」と思われないよう、普段からゴミ捨て場もきれいに清掃しておきましょう。
【2】ネットなどで覆う
ゴミを不法投棄する人は「さっと捨てて、素早く立ち去りたい」と思っています。
そのため、ゴミ捨て場をネットなどで覆うことで簡単に捨てられないようにするのも効果的。ポイ捨て対策にもなるでしょう。
【3】警告の張り紙・看板の設置
比較的簡単な方法が、「入居者以外のゴミ捨て厳禁」「不法投棄は発見し次第、警察に通報します」などの張り紙・看板を設置する方法もあります。
「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」と、具体的に不法投棄の罰則を示す方法も抑止力となるでしょう。
【4】鍵をつける
扉付きのゴミ捨て場であれば、簡単に不法投棄もできません。
「管理人がゴミ出し時間に合わせて開閉する」「ダイヤル錠をつけて入居者のみに暗証番号を教える」などの方法でゴミ出しを行いましょう。
【5】センサーライトの設置
夜間の不法投棄を防ぐため、人の動きに反応して自動点灯する「センサーライト」を設置する方法もあります。
次に紹介する防犯カメラと併用すると、防犯対策にもなるでしょう。
【6】防犯カメラの設置
防犯カメラを設置し、目立つところに「防犯カメラ作動中」のステッカーを貼ることで、さらなる抑止力が期待できそうです。
ダミーでも効果は望めますが、万が一不法投棄されてしまったとき、本物の防犯カメラの映像があれば物的証拠にもなります。
不法投棄を未然に防ぐ環境づくりを!
マンションの住民以外のゴミ捨て場の利用は「不法投棄」「住居侵入罪」といった違法行為に該当する可能性があります。
しかし、犯人の特定は難しいのが現状。ゴミ捨て場をネットで囲ったり、清潔に保ったりすることで「捨てにくい環境づくり」に注力したほうが良いでしょう。