大規模修繕

大規模修繕って法律でどう定義されてるの? 関連する法律も解説!

2021.02.01
大規模修繕って法律でどう定義されてるの? 関連する法律も解説!

十数年に一度の周期で実施する大規模修繕ですが「大がかりな修繕工事」というざっくりしたイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし建築基準法で、その定義が定まっていることはご存知でしょうか。

ここでは、大規模修繕の定義はもちろん、関係する法律について解説していきます。

建築基準法による「大規模修繕」の定義とは?

大規模修繕

「大規模修繕」とは主要構造部の一種類以上を過半して修繕することを指します。この主要構造部とは後ほど紹介しますが、壁・柱・床・梁・屋根・階段などのことです。

例えば全面積の半分以上の壁について、外壁塗装を行う場合などは「大規模修繕」だと定義されるわけですね。

以降では大規模修繕以外の定義も、紹介していきます。

建築基準法の「主要構造部」ってどこ?

主要構造部とは「壁、柱、床、梁、屋根又は階段」などを指します。

建築基準法第2条5号では「主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。」と定義されています。

これらは耐火性能や近隣への延焼、避難時の安全確保で重要かなど、防火上の観点から定められています。そのため間仕切り壁や最下階の床、屋外階段など避難時にはあまり重要ではないとされる箇所は、主要構造部に含みません。

大規模修繕と似ている「模様替」の定義は?

建築基準法では、主要構造部の一種類以上の過半を超える箇所で、建物の構造や規模、機能を保つ範囲で素材を変えて行う工事を「模様替」と定義しています。

例えば木造の柱6本のうち、4本を鉄骨という別の素材に変えた場合は「模様替」です。

ここで気になるのが、「修繕」と「模様替」の違いについて。

修繕は一般的に、修繕前と同じ材料を使って元の状態に戻す工事のことです。一方で模様替は材質が異なる素材を使って行う工事といえます。

機能向上が目的の「改修」にも定義がある!

「修繕」は修繕前と同じ素材を使って、元の状態に戻すことが目的です。対して「改修」は、バリアフリーやセキュリティ強化など、工事前よりも機能をさらに向上させる目的で実施します。

改修によって建物の機能が生まれ変わり、社会や住民のニーズに合った住環境が実現できれば、資産価値の向上も期待できるでしょう。

なお、「改良」は建物全体ではなく各部分を新しい物に取り替えたり、性能・機能を付加したりすることを指します。つまり、「修繕」と「改良」を加えた建物全体のグレードアップを「改修」と言うわけです。

国土交通省のガイドラインでは大規模修繕はなんと定義されてる?

国土交通省のガイドラインによると、マンションの資産価値を維持するために行う修繕・改修工事のうち、工事費用が多額で、長期間にわたる大規模な内容を「大規模修繕」と定義しています。

なお建築基準法では、耐火耐震性能についての最低限の水準を定めています。一方で国土交通省のガイドラインは、実際に居住する人々の生活水準の向上といった点にも言及しているのが特徴です。

大規模修繕に関係する法律にはどんなものがある?

定義がわかったところで、以降では大規模修繕に関係する法律もまとめてみました。

【法律1】共有部分の範囲や区分所有者の権利を定めた「区分所有法」

「区分所有法」とは、分譲マンションや中古マンションの管理体制について定めた法律です。専有部分や共有部分の範囲について明確な基準を定めるほか、区分所有者の権利なども決められています。

マンションでは区分所有法に沿って管理組合を構成します。また管理組合を取りまとめる管理者として、理事長を選任する必要もあるでしょう。

そのほか大規模修繕工事の予算などに関する最終承認は、マンションの購入者が出席する総会で実施する旨などが定められています。

【法律2】建て替えをスムーズに進めるための「建て替え円滑化法」

「建て替え円滑化法」では、マンションの建て替えを円滑に進めるための、さまざまな手続きや方法が定められています。

建て替えに関する意思決定のルールを定められることで、合意形成を円滑に進める狙いがあるこの法律。例えば区分所有者の権利を建て替え後のマンションにも移す仕組みを「権利変換」として定義しています。

またこの法律では、火災や地震などへの安全性が十分でないマンションについては、市町村長が建え替えを勧告することができることなども定められています。

【法律3】円滑な管理を促す「マンション管理適正化法」

「マンション管理適正化法」では、マンションの管理に関する基本方針や留意点などを定義。とくに管理に関わる区分所有者や管理会社、またマンション管理士などの努力義務が定められています。

例えば管理組合は、管理会社から提示された大規模修繕の費用に関して、中間マージンなどにより不当な利益が発生する可能性も考えられるでしょう。そのためマンション管理適正化法では、マンションの維持・管理のために本当に適正な金額かどうかを判断する義務などが記載されています。

大規模修繕時にも行政への「確認申請」は必要?

申請

マンションを建築する際、建築基準の規定に沿った工事が行われるかを検査するために「建築確認申請」を指定確認検査機関に提出しなくてはいけません。しかし、大規模修繕では一般的に確認申請は不要です。ただし、例外的に申請が必要なケースもあります。

例外的に申請が必要なケースとは?

外壁塗装や防水工事にとどまらず、主要構造部の一種類以上に対して過半以上の工事を行う場合には確認申請が必要です。無申請で工事を実施すると、罰則が科せられる可能性もあります。

例えば以下の2つのケースなど。

1.耐震対策工事
2.エレベーターのリニューアル工事

耐震補強工事では、主要構造部にあたる柱や床に補強工事を施すことが考えられます。とくに工事範囲が構造部の過半を超える補強工事であれば、確認申請を行う必要があるでしょう。

そのほか主要構造部の補強工事についても、工事範囲が過半以上であれば、確認申請が必要となります。

エレベーターのリニューアル工事には「全撤去型リニューアル方式」「準撤去型リニューアル方式」「制御部品型リニューアル方式」の3種類があります。

「全撤去型リニューアル方式」は、マンションに設置されたエレベーターをすべて撤去し、新しいエレベーターを導入する工事です。エレベーターを作動させる電気設備や建物の構造に関わる工事が必要となるため、確認申請が必要となります。

また「準撤去型リニューアル方式」は、エレベーター本体はそのままに扉や巻上機、制御盤などエレベーター本体以外を新しい素材へと取り替える工事です。この工事も多くの場合、確認申請の提出が求められます。

「制御部品型リニューアル方式」は、制御盤や電動機などを中心にエレベーターの制御に関連する部品の交換などを行う工事です。こちらは基本的に確認申請は必要ありません。

大規模修繕に関する法律を知ってスムーズな工事を実現しよう!

マンション管理適正化法など、大規模修繕に関連する法律も理解しておくと、実際の工事で問題に直面する場面も減らせるかもしれません。例えば耐震工事やエレベーターのリニューアルなど、確認申請の提出が必要かどうかを知っておくだけでも、想定外のトラブルを回避し、円滑な大規模修繕につながるのではないでしょうか。

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