理事・管理

修繕積立金不足に陥るマンションの特徴とは? 破綻しない方法も解説

2022.08.10
修繕積立金不足に陥るマンションの特徴とは? 破綻しない方法も解説

階段の損傷やエレベーターの故障、漏水といったマンションの不具合。資金不足で修繕できなければ、マンションの運営は破綻してしまいます。そんな事態を避けるためにも、修繕積立金の不足を防ぐ方法を知っておきましょう。

修繕積立金不足に陥るマンションの特徴

積立金が足りなくなるマンションはそうなりやすい特徴を持つ

長期修繕計画書が不適切

長期修繕計画書とは、将来予想される大規模修繕工事の時期を決めたり、工事のための収支計画を立てたりする計画書です。

計画書のなかには、工事のペースや費用が不正確に見積もられていたり、計画にもとづかないまま修繕積立金の金額が設定されてしまうものがあります。

このように計画書が不適切だと、工事の頻度が少なすぎたり、積立金額が低すぎたりして、修繕積立金が足らなくなってしまう可能性があるのです。

積立金の滞納者が増加

修繕積立金の滞納者が増えていくと、資金が少しずつ不足していってしまいます。

積立金の支払い義務は法律で定められています。そのため「滞納する人なんてあまりいないんじゃないか」と思う方もいるかもしれません。

ところが「平成30年度マンション総合調査」によると、3カ月以上滞納している住戸がある管理組合は、調査総数の24.8%にも達してます。

5棟のうち1棟以上のマンションが長期的な滞納者を抱えている計算であり、決してあり得ない事態ではないのです。

積立金の値上げを先送りにしている

修繕積立金が将来不足する場合、毎月の積立金額を引き上げなければなりません。値上げにはマンションの総会で、住民の同意を一定数得る必要があります。

ところが、値上げによって住民の金銭的負担は増えるので、総会でなかなか同意が得られないケースがあるのです。

特に、住民への説明が不十分なまま値上げを提案したり、高額な値上げだったりすると住民の反発が大きくなる可能性は高いでしょう。

反発への対応策を講じないまま修繕積立金の引き上げを先送りにしてしまえば、資金が足らなくなるのは時間の問題です。

修繕積立金不足を防ぐ4つの方法

1. 長期修繕計画は定期的に見直す

数十年もの長い期間を掛けて行っていくものなので、定期的な計画の見直しが必要

修繕積立金を不足させないためには、長期修繕計画を修正していく必要があります。

なぜなら、計画にもとづいた積立金の収入よりも、実際の支出が大幅に上回ってしまう可能性があるからです。

計画は一般的に25~30年以上の長期間を対象としています。期間が長いほど、予想以上に建物が劣化したり新たな修繕箇所が発生したりするなど、メンテナンス費用がかさむ事態が起こり得ます。

このような収支のギャップは、年月を経るごとに拡大していく傾向にあります。そのため定期的に計画を見直して、金額差をこまめに是正していくことも大切です。

国土交通省は「長期修繕計画作成ガイドライン」において、5年程度での計画の見直しを推奨しています。以下の記事も参考にして、計画を改善していきましょう。

2. 値上げについて住民の理解を得る

修繕積立金の引き上げに反対している住民を説得することも大切です。

話し合いにあたっては、値上げを行うべき明確な根拠を提示するといいでしょう。

例えば国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、マンション規模に応じた修繕積立金の平均値が記載されています。平均値より低い金額であれば、値上げを行う有力な根拠になるでしょう。

また、住民に対して値上げの是非を問うアンケートを行うことも効果的です。賛成が過半数以上であれば、反対している人も大多数の考えを尊重して、意見変更してくれるかもしれません。

3. 削減可能な支出は切り詰める

修繕費以外の支出を削減することによって、余剰分を修繕積立金に充てることができます。主な方法を以下に紹介します。

・管理委託費を抑える
・設備契約や機器の変更
・保険契約の見直し

管理委託費は、委託する管理会社と値下げ交渉したり、委託先を変更することで削減できます。

設備に関する見直しは、例えば電気機器で可能です。白熱灯を維持コストが低いLED照明にしたり、メンテナンス契約を見直すといった対策が考えられるます。

また、維持管理費が比較的高い機械式駐車場の稼働停止も効果的でしょう。

保険は地震保険を解約するなど、補償契約の見直しでコストを抑えることが可能。また、契約期間をより長期にすることで、保険料の割引が受けられる場合もあります。

4. 滞納者には早めに督促を行う

修繕積立金の滞納者に対しては、できるだけ早期に督促を行いましょう。

なぜなら、修繕積立金の時効は5年と決まっており、時効を成立させないようにする必要があるからです。

督促にどうしても応じない場合は、訴訟や裁判手続きといった法的措置も検討するべきでしょう。

まずは長期修繕計画の見直しから

修繕積立金を不足させないためには、積立金の値上げや支出の削減、滞納者への督促など様々な方法があります。

そのなかでも、まずは長期修繕計画の見直しから取り組んでいくべきでしょう。

なぜなら、計画を確認してみないとそもそも修繕積立金が将来不足するかどうかわからないからです。

計画は定期的に見直して、常に収支のバランスが取れるようにしたいですね。

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