相場は約1万5000円! 管理委託費の割高な支払いに要注意
管理組合がマンション住民から毎月集める費用には、「修繕積立金」と「管理費」の2つがあります。
修繕積立金は大規模修繕に、管理費はマンション運営の維持・管理に使う費用です。管理費の大部分は、「管理委託費」として管理会社への業務報酬に支払われます。
管理委託費は、月々支払っている金額が適正額よりも割高な場合があるので注意が必要です。
適正でない金額の支払いを避けるため、管理委託費の相場や項目について解説していきます。
管理委託費は管理会社に支払う費用
「管理委託費」は、マンション管理会社に対して日々の管理業務の対価として支払う費用です。
管理会社の人件費と経費、および利益に充てられます。日々の清掃業務など毎月定額でかかる費用に加え、消防設備や配水管、植栽の手入れなど、必要に応じて請求される費用もあります。
区分所有者から毎月集める「管理費」の一部を管理委託費として管理会社に支払います。管理費と管理委託費はよく混同されがちですが、管理委託費は管理会社へ支払うお金のみを指す言葉です。
例えば、共用部分の電気代は管理費から支出しますが、支払先が電気会社であるため管理委託費に該当しません。管理費と管理委託費は、必ずしも「=」の関係ではない点を覚えておきましょう。
管理委託費相場がわかる2つの資料
管理委託費が適正な金額かどうかを判断するために、費用相場を把握しておきましょう。ここでは相場を知るために参考になる、2つの資料を紹介します。
なお、いずれの調査結果も、提示している金額は管理委託費ではなく管理費の金額です。
国土交通省の「マンション総合調査」が示す1㎡あたりの平均額は217円
1つ目の資料は国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」です。この調査結果からは、管理費の全国平均額がわかります。
管理費の平均額は、1戸あたり月額で単棟型マンションで1万6213円、団地型は1万4660円となりました。
1㎡あたりで見ると平均は217円です。
金額別の割合を見ると「1㎡あたり200円超300円以下」が全体の20.3%と最も多く、次に多かったのは「1㎡あたり150円超200円以下」の16.2%という結果となっています。
スタイルアクト社の調査結果で建物の特徴に応じた傾向がわかる
2つ目は、不動産の調査・分析レポートの作成やコンサルティング業務を行う、スタイルアクト株式会社が発表したデータです。
この調査では、「マンションの平均価格(※)が3500万円以下だと管理費の単価は168円」のように、「マンションの単価が高い物件ほど、管理費は高くなる」「総戸数が管理費の価格に影響を与える」といった、建物の特徴に応じた管理費の傾向が示されています。
※平均的なマンションの専有面積である70㎡に換算した場合の平均価格
マンション総合調査の全国平均額に、スタイルアクト社の調査結果を加味して考慮すると、お住まいのマンションに適性な管理委託費用額をより正確に把握できるでしょう。
管理委託費の内訳と相場
次に、管理委託費の相場金額を項目別に見ていきましょう。
管理業務委託費
清掃や事務作業など、日々管理会社に委託している業務に係る費用相場は以下の表の通りです。
管理業務に含む項目は、管理会社との契約によりけりです。
設備管理費
次に、設備管理に関わる費用も見てみましょう。
当然ながら、管理対象となる設備が多いマンションほど、高額な費用が必要となります。
相場金額からかけ離れている場合は管理会社に相談する
現在支払っている管理委託費と相場を比較し、適正額かどうかを判断しましょう。
前述の項目別の相場を参考に、割高だと考えられる項目があれば管理会社に相談してみてください。
ただし、前述のスタイルアクト社の調査結果にある通り、管理委託費はマンションの特徴によって上下するため、費用相場だけでは判断できない場合もあります。総戸数などの条件によっても費用は大きく変わるので、マンションの実情を正しく把握するのが重要です。
管理委託費の相場は1戸あたり1万5000円程度
今回は管理委託費の相場について説明しました。
管理委託費の相場は1戸あたり15,000円が目安。もしも、お住まいのマンションで支払っている金額が相場から大きくかけ離れた金額であれば、管理会社へ確認が必要かもしれません。
相場よりも目立って高い金額であっても、マンションの特徴によっては適正金額といえる場合もある点は覚えておきましょう。