大規模修繕

マンション大規模修繕でよく起こるトラブル例! その対策とは?

2020.08.17
マンション大規模修繕でよく起こるトラブル例! その対策とは?

長期戦となるマンションの大規模修繕では、準備段階から工事期間中、さらには完了後にもトラブルが発生する可能性があります。

そのためこの記事では、トラブル例をもとに未然に防ぐ方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

大規模修繕の準備期間中に起きる3つのトラブルとその対策

大規模修繕に向けた準備段階でも、トラブルは起こり得ります。ここでは、大規模修繕の実施前に気をつけたい点を対策とともにまとめてみました。

【トラブル1】修繕費用の不足

費用不足

規模の大きい工事を行うことになる大規模修繕では、多額の費用が必要となります。そのため住居者は修繕積立金というかたちで毎月コツコツと修繕費用を積み立てていくわけですが、長期修繕計画の不備や修繕積立金の未納といった原因により、費用が大幅に足りないといったトラブルが発生する可能性もあるでしょう。

また新築時には売りやすさを優先させるために、修繕積立金が低く設定されていることも少なくありません。そのため、1度目の修繕では足りても2度目以降になると不足するといったケースもあるよう。こういった場合に備えて、定期的にマンションの長期修繕計画を見直し、積立金をしっかりと貯蓄しておく必要があります。

修繕費用が足りない場合、不足分を金融機関から借り入れた後で、一時金として住民から納めてもらうなどの対処法が考えられるでしょう。ただ、一時金を納めることに住民からの同意を得られない場合は、一部の工事を見送ることもあります。

なお修繕積立金の相場や不足した場合の対応については、以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

【トラブル2】修繕委員会の機能不全

多くのマンションでは、理事会とは別に大規模修繕を取り仕切る「修繕委員会」が結成されます。マンションの住民で構成される組織ですが、委員会の人数が適切でない場合、トラブルに繋がる可能性も高くなるといえます。

マンションの規模によって異なるものの5~10人程度の幅広い世代で構成することが理想です。ただ、委員への希望者が少ないと、少人数で大規模修繕に向けた準備を進めなくてはいけません。そのため、本業などの都合で修繕委員会の業務がおろそかになり、進行が滞る可能性もあるでしょう。

修繕委員会があまり機能しない場合は、コンサルティング会社など、外部の専門家へ委託することも検討したほうが良いといえそうです。

なお依頼できるコンサルティング会社の種類や選ぶポイントについては、以下の記事を参考にしてみてください。

【トラブル3】談合によって工事金額が不当につり上げられる

コンサルタントが公募で募集を行った施工会社との「談合」に関与し、工事金額を不当につり上げるトラブルもあるようです。

また、本来コンサルタントは、中立的な立場で施工会社を選ぶ必要があります。しかし施工会社からリベート(修繕費用の一部)を受け取り、その会社が受注できるように不適切な操作が行われるケースもあるよう。コンサルタント費用は格安で、節約できるように思えても、リベートを確保するために結果的には工事費が割高になってしまう可能性もあります。

見積もりが適正金額かどうかを見抜くためにも、大規模修繕工事の相場を知っておくことは大切。以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

工事期間中に起こる11のトラブル例とその対策

続いて、工事期間中のトラブルを見ていきましょう。

【トラブル1】近隣住民からの苦情

苦情

マンションの居住者に対しては周知が十分でも、長期的に行われる工事に対して近隣の住民から苦情が入ることもあります。工事期間中の異臭や騒音、工事車両や業者の出入りなど、居住者だけではなく、可能であれば近隣住民へも事前にアナウンスを実施しておきましょう。

施工前だけに限らず工事期間中においても、こまめに連絡や報告を行うとトラブルを回避できます。

また、トラブルが起きてしまった場合には迅速な対応が必要です。近隣住民の方へは管理組合の連絡先を伝えておくとともに、クレームや依頼を伺う相談窓口を設けておくと、大きなトラブルへと発展せずに済みます。

