連載:ついにやって来た!大規模修繕

長期修繕計画の立て方とは?

2020.12.28
長期修繕計画の立て方とは?

大規模修繕を控えた皆さんに向け、修繕工事のいろはを説明していくこの連載。今回は計画的な大規模修繕を実施するために必要となる「長期修繕計画の立て方」について紹介していきます!

そもそも「長期修繕計画」って?

長期修繕計画とは建物の部位や設備ごとに「どんな修繕工事を行うのか」「何年ごとに実施するのか」「修繕にかかる費用はいくらか」などが記載された、計画書のこと。計画期間は数十年という長期にわたり、国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、新築マンションでは30年以上先を見据えた作成が望ましいとされています。

大規模修繕に向けて積み立てていく「修繕積立金」も、この長期修繕計画にもとづいて金額を決定するのが一般的です。

12〜15年周期で修繕を実施する計画を立てる

外壁の塗装や屋上防水の補修、給排水管の修理など比較的工事の規模が大きくなる修繕については、基本的に12〜15年周期で実施します。これらの工事は足場を組むなど、大掛かりな作業が必要な場合も多く、大規模修繕としてまとめて実施することがほとんど。「いつ実施するのか」また「どのくらいの費用がかかるのか」といった予定を、長期修繕計画のなかに盛り込むわけですね。

また、周期のサイクルが短く、規模がそこまで大きくない修繕工事もなかにはあります。

例えば鉄製の外階段は塗装が落ちてサビやすいため、4〜6年程度ごとに塗り替えるのが一般的です。機械式駐車場がある場合は、5年ごとに部品交換などのメンテナンスを行うケースもあるでしょう。こうした短いスパンで行われる修繕工事も、長期修繕計画に含みます。

そして、工事ごとに費用の見積額なども計算。各金額を合計したトータルの工事費を算出し、そこから必要な修繕積立金を逆算する際にも長期修繕計画が役立つといえます。

なお長期修繕計画は、新築マンションの場合は分譲販売時にあらかじめ用意されているケースが大半です。ただ、記載のある見積額などはあくまでも作成時点でのもの。そのため、後ほど詳しく説明しますが、建物の劣化具合などを考慮したうえで定期的な見直しが必要となるのです。

長期修繕計画は「5年ごとに見直し」が理想!

長期修繕計画は、一度作成したらそのままというわけではありません。「建物や設備の劣化状況」や「社会的な環境の変化」などを考慮して約5年ごとに見直すのが理想だと、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインにも明記されています。

では、どうやって見直したら良いのか。

主に以下の3つの方法があります。

【方法1】「管理組合」で見直す

マンション管理の当事者である管理組合であれば、住民視点から、自分たちの意見を修繕計画に反映させることができます。とはいえ設計などの知識に長けた人物がいなかったり大規模修繕をまだ実施したことがなかったりすると、実現可能な計画を立てるのはやはり難しいため、専門家に依頼するのが現実的かもしれません。

【方法2】「管理会社」に任せる

マンション全体の管理を専門に手がけている管理会社に、長期修繕計画の見直しを依頼する方法もあります。ただ、管理会社はあくまでも「管理」の専門であって建物の構造などを熟知しているわけではなく、また分譲販売時から売主と協働していることも多いため、依頼しても積極的な見直しが行われないケースもあるようです。

【方法3】「外部の専門家」に依頼する

施工会社や設計事務所など、管理会社とは関係のない第三者に依頼し、長期修繕計画を見直してもらう方法もあります。建物調査を通じて計画を一から見直し、住民が感じる問題点や不安要素などもヒアリングしたうえで計画に盛り込むことができます。ただ、信頼できる業者を選定することから始める必要があり、修繕計画作成のための建物調査など、費用がかさむ可能性はあります。

「均等」に積み立てる前提での計画の作成を検討しよう

第5回の連載でも紹介しましたが、新築マンションでは基本的に「段階増額積立方式」といって、一定期間ごとに修繕積立金が増額していく方式を採用しています。そのため販売当初は修繕積立金の額が低く設定されており、長期修繕計画にもとづいて大規模修繕を行うためには、一定周期で値上げを行う必要があるのです。

ただ、段階的な増額となると理事会などを中心に値上げ金額を算出し、総会に議題として挙げて住民からの承認を得なければなりません。1回目の値上げは成功したが2回目で反対されたり、その期に選任された理事会のメンバーが値上げに消極的だったりすると、当初予定したように段階的な増額を実施できないケースもあるのです。

つまり長期修繕計画にもとづいて、予定通りに修繕積立金を積み立てていくことができないリスクがあります。

一方で「均等積立方式」であれば、長期修繕計画に対して一度の値上げだけで済みます。つまり、値上げ金額の算出や総会で承認をもらうといった手間も1回限り。途中、値上げを承認されない期があったために、結局「修繕費用が足りなくなる」というリスクを避けられる。

国土交通省も将来の修繕費用確保のために、均等積立方式の採用を推奨しています。できるだけ一回の値上げで済むほうが、その後の負担が軽減するだけでなく、修繕費用の不足に頭を悩ませる心配はなくなるかもしれませんね。

以上、今回は長期修繕計画の立て方を紹介してきました。修繕計画に沿った積立金が確保できているかなど、定期的な見直しを行っていきましょう。

次回は、今まさに大規模修繕を検討する時期に入っている、2000年代以降に供給された「タワーマンション」の修繕について紹介していきます!

イラスト:平松 慶

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この連載について

【連載】ついにやって来た!大規模修繕

約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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