マンションの雨漏りの原因や修理費用は? 業者選びのポイントも解説
マンションの雨漏りは「まだ、大丈夫……」と放っておくと、被害や修理の手間も増えてしまう可能性があります。修理のコストを抑えるためにも、被害が小さいうちに対処したいところ。
この記事では、雨漏りの原因や修理にかかるだいたいの費用、さらに業者選びのポイントなどを中心に紹介していきます。
雨漏りが発生したらまずは応急処置
マンション内で雨漏りが発生したら、まずはバケツやタオルを使って床が濡れないようにしましょう。濡れたままにしてしまうと、足を滑らせる危険があるだけでなく、床の劣化やカビにもつながります。
次に、もし雨漏りの原因箇所がわかる場合には、該当部分を確認し、写真に残しておきましょう。後述しますが、原因がわからない場合は業者に依頼して調査してもらう必要があるため、あらかじめ原因がわかっていれば調査時間とコストの短縮になります。
もし、雨漏りを放置していると、壁や柱に影響し建物全体が劣化してしまう可能性も。劣化が進行してからでは多額の工事費用がかかってしまうかもしれないため、早めの対処が重要です。
雨漏りの発生箇所は主に4つ
まずは雨漏りの発生箇所と原因について、理解していきましょう。ここでは、4つの箇所に分けて、考えられる原因を紹介していきます。
1.「屋上」は防水加工の劣化や排水溝の詰まりが原因となる
マンションにおいて一般的な平らな屋上は、一戸建に多い三角屋根に比べて水が流れにくいため、防水加工や排水溝などによって雨漏り対策がされていることがほとんどです。しかし、日々日照や熱射、風雨にさらされることで屋上の防水加工が劣化したり、床がひび割れしたりすると、雨漏りの原因となってしまうことがあります。
また、排水溝にゴミが詰まると雨水の流れが滞り、屋上に水溜りができてしまいます。水が溜まっている部分の防水が不十分であれば、雨漏りへと発展する可能性があります。
2.「外壁」の雨漏りは構造そのものに被害がおよぶ場合も
外壁も屋上と同じように防水加工がされていますが、こちらも時間の経過で防水機能が低下していきます。
壁からの浸水は雨漏り被害だけでなく、鉄筋が錆びることによる強度の低下で、建物の構造そのものに影響がおよぶ可能性もあります。
3.「ベランダ」は防水層のひび割れに注意
ベランダの防水は一般的に、床のうえに防水機能を持つ塗料を塗ることで「防水層」を作り、その表面にさらにコーティング専用の塗料を塗ります。
ただこのように二重に塗り重ねたとしても、当然ですが防水機能が永続的に続くことはなく、防水層のひび割れなどにより雨漏りが発生してしまいます。
そのほか壁の接合部分などは、経年劣化や施工不良などにより雨水の侵入口ができやすいため、日頃から意識して確認しておきましょう。
4.「窓」まわりはコーキング材の劣化が考えられる
窓まわりをはじめ、接合部分や壁の隙間には大抵「コーキング材」が入っています。コーキング材とは、ゴム状で、隙間を埋めるときに使用される材料。つまり、接着剤や浸水を防ぐ役割を果たすものです。
ですが風雨や紫外線の影響でコーキング材もひび割れたり薄くなったりすることがあります。そうなるとそこに隙間が発生してしまい、そこから雨水が侵入する可能性があります。
日常生活での開閉や地震の衝撃で、窓まわりにゆがみやひびが生じた場合も、雨漏りの可能性は高まるといえるでしょう。
雨漏りの放置で被害はどんどん広がる可能性も
雨漏りを放っておくと、浸透した雨水によってマンション内部の鉄筋や鉄骨を錆びさせてしまう可能性も考えられます。
天井や外壁から侵入してきた雨水は、内部の鉄筋コンクリートや鉄骨を伝わって部屋へと浸水してきます。その過程で、水分に弱い鉄骨や鉄筋が錆びてしまい、マンション自体の強度が低下してしまう恐れもあるのです。
また雨漏りによる湿気の増加でカビが発生しやすくなり、アレルギーや喘息など、健康への影響が出る可能性もあります。
「少し湿るくらいだし……」と後回しにしている間にも、被害は大きくなり修理費用も増えてしまうため、体の病気と同じように原因の早期発見・早期解決が大切といえるでしょう。
気になる修理費用の相場は?
