大規模修繕

長期修繕計画の見直しはなぜ必要?そのタイミングは? 注意点も紹介

2021.01.28
長期修繕計画の見直しはなぜ必要?そのタイミングは? 注意点も紹介

マンションの修繕工事の内容・時期・費用を明確化する「長期修繕計画」。一般的に新築時に用意されますが、定期的に建物の劣化状況や物価変動などを考慮した見直しが必要です。今回は長期修繕計画の見直しのタイミングや注意点について解説します。

長期修繕計画を見直す理由とは?

長期修繕計画は将来行われる大規模修繕の工事内容や費用を予測し、住民が毎月支払う修繕積立金額を計算するためにつくられます。

なるべく正確な費用を知りたいものですが、とはいえ最初にすべてを正しく予想するのは困難です。例えば、建物の劣化スピードはマンションの立地や日常的な管理方法などによって大きく変わります。予想以上に傷みが激しかったり、新たな修繕項目が発生したりするケースも少なくありません。 また、新しい材料・工法の開発や物価の上昇、人件費の高騰、増税など社会情勢の変化が工事費に影響することもあります。

長期修繕計画は25~30年以上という長いスパンで考えるからこそ、定期的に見直しを行わなければ、当初の計画とのギャップで修繕積立金が不足するリスクがあるのです。計画とのずれが激しくなると、修繕積立金などを大幅に増額しなければならないため、こまめに見直しを行ったほうが良いでしょう。

長期修繕計画を見直しするタイミングは?

【タイミング1】国土交通省は「5年ごと」を推奨

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、長期修繕計画の内容について5年程度で見直すことが推奨されています。なぜ5年かというと、建築技術や法令が5~10年ほどで変わることが多いためだといいます。鉄部の塗装など数年おきに修繕が必要な項目もあるため、やはり5年程度で劣化状況を確認するのが望ましいでしょう。

【タイミング2】大規模修繕「後」

大規模修繕

大規模修繕が終わった後も、長期修繕計画を見直すケースは多いといいます。実際にかかった費用や、今回の工事でやり残した内容などを反映させると、積立金の値上げが必要になるケースも多いようです。

長期修繕計画を見直す4つの方法

長期修繕計画の見直しは、主に次の4つの方法があります。

【1】管理組合で見直す

国土交通省のマンション標準管理規約では、長期修繕計画の作成や変更について、管理組合の業務と位置づけられています。管理組合のみで修繕計画を見直せば、コストも抑えられるでしょう。

しかし長期修繕計画の見直しは、非常に専門性の高い業務です。一級建築士やマンション管理士などの専門家がいない場合、管理組合のみで進めるのはなかなか難しいといえます。

【2】管理会社に依頼する

管理会社とは、管理組合からマンション管理を委託される専門業者です。長期修繕計画の見直しは、無料で行われることもあれば、10~50万円程度の費用がかかることもあります。

費用があまりかからないのは良いと思うかもしれませんが、ガイドラインに沿ってしっかりと計画を見直すには、調査・診断などのある程度のコストが発生するものです。管理会社に依頼する場合、修繕周期のみを修正するといった簡単な見直しも多く、マンションの実情に合わない提案がされてしまう可能性もあります。

【3】コンサルタントに依頼する

コンサルティング会社

国土交通省の「マンション標準管理規約」では、マンション管理士などのコンサルタントの活用が推奨されています。コンサルタントとは今後の修繕計画や修繕積立金の予測などのアドバイスをする、マンションの管理・運営の専門家のことです。

顧問契約で継続的なサポートを依頼する場合、月額料金は3~5万円程度です。スポット的な契約で長期修繕計画の見直しのみを依頼する場合、基本料金は約10万円が相場です。精密な建物診断を行うなら、追加で約60~100万円の費用がかかります。

【4】外部の専門家に新規作成してもらう

外部の建築家や設計事務所に、新しい長期修繕計画を立ててもらう方法もあります。一から作成するので、住民が感じている不満や、現在の問題点などを反映しやすいのがメリットです。

デメリットは、費用が高額になってしまうこと。外壁や防水などすべての箇所を確認するため、数百万円かかることもあるようです。

また、せっかく新しい長期修繕計画を作成したのに、管理会社に認められなかったというケースも。管理会社・管理組合・外部専門家が協力して見直し、もしくは新たな計画作成を行うと、トラブルにもつながりにくいでしょう。

長期修繕計画を見直す際の注意点は?

多額の費用がかかる、大規模修繕工事。余計なコストをかけすぎず、修繕積立金の大きな不足が生じないようにしたいところ。では修繕積立金を計算する際に必要となる長期修繕計画を見直すときは、どういった点に注意すれば良いのでしょうか。

【注意点1】40年先までを見据えた計画を立てる

長期修繕計画のガイドラインによると、計画期間は25年以上、新築においては30年程度が推奨されています。しかし築30年までにすべての工事が終わらないケースも多いため、40年先までを見据えた計画を立てるのが理想的です。

例えば、ガイドラインによると玄関ドアや窓サッシなどの取り替えは、修繕周期が36年程度。また最近の給排水管は耐用年数が伸びており、築30~40年で工事が行われるケースが増えています。30年ではなく40年計画で考えると、ちょうどすべての工事が一巡する形になります。

【注意点2】将来の修繕費を安く設定しない

修繕積立金の値上がりを防ぐため、なるべく将来の修繕費を安く設定しようとするケースがありますが、あまりおすすめはできません。また修繕積立金の増額を先延ばしにしたところで、いつか不足分は補わなければならないもの。先延ばしにすればするほど、後の見直しで大幅に増額しなければならず、管理組合や住民の合意が得にくくなります。

【注意点3】緻密な長期修繕計画にしない

長期修繕計画はあくまでもシミュレーション。修繕積立金の額を正確に知りたいと思うかもしれませんが、いくら正確に見積もっても、将来的な技術開発や物価変動でどうしても予測はずれていきます。

一度の見直しに莫大なコストをかけるのではなく、概算で予測を立てて定期的に計画を見直した方が良いでしょう。

適正金額の積み立てで余裕を持って修繕費用を確保する

長期修繕計画は、5年ごとを目安とする定期的な見直しが必要です。またいくら緻密に計画を立てても、社会情勢や劣化状況によって現状とのずれは出てくるもの。

そのため余裕を持って修繕費用を確保するためにも、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に記載されている値などを参考に、適正な金額の修繕積立金を積み立てていきましょう。

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