大規模・小規模マンションの違いを解説!修繕工事の費用や期間は?
小規模マンションの修繕積立金が割高になる理由は? 対処法も解説
マンションの快適な住環境と資産価値を維持するためには、定期的な修繕が必要不可欠です。マンションにかかる修繕費のために毎月住民は「修繕積立金」を積み立てますが、実は小規模マンションの方が大規模マンションより修繕積立金が割高なことをご存じですか?
今回は、小規模マンションの修繕積立金が大規模マンションより割高な理由と、割高な修繕積立金の対処法をご紹介します。
小規模マンションの修繕積立金が割高なのはなぜ?
マンションの外壁・エントランス・エレベーターなどの共有部分の修繕費は、区分所有者が毎月支払う修繕積立金でまかなわれます。
この修繕積立金ですが、大規模マンションと小規模マンションだとどちらの方が高いと思われますか? 修繕範囲の広さや設備の充実度合いからして「大きいマンションの方が高そう」と思う人もいるかもしれませんが、実は小規模マンションの方が割高な傾向にあります。小規模マンションの方が総費用は少なく済むのですが、合計を世帯数で割るため一世帯あたりの負担額が高額になるのです。
大規模マンションより小規模マンションの方が修繕積立金が割高になっているデータは、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」にも記されています。
建築延床面積ごとの修繕積立金の平均値(地上階数20階未満)
・5,000㎡未満:335円/㎡・月
・5,000〜10,000㎡未満:252円/㎡・月
・10,000〜20,000㎡未満:271円/㎡・月
・20,000㎡以上:255円/㎡・月
また一世帯あたりの修繕積立金が大きい小規模マンションでは、誰かが滞納した場合の資金不足も懸念されます。
小規模マンションの定義
そもそも小規模マンションとは、どのような規模感のマンションをいうのでしょうか。
一般的にマンションは、総戸数によって以下のように分類されます。
・小規模マンション…総戸数50戸未満
・中規模マンション…総戸数50~99戸程度
・大規模マンション…総戸数100戸以上
一般的に「小規模マンション」とは、総戸数が49戸以下のマンションを指すことが多いようです。ただし明確な定義があるわけではないため、住んでいる地域や取り扱う不動産会社によっても呼び方が変わることもあるでしょう。
小規模マンションの割高な修繕積立金の対処法
対処法1.修繕積立金の積立方式を見直す
修繕積立金の積立方式は「段階増額積立方式」と「均等積立方式」の2種類があります。
・段階増額積立方式:そのとき必要な修繕に対して、そのときの住民から資金を集める
・均等積立方式:マンション管理に生涯必要な費用を、はじめから均等に集める
多くのマンションで採用されているのは、段階増額積立方式です。段階的に増額していき、マンションが古くなるほど修繕積立金は高くなります。しかし段階増額積立方式の場合、増額への合意が得られないなど、将来的に修繕積立金が不足する可能性はゼロではありません。
近年は、段階増額積立方式から均等積立方式に切り替えるマンションが増加傾向にあります。均等積立方式は、国土交通省も推奨する積立方式。積立金の増額について合意を取る必要がなく、安定して積立金を確保できます。
対処法2.管理会社を見直す
管理会社に支払う管理委託費。実は住民から集める管理費は、この管理会社への管理委託費の支払いが大部分を占めています。
今より安い委託費で管理してくれる管理会社に変更すれば、管理委託費の削減が見込めるでしょう。削減した分を修繕積立金に上乗せすれば、修繕積立金を増額しなくて済むかもしれません。
ただしマンション管理の質は、管理会社によって異なります。管理会社の見直しは計画的に行い、現在の業務の継続性が失われないようしっかりと引き継いでもらいましょう。
対処法3.電気代を見直す
共用部分にかかる電気代を削減できれば、浮いたお金を修繕積立金に上乗せすることもできます。
例えばエントランスや廊下にLED照明を採用すると、一般的な白熱電球と比較して電気代を9割削減できます。「明るい時は電気を消す」など、照明使用時間の削減も効果的です。あまり使わない場所は、人が通った時に自動で点灯する人感センサー付き照明や、点灯時間を設定できるタイマー機能付き照明の導入も検討しましょう。
一つ一つは小さな取り組みですが、毎日の積み重ねが重要になります。
電気代を大きく見直すには、電力の契約を「負荷設備契約」から「主開閉器契約」に変更する方法も。主開閉器契約に変更することで、契約電力を実際に使用する電力に応じて設定できるようになり、電気代基本料金を大きく削減できるでしょう。
資産価値を守るため、修繕積立金を安定して集めよう
小規模マンションとは、一般的に総戸数50戸未満のマンションのことを指します。マンションにかかる修繕費は、毎月「修繕積立金」という形で各世帯から集められますが、世帯数が少ない小規模マンションでは一世帯あたりの負担が割高の傾向に。
滞納が続いたりうまく増額できなかったりすると、将来的に修繕積立金が不足してしまう可能性もあります。マンションの大切な資産価値を守るためにも、修繕積立金の積立方式を見直したり、管理会社や電気代を見直したりして積立金に上乗せできないか考えてみましょう。