雨漏りの主な原因がわかったところで、今度は修理費用の相場についてご紹介していきます。前提として使用する資材や修理の範囲により費用は大幅に増減するので、あくまで参考としてご覧ください。
外壁の修理費用
外壁の雨漏り修理は5〜300万円程度の幅がありますが、コーキングの修理程度で済むか、外壁そのものの張り替えが必要かによって大きく変わります。
・コーキングのヒビ割れの補修:5〜10万円
・コーキングの打ち替え:10〜50万円
・外壁の塗装:60〜160万円
・外壁の張り替え:120〜300万円
窓の修理費用
窓の修理においても、コーキングや窓枠の補修であれば3〜25万円程度です。マンションではあまりない例かも知れませんが、清掃の行き届かない天窓の取り替えには、20〜90万円程度かかる場合もあります。
天井の修理費用
一部の破損を補修するだけであれば5000円〜5万円程度ですが、全体の張り替えが必要となる場合は20㎡で10万円程度かかる場合もあります。また、雨漏りや水濡れが進行して下地の石膏ボードまで腐敗してしまうと、さらに5万円程度の費用が必要になってくるでしょう。
工事によっては費用が高額になる場合も……
上記で説明したように、工事の種類や規模によっては費用が高額になる場合があります。例えば経年劣化した屋上や外壁の全体的な補修が必要となった場合、100万円以上の費用がかかる可能性もあり、修理期間も長期化する恐れがあります。
また雨漏りの原因特定が難しく、発光液調査や赤外線サーモグラフィー調査といった専門的な調査を行う場合には、5万~40万円程度の調査費用が別途かかることもあります。雨漏りを長年放置していたことにより、マンション内部の鉄筋や鉄骨が錆びて建物の構造そのものに問題が出てしまった場合は、さらに大規模で高額な修理を必要とするかもしれません。
そのような事態を防ぐためにも、専門業者への早めの依頼や定期的なメンテナンスを心がけていきたいところです。
雨漏りの修理は火災保険で補えることもある!
火災保険といえば火事による損害をイメージする方も多いと思いますが、実はその保障対象には雨漏り被害も含まれている場合があるのはご存知でしょうか。台風や大雨など、自然災害が原因の雨漏り修理は、火災保険で補える可能性があります。
ただし、経年劣化が原因の雨漏りに関しては例外とされる場合も。また台風によって発生した雨漏りでも、経年劣化を放置していたことが原因として考えられる場合は、保険金を受け取れないケースもあるようです。
そのほか、保険の種類によっては水濡れによる損害が補償対象外となっている可能性もあります。自分や管理組合で加入している火災保険の補償内容を一度チェックしてみましょう。
信頼できる業者の選び方
原因が複雑で修理費用にも差がある雨漏りは、修理を行う業者の種類も多岐にわたります。
「たくさんあってどこを選べばいいかわからない」という方も多いと思いますので、ここからは業者選びのポイントを解説していきます。
【ポイント1】「雨漏り診断士」の有無で選ぶのも手
依頼を検討している業者に「雨漏り診断士」の資格保有者が在籍しているかどうかは、一つの判断基準となりえます。
雨漏り診断士とは、雨漏りの原因や修理に関する知識を有していることを証明する民間資格です。複雑な雨漏りの原因究明に精通した人間であることを証明するものですので、資格保有者のいる業者は、その分信頼に足ると考えられるでしょう。
雨漏りは、原因を深く調査しないまま修理を行ってしまうと、一時的には防ぐことができても、その後再発してしまう可能性も考えられます。そこで現地での原因調査を専門的な視点で行ってくれるのが、雨漏り診断士といえるでしょう。
【ポイント2】質問への回答で判断する
業者に依頼する際に、こちらからいくつか質問をしてみるのもポイントです。
例えば「台風の日から雨漏りしているんだけど、何か補償はないか?」「施工から10年も経ってないのに雨漏りが発生して……」といった質問や状況説明を投げかけて、修理費用に火災保険や「住宅瑕疵担保責任保険」の適用で補えるといった内容を提案してくる業者は、その面での信頼はできるのではないでしょうか。
ちなみに「住宅瑕疵担保責任」というのは、購入から10年以内であれば建築会社などの住宅の売主が、主要構造部の欠陥や雨漏りの修理費用について保証をするという責任です。
【ポイント3】アフターケアが充実した業者を選ぶ
雨漏りの原因は複雑なため、1度の工事で対処しきれない場合もあります。例えば現時点での劣化箇所は補修できたが、その後に別の箇所から水の侵入経路が発生して、再び同じ雨漏りが発生してしまうといったケースも考えられます。そのため作業費が少し高くても、アフターケアやある程度の修理保証の設定などがある業者の方が、長い目で見ると経済的であるといえる面もあります。
雨漏り修理で大切なのは専門業者への迅速な依頼
雨漏りを放置してしまうと、見えないところでマンションの躯体が深刻なダメージを受け、修理費が高額になってしまう場合があります。
このため素早い対処が、快適な生活といった面だけでなく、最終的なコスト削減にも繋がります。雨漏りを発見したときはなるべく早く専門業者に調査を依頼した方が良いでしょう。