連載:ついにやって来た!大規模修繕

修繕で事故を未然に防ぐ!外壁落下にご用心

2021.10.18
修繕で事故を未然に防ぐ!外壁落下にご用心

大規模修繕を控えた皆さんに向けて、修繕工事のいろはを説明していくこの連載。今回はマンション外壁修繕の重要さについて。定期的なメンテナンスが事故を未然に防ぎます。

外壁の落下事故は意外と多い

外壁落下が事故となることも

マンションの外壁は、材質の劣化や台風などの災害によって崩れて落下する事故が起きることがあります。普段は意識が向きにくいことかもしれませんが、実は外壁の落下事故は珍しいものではありません。

例として、大阪市のホームページに掲載されている過去の事故事例を見ると、大阪市内だけでも年に1回以上の頻度で落下事故が発生していることがわかります。

外壁が落下すれば、修繕作業の費用が発生するというだけでなく、人が巻き込まれて重大な事故が発生するリスクも。そのような事態を避けるためにも、マンションの外壁落下について学んでいきましょう。

今回の記事では大阪市の事例で事故の頻度が高い、タイルとモルタルの2つの建築材料についてご紹介していきます。

剥落すれば凶器に。外壁タイルの危険性

マンションでよく使われている外壁タイルは、建物の外観に高級感を与えるデザイン面だけでなく、高い耐久性・耐候性をあわせ持つことで人気を得ています。

そんな外壁タイルですが、経年とともにタイルが剥落して、重大な事故につながることに注意が必要です。

国内で初めてタイル張り工法が注目を浴びたのは、「億ション」として注目されたコープオリンピアがタイル張りの外壁を採用した1965年のこと。以降、人気の工法として多くのマンションで採用されてきました。

しかし、ブームから数十年後には材質の劣化などによるタイルの剥落事故の件数が全国で増加。安全性が問われるようになってきています。

タイルは硬さがあり、割れた破片は刃物の様に鋭くなることもあります。マンションの高い位置に貼りつけられたタイルが剥がれ落ちて、地上に落ちてくるとなればどれほど危険かご理解いただけるでしょう。

モルタルの乾燥がタイルの落下原因になることも

過去には重大な事故が起きたことも

モルタルとは、水と砂とセメントを混ぜ合わせてつくる建築材料です。

モルタル下地を施工した上にタイルを接着する「湿式工法」という工法では、職人が手作業で1枚ずつタイルを貼り付けます。そのため、出来映えが職人に依るところが大きい工法です。湿式工法では、職人の腕が悪かったり、施工に手抜きがあったりすると、タイルが剥がれやすくなる場合があるとも言われています。

また、モルタルは乾燥に弱い素材です。乾燥することで材質の硬化が起こり、進行していくとひび割れが発生。下地のモルタルにひび割れが入るとモルタルに貼り付けているタイルの剥落の原因ともなります。

落下事故には、タイル単体だけではなく、タイルを貼り付けている下地モルタルごと外壁が剥がれ落ちた事例もあります。

2005年には、東京都のオフィスビルでビルの外壁が約5階の高さから下地ごと落下する事故が発生。ビルの下にいた通行人2名が負傷する事故となりました。

この事故を受けて、国土交通省は外壁崩落の危険性がある建物の調査を実施。その結果2006年時点で、築10年以上の3階建て以上の建物で、外壁材の落下の危険性のある建物が全国で900件以上あることが明らかになっています。

マンションの外壁が剥落した場合の管理組合への影響は?

万が一、居住しているマンションの外壁が崩れ落ちて通行人が怪我を負ったり、マンション外部の設備などを損壊させたりした場合、管理組合はマンションの所有者として建物の管理責任を問われることになります。

それだけではなく、そのような事故が起きたマンションということで資産価値が低下してしまう可能性も。

そのような事態を避けるためにも、管理組合は落下防止のためのメンテナンスをしっかりと行っていく必要があります。

検査を怠ると罰則の対象になることも

剥落事故を防ぐなら定期的な検査の実施が重要

一般的に、建物は10年を超えると劣化が激しくなっていくもの。日々雨風にさらされるタイルは、経年劣化による剥がれや欠損がどうしても出てきてしまいます。

タイルについては、新築マンションであっても安心はできません。過去には築5年という比較的新しいマンションでもタイルの剥落による事故が発生しています。大型の台風などによる被害が起こりやすい地域では、特に細かい検査が必要となるでしょう。

2008年には、国土交通省が「定期報告制度」の改訂を行っており、そのなかで外壁タイルの検査が義務化されました。定期的な調査と報告を怠った場合、マンションのオーナーが罰則の対象となるとされているので注意が必要です。

また、建築基準法では、築後10年を経過した外壁がタイル貼りなどのマンションは、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要がある、と規定されています。新築の場合は1度目の大規模修繕で外壁の検査も必ず実施しましょう。

以上、今回は外壁剥落の危険性について解説しました。

場合によっては取り返しの付かない事態に発展することも考えられる外壁の事故。悲惨な事故を未然に防ぐためにも、定期的な検査とメンテナンスを忘れずに心掛けておきましょう。

イラスト:平松 慶

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この連載について

【連載】ついにやって来た!大規模修繕

約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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