大規模修繕は季節も重要⁉ おすすめの季節について解説
塗装工事を行うメリットとは? 具体的な作業内容や相場も確認しよう
マンションの美観を保つために欠かせないといえる塗装工事ですが、そのメリットや具体的な工事内容について、まだ一般的には知られていないことも多いのではないでしょうか。
この記事では「どんなメリットがあるの?」「どんな工事なの?」といった塗装工事の疑問について述べていきます。
塗装工事を行う3つのメリットをおさらい!
塗装工事とは、マンションの屋根や外壁表面などの古くなった塗装を塗り替える工事です。塗装によってマンションの外観を美しく仕上げるだけでなく、建物を劣化から守ることにもつながります。
ここでは、塗装工事の主なメリットについて改めておさらいしていきましょう。
【メリット1】建物を風雨から守る
外壁が雨にさらされて建物内部に雨水が染みこむと、内部の鉄筋が錆びてしまいます。浸水はマンションの耐久性を低下させるうえ、雨漏りやカビの発生原因にもなります。塗装工事は、こういった浸水を防ぐ目的があります。
また使用する塗料の耐用年数は、マンションの耐用年数にも影響を及ぼす可能性が考えられます。そもそも塗料の耐用年数は、すべて一律ではなく、種類によって異なります。例えば塗料の種類は大きくアクリル塗料・ウレタン塗料・シリコン塗料・フッ素系塗料の4つに分けられますが、なかでも外壁塗装において主流とされるシリコン塗料の耐用年数は10年程度といわれています。
塗料の耐用年数は、塗装工事を行う時期の目安として考えることもできます。
【メリット2】省エネ効果が期待できる
塗装工事で使用する塗料には、遮熱性や断熱性に優れた種類も存在します。
断熱は冬などに室内を温かく保つ効果があり、一方で遮熱は日光を反射させて室温の上昇を抑えることで、夏場に室内を涼しく保つ効果があります。断熱や遮熱性能のある塗料を使用することで、冷暖房機器の使用量の削減ができ、省エネ効果が期待できます。
【メリット3】外観の美しさを取り戻す
新築時のように、外壁の美しさを本来の状態に取り戻すことも塗装工事のメリットの1つといえるでしょう。
塗料のなかには汚れの付きにくいものや雨などの自然の力の利用によって汚れが落ちやすいものもあるので、外壁の美しさを可能な限り長く保ちたい場合は、汚れにくさなどの観点からも塗料の種類を検討してみましょう。
塗装工事を実施するタイミングの目安
塗装工事のメリットについて紹介しましたが、このメリットを最大限活かすには、定期的に塗装工事を行うことが大切です。
では、いつやればいいのか? ここからは塗装工事を行うタイミングについて紹介していきます。
【タイミング1】新築から10年以上経ったら
外壁塗装の劣化が目立つのは、通常新築から10年を超えたあたりといわれています。これは、塗装で多く使われているシリコン塗料の耐用年数が12〜15年程度とされているためです。
また国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」のなかでも、劣化が目立つタイミングに合わせて、大規模修繕の周期を「12年程度」と定めています。
なお、塗料の耐用年数はあくまでも目安です。以降で紹介する、塗料の見た目の変化とも照らし合わせながら、工事時期を決めると良いでしょう。
【タイミング2】見た目の劣化が激しくなってきたら
塗料は紫外線や雨の影響によっては、数年で劣化してしまう可能性もあります。とくにここ数年の間に自然災害が多発しているようであれば、塗料の耐用年数の目安よりも早く劣化する恐れがあるでしょう。
劣化を放置していると建材の腐食など、マンションの耐久性そのものに影響が及んでしまう場合もあるため、以下で紹介するよう劣化を見つけたら年数に関わらず早めに塗装工事を検討したいところです。
・ひび割れや剥がれ、カビなどが発生している
見てわかりやすい劣化として、ひびやカビの発生などがあげられます。剥がれた部分やひびから雨水が入ってしまうほか、湿気によって内部が腐食してしまう可能性があります。
・壁に触れた際、白い粉が付く(チョーキング)
チョーキングも、塗料が劣化してきていることを知らせる症状の1つです。防水性や耐久性が低下してきており、放置しているとひび割れや剥がれに発展する可能性もあります。
塗装のタイミングには季節も関わる!
