連載:ついにやって来た!大規模修繕

防水工事はなぜ必要? コストを抑えるには?

2021.07.02
防水工事はなぜ必要? コストを抑えるには?

大規模修繕を控えた皆さんに向け、修繕工事のいろはを説明していくこの連載。今回は防水工事がそもそも必要な理由や、信頼できる業者を選ぶポイントについて解説していきます!

防水工事とは? 必要なワケは?

防水工事

防水工事は、建物を雨や紫外線から守る工事のことです。まず、下地に防水材を重ねて塗ることで「防水層」を作る。その表面にさらに「コーティング専用の塗料」を塗ることで、構成します。

外壁塗装と同じように、新築時の防水効果が永続的に続くことはありません。紫外線や風雨にさらされることでコーティング部分や防水層は劣化。定期的に、防水工事を実施する必要があるのです。

とくに建物は年月が経つと、外壁などに「クラック」と呼ばれる小さなひびが生じることもあります。そのひび割れ部分から侵入した雨水によって、柱や鉄筋の劣化、腐敗を引き起こし、建物全体の寿命を短くしてしまう可能性も。雨や雪が多いとされる日本では、防水工事によって雨から建物を守ってあげる必要があるわけですね。

また、水漏れによる湿気は「カビ・ダニ」の原因となり、健康被害をもたらすことも。建物の耐久性を保つだけでなく、人への悪影響も防止する目的があります。

屋上とベランダが主な工事箇所

防水工事を行うのは、基本的に建物の屋上部分と各部屋のベランダです。

屋上は雨が最初に当たる部分のため、想像しやすいかもしれません。

一方でベランダは、床部分に雨が浸透するのを防ぐため。雨が浸透すると、下の階への雨漏りにつながったり、床材そのものが脆くなることでひび割れにつながったりするからです。

屋上とベランダが主な工事箇所

防水工事をやるべきタイミングは?

基本的に、次のような症状が現れたとき、防水工事が必要な合図です。

・表面が色あせてきている
・表面部分にひび割れが発生している
・下地が膨れ上がっている

いずれの症状も、使用した塗料の性能が劣化してきたタイミング。コーティング部分の防水材の劣化なのか、それとも防水層として機能している防水材の劣化かは、専門の業者に判断を仰ぎましょう。

防水工事の費用は使用する素材によって前後する!

防水工事では、どんな素材を防水層として使用するかによって金額が変わってきます。ベランダ向きか屋上向きかも踏まえて、素材別の特徴や費用を見ていきましょう。

屋上向けの素材

屋上向けの素材としては、次の3つ。

・アスファルト防水
・塩ビシート防水
・ゴムシート防水

「アスファルト防水」は、加熱して融解したアスファルトのシートを重ね貼りします。メリットとしては耐荷重性に優れており、耐用年数が長いこと。デメリットは、工事前にアスファルトを加熱融解する際、煙と独特の臭いが発生してしまうため、周囲への配慮が必要となる点です。

「塩ビシート防水」は、塩化ビニール樹脂で作られた防水シートを、接着剤などで下地に貼り付けたもの。防水層と下地が一体化し、内部に雨水が流入しにくいといった特徴があります。また鳥害も受けにくく、鳥のついばみによる穴開けも発生しにくいメリットも。ただ、防水層が薄く、下地や外部からの力に弱いといったデメリットがあります。

塩ビシート防水

「ゴムシート防水」は、合成ゴム系の防水シートを下地に接着します。メリットはゴム製のため伸縮性が高く、亀裂が入りずづらい点。コスト面でも比較的安価です。一方で、シートが薄くて柔らかいため、鳥害など、外部からの損傷を受けやすいというデメリットがあります。

ゴムシート防水

ベランダ向け

続いて、ベランダ向けの素材は次の2つ。

・ウレタン防水
・防滑性ビニル床シート

「ウレタン防水」は、液状のウレタン樹脂で作る防水層。下地の形状に馴染みやすく、雨水の浸入を防ぐ性能が高い点もメリット。下地が複雑な形状の建物や、ベランダなどの小さな面積の場所に向いていると言われます。一方で職人さんがコテを使って手作業で仕上げるため、表面の均一さが業者の技術に左右されやすい点はデメリットです。

ウレタン防水

「防滑性ビニル床シート」は塩ビシート防水と同じく、塩化ビニール樹脂から作る素材です。「長尺シート」とも呼ばれます。その名の通り雨で濡れても滑りにくく、安全性に優れた素材です。滑りにくいだけでなく、遮音性が高く、足音が響きづらいという特徴も。加えて、汚れに強いのでお掃除が楽ちんです。多くのメリットを持つ素材ですが、平らな床面にしか施工できないというデメリットがあります。

防滑性ビニル床シート

業者を選ぶポイントは? 費用も抑えられる?

最後に、業者を選ぶポイントも見ていきましょう。

【ポイント1】見積もりは複数の会社へ依頼が基本!

この連載で度々お伝えしていることですが、業者選びの基本は複数社を比較検討すること。
そのためにも、複数社に見積もりを依頼しましょう。各社を比較することで、防水工事にかかる適正な価格も見えやすくなります。

また、管理会社に依頼するのではなく管理組合が主導となって業者を選定すれば、中間マージンが発生しない分、料金を抑えられる可能性もあるでしょう。

【ポイント2】保証が充実してい

業者を選ぶ際は、施工後の「保証制度」を用意しているかも、確認したいところ。保証内容は施工後一定期間内に不備があった場合、無償で不良箇所の修復を受けられる、といった内容が一般的です。

保証内容は施工業者によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

以上、今回は防水工事について、解説していきました。

防水工事の成否は、「業者選び」で決まるといえます。だからこそ、業者を選ぶ側も防水工事に対して一定の知識を持ち、業者の優劣を判断することが大切。今回紹介した内容を参考に、信頼できる業者を選んでみましょう!

次回は「建物診断」について、なぜ必要なのか、また修繕費用の削減につながる理由などを紹介していきます!

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この連載について

【連載】ついにやって来た!大規模修繕

約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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