連載:理事会役員超入門

管理会社がトラブルに対応してくれない時はどうする? 対処法を解説

2023.01.31
管理会社がトラブルに対応してくれない時はどうする? 対処法を解説

マンションの管理業務では、居住者同士のトラブルや共用部分の設備の故障などの問題発生時に、管理会社の対応が必要な場面が訪れることがあります。しかし、管理会社の対応が遅かったり、不十分だったりして問題の解決に至らないことも。

今回は、管理会社がトラブルに対応してくれない時の対処法について解説していきます。

管理会社がトラブル対応してくれない理由

トラブルに対応してくれない理由は主に2つ

管理会社がトラブルに対応してくれない理由は主に2つあります。

まずは、管理会社の人手不足です。労働人口の減少や、以前なら定年退職していた年齢層の人材が会社に留まり続けることによって、管理人や清掃スタッフなどのなり手が減少しています。

次に、収益性の低下です。最低賃金の上昇が近年続き、管理会社が抱える人材コストも増加しています。一方で、居住者の高齢化に伴い管理組合の支払い能力は低下。管理費用の値上げをしたくてもしづらい状況にあるのです。

管理会社に委託できる業務内容

管理会社がトラブルに対応してくれない理由は人手不足と収益性の低下のほかに、「管理会社が対応できる内容ではない」という場合もあります。

管理会社がどのような内容の業務に対応してくれるかは、各マンションの委託方式によって異なるため、業務委託契約書を確認する必要があります。

また、管理業務を委託している場合もマンション管理の主体はあくまで管理組合です。管理会社はサポート的な立場であることに留意しましょう。

それでは、一般的に管理会社に委託できる業務内容を確認していきます。

まずは、共用部分の清掃や修理です。清掃は日常的なもののほか、壁や電球の清掃など、専門スタッフが行うものも含まれます。また、破損した箇所の修理や業者の手配なども委託内容に含む場合があります。

次に、共用部分の保守・点検です。エレベーターや消防設備など、共用部分の設備は安全な利用のために法律で定期的な点検が義務付けられています。各種点検の手配・管理も業務内容に含まれます。

3つ目は、管理員としての業務です。管理事務室で訪問客や住民に対応する業務が該当します。

管理会社が対応してくれないとトラブルになるケース

前述の通り、管理会社が対応できる内容はマンションごとに異なります。

ここからは、前述した業務内容に関連するトラブルと、管理会社に依頼できる範囲について解説します。

1. 隣人トラブルなどのクレーム

「個人間のトラブルの仲裁」は管理会社の業務に含まれていない

騒音や共用部分の使い方などに起因するクレーム対応は、居住者でもある管理組合が介入すると逆恨みなどのさらなるトラブルを招く可能性があるため、管理会社の担当者に連絡して対応してもらうと安心です。

しかし、管理会社の業務内容に「個人間のトラブルの仲裁」は含まれていない点には要注意。多くの場合、入居者全員に対して注意喚起の紙を張り出すといった対応となることがほとんどです。解決しない場合は、外部の相談窓口を利用するのも手といえるでしょう。

2. 共用部分の設備の故障

専有部分の設備は管理会社の対応範囲外

共用部分の設備管理を委託している場合、設備に故障があれば管理会社を経由して修理の業者を手配します。

故障や破損箇所を放置していると重大な事故につながるリスクがあるため、管理会社の対応が遅い場合は催促や、管理会社の変更の検討が必要です。

ただし、管理会社が管理する箇所はあくまで共用部分のみです。各住戸内などの専有部分やその設備は、所有者の責任で管理しなければなりません。修理を依頼する前に、修理が必要な箇所が管理会社の対応範囲かを確認するようにしましょう。

3. 共用部分の管理

故障した際の対応だけではなく、日々の清掃や設備点検なども管理会社の業務範囲です。そのため、管理会社が清掃や定期的な点検を怠っている場合は改善の要求ができます。

とくに共用部分にゴミが落ちていたり、汚れが目立ったりする時は、清掃頻度や清掃員の対応などさまざまな要因が考えられます。適切な頻度や対処方法については下記の記事でも解説しているので、ぜひ確認してみてください。

管理会社が対応してくれないときの対処法は2つ

1. 管理会社を変更する

管理会社の対応に不満がある場合は、変更を検討するのもひとつの手です。変更の際は、複数の管理会社の資料や見積を比較・検討し、業務範囲やコストの確認を必ず行いましょう。

管理会社との管理契約の更新拒絶や解除、解約のためには、管理組合の総会で決議が可決される必要があります。

2. 各種機関のトラブル相談窓口を利用する

管理会社に業務委託していない場合や、管理会社の変更までは行いたくない場合は、外部機関に相談してみましょう。

たとえば、マンション管理業協会という社団法人では、分譲マンションの管理全般について事前に予約すれば無料で相談可能です。また、清掃や設備管理など、管理会社との間に生じたトラブルの対応窓口も設置しています。契約している管理会社がマンション管理業協会に加入している場合は、こちらの利用も検討しましょう。

また、公益財団法人のマンション管理センターでも、マンションの維持管理についての相談窓口があります。トラブルを起こしている当事者間の仲裁は行えませんが、中立公正な観点からアドバイスをもらえます。

そのほかにも、東京都マンション管理士会などの各地に拠点を置く機関や、市区町村の相談窓口の関係団体を探して相談してもらうのもよいでしょう。

管理会社の業務範囲を確認のうえ改善要求を

マンション管理業務で起こるトラブルは、居住者同士の対人関係から共用設備の故障まで多岐にわたります。管理会社の対応に不満がある場合は、まず自身のマンションの業務委託契約書を確認し、管理会社の責任範囲を把握しましょう。業務に含まれる内容で不満があれば改善を要求することができます。

契約を交わしているにもかかわらず、管理会社の担当者が適切な対応を取ってくれない場合は、管理会社の変更も検討してみるのも改善手段のひとつです。また、全国各地に外部機関による相談窓口が設置されているので、そちらも利用しながら問題の解決を図りたいですね。

イラスト:大野文彰

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