雨漏りの修繕費用っていくら? 発生場所ごとの相場や調査費用を紹介
「雨漏り診断士」ってどんな資格? 雨漏り修理業者の選び方や相場も
雨漏りへの対策はマンション管理の重要なタスクの1つですが、そこで頼りになるのが「雨漏り診断士」です。雨漏り診断士は建物の構造によって複雑化する雨漏りについて、根本的な原因究明の手助けをしてくれる存在です。今回はそんな雨漏り診断士について、調査を依頼する場合にかかる費用感や選び方などを紹介していきます。
雨漏り診断士は雨漏りのプロ
一言で雨漏りといっても、原因は外壁にあったり屋根にあったりとさまざま。正しく対処するために、雨漏りの原因を見極めるのが雨漏り診断士の役割です。
建物の基礎知識、雨仕舞いと防水・塗装の基礎知識、雨漏り診断の実例・実務に関する試験をクリアした人が取得できる資格となっています。
そもそも雨漏り診断士とは、NPO法人「雨漏り診断士協会」が認定する民間資格のことです。基本的には実務経験がなくても資格を取ることができます。
といっても資格を取る人のほとんどは、雨漏り修理などを専門に行う業者に勤める人です。一般的には現場で実際に作業する人とは別に、雨漏り診断士が施工会社内に在籍しているケースが多いようです。
雨漏りの原因は複雑! だから「雨漏り診断士協会」はできた
時代の変化とともに、建物の構造や使用される素材などが多様化するなかで、雨漏りのメカニズム自体も複雑になってきました。
基本的に雨漏りが発生する箇所としては、外壁・屋根・ベランダの3つが考えられます。主な原因としては継ぎ目に使用している材料や表面に塗られていた防水機能を持つ塗料の劣化、さらにひび割れなどが挙げられますが、なかには原因が表立ってあらわれないこともあります。
純粋に長年の工事経験だけに頼るやり方では、雨漏りの真の原因を見逃す恐れがあり、何度修理しても雨漏りが収まらないという事態を起こしかねません。
そこで実際に雨漏りを修理する人とは別に、雨漏りのメカニズムに精通した人が原因を分析する必要が出てきました。
こういった背景のなかで雨漏りの予防や原因究明に特化した専門機関を立ち上げ、その知識を工事業者に提供しようと設立されたのが「雨漏り診断士協会」です。そして雨漏り診断士協会が定期的に実施する認定試験や技能講習を受けた人が、はれて「雨漏り診断士」の資格を得られるわけです。
雨漏調査の相場は20万円程度
では実際に雨漏り診断士に、調査を依頼する場合どのぐらいかかるのでしょうか。
雨漏りの範囲や調査方法によって費用が異なることを念頭に置いたうえで、本格的な雨漏りの診断調査を実施する場合、雨漏り修理を専門に行う「雨漏り110番」によると、一般的な相場は20万円前後だそうです。また調査を行う際には、外壁塗装などと同様に足場の設置やブランコ、ゴンドラが必要となるため、調査費用とは別途コストがかかります。
なお、外壁の継ぎ目や窓周りなどの開口部の簡易的な補修の場合、コーキング(コンクリートやレンガなどの隙間・継ぎ目を専用の材料で埋めること)による応急処置によって対応をすることもあるよう。こういった場合は、調査費用はかからず、一般的な相場は数万円程度だといいます。
ただし不具合の簡易補修に関しては、根本的な原因を特定せずに行うため、部分的に補修を行ってもその場しのぎで再度雨漏りが発生する可能性もあります。繰り返し補修を行うことで相応のコストがかかるのであれば、はじめから本格的な雨漏りの調査を依頼したほうが賢明な場合もあります。
雨漏りの調査方法をもう少し具体的に見ていくと、「目視調査」「散水調査」「発光液調査」「赤外線サーモグラフィ調査」の4つがあります。それぞれの調査費用の相場は以下の通り。
散水調査や発光液調査、赤外線サーモグラフィ調査など専用の機械を使用する調査方法ほど、費用が高額になる傾向があります。
なお、雨漏りの修繕費用については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
雨漏りの修理費用は、劣化状態によっては100万円以上に
雨漏りの原因が特定できたら、今度は該当箇所の修理をしていく作業となりますが、このときにかかる費用も確認していきましょう。
外壁塗装の専門業者「プロタイムズ総研」によると、基本的に前述したコーキングによる簡易的な補修工事であれば、2~20万円程度で済むケースもあるよう。
しかし新築から10年以上が経過して、大規模修繕などと同じタイミングで全体の防水工事を施す場合は100〜300万円程度となり、マンションの規模や劣化状態によってはそれ以上の費用がかかる場合もあります。
なお、屋上や外壁、ベランダなど場所ごとの修理費用の目安は以下の通り。前提として使用する資材や修理の範囲により費用は大幅に増減するため、あくまでも参考となります。
雨漏りの修理は火災保険で補えることもある!
高額になる可能性もある雨漏りの修理ですが、台風や大雨など、自然災害が原因の雨漏り修理は火災保険で補える可能性があります。
ただ、経年劣化が原因の雨漏りに関しては例外とされるケースがほとんど。台風によって発生した雨漏りでも、経年劣化を放置したことが原因で、保険金を受け取れないケースもあるといいます。
そのほか、保険の種類によっては水濡れによる損害が対象外となっている可能性もあるので、管理組合などで加入している火災保険の補償内容を一度確認してみましょう。
なお、雨漏りの解決方法について以下の記事でも詳しく解説しています。