外壁塗装には、気温が5度以上で湿度が85%以下での作業が推奨されているようです。また、雨が降りやすい季節だと施工日数が少なくなってしまうため、梅雨や台風の時期は注意が必要です。
春秋は雨の降りやすい時期を避ければ気温も湿度も安定していて作業しやすいといえます。夏は塗料の乾きが早いため、暑すぎる時期でなければ適しているでしょう。冬は最も乾燥しやすい時期であり、凍結や降雪のリスクが低い地域では向いていると考えられます。
具体的な作業工程を確認していこう!
次に、塗装工事は具体的にどういった作業工程を経て行われていくのか、確認していきましょう。
【工程1】仮設工事
足場の設置は、高所作業において作業員の安全を守るためにも必要な設備です。
低階層のマンションの場合は、足場を組み立てて作業をすることがほとんどです。一方、高階層のマンションや足場を組み立てられない立地での作業は、ロープやゴンドラなどを使用する無足場工法で行う場合もあります。足場を組み立てたら、塗料などが飛び散らないよう、飛散防止ネットで足場を覆います。
そのほか、作業に必要な事務所や簡易トイレなどの仮設施設の設置も行います。
【工程2】高圧洗浄
外壁に付着している汚れや古い塗料を、高圧噴射して水で洗い落とす作業です。
塗装箇所が汚れたままでは塗料が定着しにくくなってしまうため、塗装箇所の汚れ具合に合わせて水圧を変えながら丹念に洗浄していきます。
【工程3】下地処理
外壁のひび割れの補修や、高圧洗浄で落とし切れなった汚れなどを丁寧に落としていきます。ひび割れの補修には、多くの場合、隙間を埋めることを目的としたシーリング工事を行います。高圧洗浄と下地処理を丁寧に行うことで、後の塗装作業の仕上がりが大きく変わります。
【工程4】養生
マンションにはガラスや窓など、塗料が付着すると困る箇所があります。そのような箇所をビニールやテープで保護し、塗料で汚れてしまうのを防ぐ作業となります。
【工程5】下塗り
塗装は3回に分けて行われるのが基本ですが、下塗りはその1回目にあたる作業です。この作業のときに使用されるシーラーやフィラーと呼ばれる下塗り剤は、外壁と、後に塗ることになる塗料とを接着させる役割があります。
下塗りによって塗装面を平らに整えることで、上塗りで使う塗料の密着性を高めることができます。
【工程6】上塗り
下塗りが完全に乾いたら、いよいよ外観をきれいに保ったり、保護したりする効果を持つ塗料を塗る作業に移ります。
使用する塗料の性質や塗装箇所の材質にもよりますが、2回に分けて塗るのが一般的です。2回に分けて塗装することで、厚みを持たせたり、表面を整えたりする効果があります。1回目の塗りを中塗り、2回目の塗りを上塗りと呼ぶ業者が多いようです。
【工程7】点検・足場解体
塗装が乾いたら、仕上がり具合を確認していきます。業者と依頼主が一緒になって点検を行い、そこで問題が無ければ、足場や仮設した施設を解体して作業終了です。
気になる塗装工事の費用相場は?
さて、ここまで工事の流れを解説してきましたが、気になる工事費用はどれぐらいなのでしょうか。
工事費用の相場について見ていきましょう。
塗装工事全体の費用は数百万円以上!?
まずは、塗装工事全体の相場感を確認しましょう。
国土交通省の2017年度調査によると、大規模修繕費用の1戸当たりの相場は75〜100万円が最も多い30.6%、次いで1戸当たり100~125万円が24.7%という割合になっており、だいたい75〜125万円が相場といえるでしょう。
同調査によると、全工事金額の内訳のうち外壁塗装の割合は17.3%となっていることから、仮に1戸当たりで計算してみると、約13〜22万円が外壁塗装の相場であると考えられます。あくまでも単純計算ですが、例えば40戸あるマンションであれば、全体で520〜680万円程度の工事費用がかかることになります。
もちろんこの金額はあくまでも最も多い平均値であって、建物の規模や形状や立地、工事内容などによって金額は異なりますが、少なくとも数百万以上はかかるといえるでしょう。
内訳ごとの相場感もチェック!