【トラブル2】居住者からの苦情

工事期間中はベランダで洗濯物が干せなくなったり、日当たりが悪くなったりと、日常生活に支障をきたしてしまうことで住民からクレームが入ることもあります。

騒音だけでなく振動やホコリ、塗料の匂いなどでストレスを感じる住民も少なくありません。

事前に日常生活に影響が出る可能性を伝えておくのはもちろん、例えばカーテンを閉めるようにお願いしたり、作業員にも視線を室内に向けないように指導を行ったりしましょう。

また当初のスケジュールから変更があった場合についても、随時、チラシを作成してポストに投函するなどアナウンスを徹底しなくてはいけません。

なお、工事期間中の住民へのケアについては施工会社やコンサルティング会社がどこまで行ってくれるのか、事前に確認しておくと安心です。

【トラブル3】空き巣被害

空き巣

工事中に作業のために組まれた足場を使って、空き巣被害に遭う恐れもあります。施工会社へ補助錠の貸し出しを求めたり、監視カメラや人感センサーの付いたサーチライトなどの防犯対策を用意したりすることも検討しましょう。住民には施錠喚起の案内だけでなく、カーテンを締めてプライバシーを守るように伝えておきましょう。

施工会社のなかには監視カメラを設置してくれるケースもあるため、防犯対策の用意があるかどうかも業者を選ぶ際のポイントといえるでしょう。

万が一、窃盗や窓ガラスの破損といった被害が生じた場合には、施工会社が加入している工事保険から保険金が降りるケースが一般的です。施工会社が加入している保険の保障内容についても確認しておくと安心です。

【トラブル4】プライバシーが侵害される

外壁の塗装や補修工事などでは、作業員が足場を使って工事を行います。足場は外壁を囲むように設置されるため、作業員からは室内が見えてしまうこともあるでしょう。

作業員が部屋をのぞいている事実がなくとも、不安に思う住民からクレームが来る可能性もあります。

作業員には室内に視線を向けないよう指導するとともに、住民の方々へは空き巣対策と同様カーテンを閉めておくようお願いしておきましょう。

【トラブル5】共用部分に私物を置いている

ベランダの観葉植物

大規模修繕ではベランダやバルコニーの手すり、床などの工事も行われます。しかしベランダで観葉植物を育てているなど、私物を置いているケースもあるでしょう。

工事の際、本来は共用部分である場所に物が置いてあると、撤去しなくては施工できません。そのため工事のために撤去をお願いする必要があるわけですが、なかなか応じてくれないといった問題も生じる可能性があります。

日頃から共用部分には私物を置かないように、徹底しておきましょう。

【トラブル6】工事期間が大幅に遅れた

工事期間の遅れには、「当初の予定通りに大規模修繕が始まらない」「当初想定していた工事完了時期までに終わらない」2パターンがあります。

例えば悪天候などを理由に工事の開始や終了が数日間遅れる程度ならまだ良いですが、今回のコロナウイルス感染拡大の影響など、大幅な延期を余儀なくされるケースもあるでしょう。

また施工途中で機能のグレードUPや修繕が必要な箇所の発見など、追加工事が発生してしまうと、工事期間そのものが予想以上に長くなる可能性も。

工事期間の延長は、住戸の換気がしにくかったり洗濯物が外に干せなかったりする期間が延びることにもつながるため、住民へのケアも必要になってくるでしょう。

【トラブル7】住民と施工会社で揉めごとが発生した

工事を実施したばかりの箇所で塗装のめくれなどが見つかるなど、大規模修繕の仕上がりをめぐって管理会社と施工会社との間で、揉めごとが発生するケースもあるといいます。

管理組合側が修繕工事に対する関心が低く、すべてを施工会社任せにしてしまうと、後々トラブルにつながってしまう恐れもあるでしょう。そのため、トラブルを事前に防ぐためにも弁護士やマンション管理士といった外部の専門家を外部顧問として迎え入れたうえで、管理体制を整えておく必要があります。

