連載:理事会役員超入門

足音トラブル発生!!その原因と対策は? どこに相談すればいい?

2020.08.31
足音トラブル発生!!その原因と対策は? どこに相談すればいい?

マンションで多くの住民が抱える悩みの一つが足音問題。

「上階からの足音がうるさい」とストレスを感じることもあれば、反対に「足音に気をつけているのに、下階から苦情がくる」と加害者側として悩まれる方もいるでしょう。

そこで今回は、足音が響く原因と、それに合わせた対策方法を解説。トラブルになったときの相談先もご紹介します。

マンションで足音が響くのには原因がある

騒音トラブルのなかでも、足音は自分で気づきにくいもの。普通に歩いているつもりでも、下階の住戸に響いてしまっているケースがあります。

まずは、マンションの足音の原因を知っておきましょう。

【原因1】「子どもの足音」は制限が難しい

小さな子どもが住んでいると、バタバタと走り回ったりジャンプしたりするため、足音トラブルにつながりやすいです。

いくら静かにするように注意しても、行動をすべて制限するのは難しく、悩まれる方も多いでしょう。

子どもの足音については、こちらの記事も参考にしてください。

【原因2】自覚しにくい「かかと歩き」に注意!

子どものように走ったりジャンプしたりしなくても、足音が響くことがあります。

その原因の一つが「かかと歩き」。歩くときに「かかと」から着地する癖があると、ゆっくり歩いていても「ドスンドスン」と響くような音が下階へ伝わりやすいのです。

「前の住人の足音は気にならなかったのに、新しく引っ越してきた人の足音だけが気になる」そんな場合は、歩き方のせいかもしれません。

かかと歩きの重低音は、同じ部屋に住む人が気づきにくいのも特徴。無意識に下階へ迷惑をかけているかもしれません。

マンションで試したい足音対策を3つ紹介

子どもの足音もかかと歩きも、一日で改善するのはなかなか難しいですよね。そこで、手軽に試せる対策方法を3つご紹介します。

【1】スリッパを履く

スリッパ

最も手軽に試せるのが、クッション性の高いスリッパを履く方法。特に「かかと歩き」が癖になっていて、なかなか直せない方は試してみてください。

ここで一つ注意したいのが、ビニール製や底面が硬いスリッパは選ばないこと。底面が布やスポンジなど吸音素材の商品を選ぶと、足音が響くのを抑えられるでしょう。

また、足にフィットしていないと「パタパタ」という音が鳴るので、かかとの離れにくいルームシューズタイプなどもおすすめです。

【2】防音マットを敷く

スリッパを履くのが難しい小さな子どものいるご家庭や、スリッパだけでは効果が薄い場合は、床に防音マットやカーペットなどを敷くと良いでしょう。

市販されているジョイントマットでも代用できますが、防音対策用の商品ならさらなる効果が期待できます。

防音マットを選ぶときに参考になるのが、JIS規格に基づく「L値」という遮音等級。例えば「⊿LL-40」などと表され、この数字が小さいほど下階へ音が響きにくくなります。

【3】1階に住む

足音を意識して生活するのはストレスという場合、はじめから1階の住戸を選んで住むのも一つの手です。

マンションの1階には、ほかにも「エレベーター待ちの時間がない」「物件によっては庭がついている」などのメリットがあります。

足音トラブルに万が一あってしまった場合の相談先は?

足音トラブルに困ったときには、当事者同士で解決しようとするのは得策ではありません。言い争いで問題がこじれるケースが多く、嫌がらせや報復などに発展する危険性もはらんでいるからです。

直接話をするのではなく、必ず理事会や管理会社など第三者に間に入ってもらいましょう。

まずは理事会か管理会社に相談する

最初に相談したいのは、前述したようにマンションの理事会か管理会社です。全戸へ向けた注意喚起のチラシや張り紙、自分の名前は伏せて相手方に苦情を伝えるなど、ケースバイケースで対処してもらいましょう。

なお相談するときには「何時頃、どの部屋のあたりで、どんな音がするのか」を具体的に伝えると、管理会社も改善のアクションを起こしやすいといえるでしょう。

解決が難しければ弁護士に相談する

弁護士

管理会社が再三注意しているにもかかわらず、相手がまったくを聞く耳を持たないなどの悪質なケースにおいては、弁護士への依頼も検討しましょう。代理人として間に入り、相手と交渉してもらいます。

裁判を起こすのはハードルが高い場合、「裁判外紛争処理(ADR)」を活用される手もあります。第三者である弁護士などが間に入って、双方の話をじっくり聞き、お互いが満足いくように和解あっせんや仲裁を行う手段です。

各都道府県の弁護士会に「紛争解決センター」が設置されているので、窓口で相談してみると良いでしょう。

民事訴訟の前に簡易裁判所での調停手続きを

裁判所を利用される場合には、主に「民事訴訟」「民事調停」という2つの解決方法があります。

民事訴訟は、法廷で争って、裁判官に判決を出してもらって解決する方法。金銭的にも心的にも、なかなかハードルが高いのではないでしょうか。

そのため、まずは「民事調停」で話し合いによる解決を目指すのが一般的です。簡易裁判所に申し立てると、調停委員会が当事者双方の意見を聞き、解決への話し合いを進めてくれます。

もしお互いの意見が折り合わず、調停が成立しなかった場合は、改めて訴訟を起こすことも可能です。

足音に悩まされないマンション選びのポイント!

足音トラブルがこじれると、お互いにストレスです。マンション選びの段階で防音を意識しておくと、落ち着いて生活できるでしょう。

足音トラブルに発展しにくいマンション選びのポイントは、次の2つです。

【ポイント1】鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリートの建物を選ぶ

一般的に集合住宅の構造は、次のいずれかに分類されます。

・木造
・鉄骨造(S造)
・鉄筋コンクリート造(RC造)
・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

このなかで防音性能が高いのは、鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造。名前の通り、コンクリートの内部に鉄筋が埋め込まれた建材でつくられています。気密性が高いため、木造や鉄骨造に比べて、音が響きにくいです。

SRC造は、規模の大きい建物によく使われる構造。鉄骨のまわりを鉄筋コンクリートで強化しており、防音性能はRC造と同程度です。

【ポイント2】最上階を選ぶ

極論ですが、最上階を選べば上階からの足音に悩む心配はありません。

ただし、自分が加害者にならないように注意して生活する必要はあります。先述したとおり、小さな子どもがいるご家庭などは、1階の住戸も検討されると良いでしょう。

足音トラブルは必ず第三者に相談を!

マンションで下階に足音が響く原因は、主に「子どもの足音」「かかと歩き」の2つ。もし足音トラブルが起きたら、当事者だけでの話し合いは避け、管理会社や弁護士などの第三者に相談しましょう。トラブルに悩まされないためには、防音性能が高い物件を選ばれることをおすすめします。

イラスト:大野文彰

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