次に、塗装工事の内訳ごとに費用の相場を見ていきましょう。こちらも業者や状況によって増減しますので、あくまでもおおよその参考として確認してください。
補助金や助成金の活用も視野に入れよう!
「費用が高くて……」と課題となることも多い塗装工事ですが、実は補助金や助成金が受け取れることをご存じでしたでしょうか。
地域などによって制度内容に差はありますが、ぜひ活用を検討したいところ。そこで、塗装工事で利用できる補助金・助成金についても紹介していきます。
制度の申請は各自治体へ
塗装工事で補助金・助成金を受け取るには、自治体に申請をする必要があります。
補助金・助成金制度の申請条件などを確認するためには、自治体のホームページ、または一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が運営している「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和元年度版)」での検索が便利です。
基本は省エネを目的とする工事が申請条件
補助金・助成金をもらうための条件の1つとして、環境に配慮した工事であることがあげられます。自治体によっては通常の塗装工事に関しても対象としているところはありますが、多くの場合、断熱効果や遮熱効果のある塗料を使用する塗装工事があてはまります。
また、多くの制度が以下のような条件も原則としています。
・税金を滞納していない
・居住目的の建物である
・反社会的な組織とつながっていない
補助金・助成金のなかには、使用する塗料や業者が自治体から指定されることもあるため、こちらも事前に確認しておきましょう。
業者選びのポイントもチェック!
塗装工事について理解できてきたところで、次からは塗装業者を選ぶポイントについて、解説していきたいと思います。
【ポイント1】「外装劣化診断士」や「建築士」の有無で判断
資格は一定の基準を満たした職人や業者である証明ですので、その業者が信頼できるかどうか判断するうえで、わかりやすい指標といえます。
マンションの外壁塗装に関する主な資格には、以下のようなものがあります。
【ポイント2】見積書に記載されている内容は具体的か
見積書の形式などは決まったルールがないため、業者によって書き方に差が出ます。そこで丁寧な業者かどうか見極めるポイントとして、以下の主に2つを確認しましょう。
・塗料のメーカーや商品名が記載されているか
・工程や費用を「一式」などでまとめず、細かく記載しているか
使用する塗料の商品名やメーカーの記載があることで、事前にメーカーのホームページなどで成分を調べることができます。また見積書の詳細な項目を「一式」として省略している業者は、必要な工事を省いていたり、逆に不必要な工事を加えていたりする可能性もあるため、業者に納得のいく説明を求めてみましょう。
【ポイント3】工事後の保証が充実した業者を選ぶ
高額になりがちな塗装工事だからこそ、万が一工事後に不具合が生じた場合に備えて、保証が充実しているかどうかも大切です。
業者によって保証の内容は異なりますが、通常、保証期間内の定期的な点検と施工ミスなどによる不良箇所の修復を行ってくれます。保証期間はどの程度あるかも、あわせて確認しておきましょう。
【ポイント4】一括見積もりサイトの運営元まで確認する
塗装工事を依頼する際、一括見積もりサイトなどを参考にする方も多いと思います。しかしこういったサイトのなかには、業者の選定基準があいまいで、質の悪い業者が混ざっている場合もありえます。
そういった業者を避けるためには、一括見積もりサイトの運営元が信頼できるかどうかまで含め、多方面から慎重に確認をしておきましょう。
塗装工事によってマンションの資産価値を保つ
塗装工事は美観だけでなく、マンションを保護することで資産価値を保つ役割も担います。頻繁には行わない工事であり、費用も高額だからこそ、使用する塗料や依頼する業者は注意点に留意をしながら慎重に慎重を重ねて選び、失敗のない塗装工事を実現しましょう。
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