【トラブル8】契約後に工事が実施できないと伝えられた

トラブルのなかには、契約通りに工事が実施できないケースもあるといいます。

そのため契約前に複数の業者から相見積もりを取り、さらにはプレゼンテーションまで行ってもらうなど、事前に信頼できる施工会社を見極めることが大切。また、顧問弁護士などがいる場合は契約書の内容を精査してもらい、管理組合が不利になる条件が記載されていないかどうかなども確認しておくと、安心です。

【トラブル9】店舗看板の脱着費用がかかる……

建物の1階で店舗が経営されている場合、壁面に取り付けてある店舗看板は外壁の補修時に取り除くこともあるのですが、その脱着費用や代替え看板をどうするかでトラブルに発展してしまうケースもあるようです。

基本的に外壁は共用部分となるため、看板を取り付けた店舗側で脱着費用を支払う必要があるものの、施工会社には念のため取り外さなくても良いか相談しておきしょう。

【トラブル10】施工会社が倒産した

かなりのレアケースかと思いますが、万が一施工会社が倒産してしまった場合、当然、修繕工事の継続は難しくなってしまいます。

完成間近でない限り継続は難しく、請負契約は解除されることがほとんど。そうなると工事の出来高によって清算を行い、前払い金を通じて払い過ぎてしまっているお金は返金してもらいます。そのうえで、新たに施工会社を探していくことになるでしょう。

工事期間中に倒産する確率を抑えるのであれば、経営状態が分かるような書類を見せてもらえると安心です。

【トラブル11】移動先の駐車スペースで車が傷つけられた

大規模修繕を実施するとき、場合によっては現在駐車している車両を、ほかの場所へと移動させる必要も出てきます。

ただ施工会社が用意した移動先の駐車スペースは、監視の目が行き届いていないこともあり、車両が傷つけられるケースも。できるだけ安全な駐車場を探してもらうよう、施工会社には相談してみましょう。

大規模修繕「後」に考えられる2つのトラブルとその対策

大規模修繕後に起こりうるトラブルについても、以降でまとめてみました。

【トラブル1】施工不良

大規模修繕後、しばらく経った後に修繕した箇所のひび割れが発生したり、雨漏りが発生したりといったトラブルが生じる可能性もあります。

そのため施工会社を選ぶときには、工事後の定期点検や長期の保証期間を設けているなど、アフターサービスの充実した業者を選びましょう。

なお、トラブルへの事前対策としては大規模修繕の瑕疵保険に加入しておく方法もあります。工事の際に保険会社の現地検査を受けておく必要があり、もし予算に余裕があるのなら加入を検討したいところ。

瑕疵保険に加入しておくと、工事終了後に傷や施工不良などが発覚したとき、修繕費用の80%程度を負担してもらうことができます。

【トラブル2】見積もりにはなかった追加費用の請求

工事費用は、事前の見積もりを理事会や修繕委員会などが確認してから契約を結びます。そして本来、施工会社は見積もりになかった追加の費用が必要になった場合、管理組合側への確認を行ってから工事を進めなければいけません。しかし、工事が完了した後に、見積もりになかった費用が追加で請求されるケースもあるようです。

事前の確認がないまま追加費用が必要な工事を行うことを未然に防ぐためにも、施工会社に工事を任せっきりにするのではなく定期的にコミュニケーションをとる機会を設けましょう。

工事完了後まで任せられる業者選びを!

マンションの大規模修繕のトラブルは、施工前や工事期間中だけでなく、終わった後にも発生する可能性があります。そのため施工会社を選ぶ際には、極力、アフターサービスが充実した業者を選ぶと良いでしょう。

なお、施工会社の選び方については以下の記事で、詳しく解説しています。

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