大規模修繕

修繕積立金ガイドラインを見れば、積立方法や金額の目安がわかる

2020.12.11
修繕積立金ガイドラインを見れば、積立方法や金額の目安がわかる

新築マンションを購入して「初めて知った」という方も多い「修繕積立金」。管理費とは別で、毎月(あるいは毎年)納める必要があります。

この修繕積立金、適正金額が国土交通省のガイドラインによって定められていることはご存知でしょうか。今回はそのガイドラインについて、活用方法や参考にするときの注意点を紹介していきます。

修繕積立金には国交省が定めるガイドラインがある

国土交通省が修繕積立金の積立方法をはじめとする基本的な知識や、金額の目安をまとめて記載しているのが「修繕積立金に関するガイドライン」です。

2021年9月には約10年ぶりに改訂されました。これまで新築分譲マンションを対象にしていた内容を、既存のマンションに活用できるように修繕積立金額が見直されたのが主たる変更点です。

Web上で検索すると、国土交通省が無料で公開しているpdf形式の資料を閲覧することができます。

詳しくは下記の記事も参考にしてみてください。

ガイドラインには修繕積立金の基礎知識や金額の相場が書かれている

以降では「修繕積立金に関するガイドライン」に記載してある内容の一部をピックアップして紹介していきます。

修繕積立金の目安は1㎡あたり月300円前後! 計算式も紹介

国土交通省のガイドラインによると、修繕積立金の額は以下の式によって求められます。なお、2021年9月の改訂によって計算式が変更されています。

■2021年8月まで
修繕積立金の額の目安=[専有床面積1㎡当たりの修繕積立金の額]×[専有床面積(㎡)]

■2021年9月以降
計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/㎡・月) Z=(A+B+C)÷X÷Y

A:計画期間当初における修繕積立金の残高(円)
B:計画期間全体で集める修繕積立金の総額(円)
C:計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額(円)
X:マンションの総専有床面積(㎡)
Y:長期修繕計画の計画期間(ヶ月)
Z:計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/㎡・月)

計画期間全体における修繕積立金の平均値(機械式駐車場分を除く) は下記の通りです。

【20階未満】
・5000㎡未満:335円/㎡・月
・5000〜10000㎡:252円/㎡・月
・10000〜20000㎡未満:271円/㎡・月
・20000㎡以上:/255円/㎡・月
【20階以上】
・338円/㎡・月

機械式駐車場がある場合は以下の式で算出した金額を加算します。

機械式駐車場の1台あたり月額の修繕工事費(下表)×台数 ÷マンションの総専有床面積(㎡)

機械式駐車場の1台あたりの修繕工事費の目安は以下の通りです。

【機械式駐車場の機種】
・2段(ピット1段)昇降式:6450円/台・月
・3段(ピット2段)昇降式:5840円/台・月
・3段(ピット1段)昇降横行式:7210円/台・月
・4段(ピット2段)昇降横行式:6235円/台・月

ちなみに住戸の負担割合については、基本的に建物全体の延べ床面積のうち、専有面積の割合がどの程度かを算出します。例えば建物全体の延べ床面積が6000㎡で、専有面積が80㎡の場合、負担割合は「6000分の80」です。

2種類ある修繕積立金の積立方法

ガイドラインに記載してある修繕積立金の積立方法は、2種類。途中に値上がりすることなく均等に積み立てていく「均等積立方式」と、マンション購入時の負担を抑えて段階的に金額を上げていく「段階増額積立方式」があります。

一般的に新築マンションでは「段階増額積立方式」を採用しているケースが多いです。これは、購入時の負担を軽減することでマンションを売りやすくするため。ただ、区分所有者間で合意が取れず、結局値上げができないために「修繕積立金が足りなくなる」リスクがあります。

そのためガイドラインでは、余裕を持って修繕積立金を確保するために「均等積立方式」を推奨しています。

ガイドラインを参考に管理方法や金額を定めよう

次にガイドラインをどうやって活用するか、その方法を紹介していきます。

修繕積立金の管理・運用の参考にする

ガイドラインはまず、大規模修繕で必要となる修繕積立金の徴収方法や金額を決定する際に役立ちます。

定期的に実施する大規模修繕では、屋根や床の防水、外壁塗装や給水設備など多くの箇所を工事することになります。また、マンションによっては耐震改修や省エネ改修といった性能を上げる工事を計画に含めることもあり、多くの費用がかかるでしょう。

そのため多額のお金が必要となる大規模修繕に向けて、適正な金額を積み立てていくためにもガイドラインに記載のある徴収方法などを参考にすると安心です。ガイドラインに記載してある内容を、管理組合内で共有しておきましょう。

修繕積立金の金額を算出する際に役立つ

修繕費用

前述した修繕積立金を算出する際の計算式を用いれば、適正金額が把握できます。

例えば、10階建てで建築延べ床面積が8000㎡、専有面積が80㎡のマンションで見てみましょう。「15階未満で5000〜10000㎡」の場合、専有床面積1㎡当たりの修繕積立金の額は「202円/㎡・月」でした。

そのため、以下の計算式が成り立ちます。

80㎡×202円/㎡・月=1万6160円/月

つまり、毎月の修繕積立金は1万6160円/月が適正な金額というわけですね。

次に50台の車が入る2段の乗降式駐車場があり(7085円/台・月)、購入予定者の負担割合が80/6000だった場合の加算額は次の通り。

7085×50台×80/6000=4723円/月

1万6160円/月に4723円/月を足した「2万883円/月」が修繕積立金の目安となります。

基本的にマンションの修繕積立金は、購入時に売主から配布される長期修繕計画をもとに算出されます。ただ、管理組合側でも修繕積立金の金額が本当に適正かどうか、ガイドラインの計算式をもとに確認しておいたほうが良いでしょう。

ガイドラインを参考にするときの3つの注意点

ガイドラインを参考にするうえで、以下で紹介する3つの注意点も知っておきましょう。

【注意1】これまでより長期の計画が必要になることも

これまでのガイドラインでは、長期修繕計画の対象期間を新築で30年、既存マンションで25年と定めていましたが、改定により「30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」となりました。

マンションによっては、大規模修繕の周期が12〜15年とされているため、これまでより長い期間での計画が必要になる可能性があります。

【注意2】修繕積立金の変動要因があまり含まれていない

マンションの戸数や形態、またエレベーターや駐車場などの設備によって修繕積立金の額は変動します。

工事に必要な材料や人件費、また増税などの社会状況の変化によっても変動する修繕積立金。しかしガイドラインでは、このような変動要因があまり加味されずに、目安金額などが算出されています。

【注意3】あくまで平均値である

ガイドライン改定にともない、サンプル数は84事例から366事例にまで増加しました。対象となったマンションは、エレベーターのないような団地型のマンションから、タワーマンションまでさまざまです。

地域も含め多様なケースが含まれているからこそ、自らのマンションにも当てはまるかどうかは検討する必要があります。

ガイドラインはあくまでも修繕積立金の「目安」

国土交通省の「修繕積立金に関するガイドライン」には、修繕積立金の積み立て方や算出方法など、多くの管理組合にとって参考になる情報が書かれています。

ただガイドラインが作成されてから10年近くが経過しており、サンプル件数も少ないことを踏まえると、あくまでも目安程度に捉えておいたほうが良いでしょう。

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