大規模修繕
理事・管理
暮らしの悩み
大規模修繕と一緒にバリアフリー化工事を検討しよう！
大規模修繕で車の移動が必要に？ 工事中の駐車場利用の注意点
2022.06.21
大規模修繕を控えた皆さんに向け、修繕工事のいろはを説明していくこの連載。大規模修繕は建物ばかりに目が向きがちですが、工事期間中は駐車場の利用に影響が出る場合もあります。今回の記事では、工事期間中に駐車場の車の移動が必要になる場合について解説していきます。
足場設置のために車の移動を求められることがある
大規模修繕では外壁補修や塗り替えなどの作業を行うために、マンションの建物を囲むように足場が組まれます。この時、設置する足場が普段利用している駐車スペースと重なる場合は、工事完了まで車を別の場所に駐車しなければなりません。
また、建設作業で使用する器具・資材などの置き場や、施工業者の作業員が使用する仮設事務所やトイレなどを設置するためには、ある程度広い敷地が必要です。その仮設スペースにマンション内の駐車場が選ばれ、車を移動する必要性が生じることも多いようです。
実際にどのように足場や仮設設備が配置される予定かは「仮設計画」で確認できます。これは工事の予定表のひとつで、施工業者が着工準備の段階で作成されます。
この仮設計画を確認すれば、車を移動する必要があるかどうかがわかりますが、留意したいのは「すべての車を移動しないといけない」とは限らないこと。工事の影響を受けないスペースは工事期間中も引き続き駐車が可能であり、そうなると、移動させる車をどのように選ぶかが重要となってきます。
管理組合によって異なりますが、主に移動対象になるのは足場や仮設設備が設置される場所の駐車スペース利用車。そのほか、公平を期すために駐車場利用者全員で抽選をして、移動する車を決めることもあります。
代替駐車場の手配が必要となるケースも
車の移動が必要な場合、マンション敷地内の空いているスペースへの移動が可能であれば、大きな問題にはならないでしょう。しかし、それほど敷地に余裕のあるマンションは少ないのが現状です。多くのマンションでは車の移動が求められる場合、マンション敷地外の月極駐車場を別途探さなければならなくなります。
代替駐車場は管理組合で探すこともできますが、一般的には施工業者に依頼するケースが多いようです。ただし移動する車の台数が多い場合は、複数の駐車場を用意しなければなりません。なかなか骨が折れる作業となるので施工業者に任せた方が無難でしょう。
なお代替駐車場の駐車料金はほとんどの場合、管理組合が負担します。これは、大規模修繕工事が管理組合の事業として行われるためです。
一方、車の移動を余儀なくされた駐車場利用者に、移動している期間中もマンションの駐車場料金の支払いを求めるかどうかはマンションによってさまざまです。
たとえば移動期間中も駐車場代を納めてもらう派の意見としては、「代わりの駐車場の利用料を管理組合で支払っているので、本来の駐車場の料金は契約者がこれまで通り支払うべき」といったものがあります。
納める必要がないという意見の人は、「車の持ち主は迷惑を被っているので、迷惑料としてマンションの駐車場代を無料にするくらいの配慮があってもいいのでは」という考え方です。
どちらも一理あるので、最終的な判断は管理組合内で意見交換をしたうえで決定するのが良いでしょう。考え方のひとつとして、「用意した代替駐車場がマンションから距離が離れた場所になってしまったら、マンションの駐車場代を無料にする」といったように、利用者に掛かる負担を総合的にみて判断する決め方もあります。
住民とのトラブルを避けるためには事前の情報共有が重要
車は重要な移動手段であり、生活に大きく関わるものです。足場を組む期間は多くの場合4〜6ヵ月といわれており、十数年に1度の頻度とはいえ、駐車場を移動する住民への影響は小さくありません。
住民の不満が募れば、トラブルに発展してしまうかもしれないので注意が必要です。もしも、車を移動しなければならないという通知が工事直前になってしまえば、クレームにつながる可能性は高くなりそうです。そのような事態を避けるためにも、前もって情報共有しておくことが重要となります。
「なぜ車の移動が必要となるか」「普段使用している駐車場がどのくらいの期間使用できなくなるのか」など、工事に関する内容を住民説明会などで事前に共有しておけば、トラブルなく工事を進めることができそうです。
以上、今回は大規模修繕期間中の車の移動について解説しました。
イラスト：平松 慶
あなたのマンションの課題を解決！おすすめサービス！
この記事を誰かに知らせる/自分に送る
この連載について
【連載】ついにやって来た！大規模修繕
約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー！みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう！
