連載:ついにやって来た!大規模修繕

高額になりがちなタワーマンションの修繕費用 不足した場合の対応は?

2021.02.10
高額になりがちなタワーマンションの修繕費用 不足した場合の対応は?

大規模修繕を控えた皆さんに向け、修繕工事のいろはを説明していくこの連載。今回はタワーマンションの修繕工事について解説していきます!

タワーマンションは今まさに修繕ラッシュ!

2000年代以降から、都心や湾岸エリアを中心に供給されてきたタワーマンション。建築技術や機材の進歩による長周期化で、第1回目の大規模修繕は15〜18年目とも言われており、今まさに修繕ラッシュが始まろうとしています。

そんなタワーマンションですが、とくに風の問題や立地場所の交通量の多さ、またゴンドラ足場による作業効率の低下により、一般的なマンションと比べると工事の難しさはまったく異なるといいます。

施工会社によっては建物の外周に2階建てのゲージを連結し、回廊状に囲う特殊な足場を採用。強風での揺れを軽減しながら、修繕の仕上がりの鍵を握ると言われる作業員の安全性を確保するケースもあるようです。しかし一般的なマンションとは異なる足場の設置で、やはり修繕費用もかさむ傾向にあるといいます。

余裕を持って修繕費用を確保するためにも、国土交通省の『長期修繕計画作成ガイドライン』などを参考に、日頃から適正金額の修繕積立金を積み立てるという基本は大前提です。とはいえ、万が一修繕費用が足りない場合、どういった対策を取るのが望ましいのでしょうか。

今後の修繕費用が足りない場合はどうする?

【対策1】2回目以降の修繕周期を伸ばす

1回目の大規模修繕の費用はこれまでの修繕積立金で補えたとしても、2回目以降の修繕で費用が不足する可能性もあります。そのため、2回目以降の大規模修繕の周期を、伸ばすことも検討しておきましょう。

大規模修繕の工法は昔と比べて大きな変化があるわけではありませんが、使用する材料の質は大きく向上しています。例えば高品質な防水シートを使用した「30年防水保証」など、耐久性の高い材料の使用で2回目以降の修繕周期を延ばす。そうすると、長い目で見たときに大規模修繕の回数を減らせるため、結果的に修繕費用を抑えられる可能性があるでしょう。

【対策2】業務委託費などの支出を削減する

修繕費用を確保するために、一般会計の支出を削減する方法もあります。例えば管理会社との契約を見直し、業務委託費の削減を検討するなど。またマンションのなかには、一括受電の導入や空き駐車場の外部貸しなどを行い、年間約数千万円以上も収支改善に成功している例もあります。

そのほか利用が少ないにもかかわらず、人件費などで支出を出してしまう有料のミニショップの廃止や、使用機会の少ない自販機の撤去なども検討してみましょう。

【対策3】修繕積立金の値上げ

一般会計の支出も見直してみたけど「まだ足りない」という場合は、修繕積立金の値上げも検討したいところ。

とくに新築のマンションでは基本的に「段階増額積立方式」といって、一定期間ごとに修繕積立金が増額していく方式を採用しています。この場合、販売当初は修繕積立金の額が低く設定されており、長期修繕計画にもとづいて大規模修繕を行うためには、一定周期で値上げを行う必要があります。

段階的な増額には、理事会などを中心に値上げ金額をその都度算出して検証し、総会に議題としてあげて区分所有者からの承認を得なければなりません。1回目の値上げ承認はされたが2回目では反対されたり、その期に選任された理事会のメンバーが値上げに消極的だったりすると、当初予定した通りの段階的な増額が実施できないケースもあるのです。

つまり段階的な値上げだと、長期修繕計画にもとづいて、予定通りに修繕積立金を積み立てていくことができないリスクがあります。

そのため「段階増額積立方式」をやめて「均等積立方式」に切り替えて、長期修繕計画に対して一度に大幅な値上げを実施する管理組合が増えています。つまり、値上げ金額の算出や総会で承認を得るといった手順も1回限り。途中、値上げが承認されない期があったために、結局「修繕費用が足りなくなる」となるリスクを避けられるわけですね。

国土交通省も将来の修繕費用確保のために、均等積立方式の採用を推奨しています。できるだけ一回の値上げで済むほうが、その後の負担が軽減するだけでなく、修繕費用の不足に頭を悩ませる心配もなくなるかもしれません。

修繕費用が高額になりがちなタワーマンションこそ、ゆとりを持って資金を確保するためにも均等積立方式の採用を検討してみましょう。

以上、今回は工事の難しさから修繕費用が不足しやすいタワーマンションの対策について、紹介してきました。充実した設備の反面、「ほんとにこれっている?」という無駄な支出も発生しやすいタワーマンション。まずは一般会計の支出を改善するところから、始めてはどうでしょうか。

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この連載について

【連載】ついにやって来た!大規模修繕

約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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