騒音で警察に通報してもいい? 解決法や気になる点も解説!
管理会社や理事会に相談しているにも関わらず、一向に「上の階の足音が気になる」「隣の部屋の音楽がうるさい」などの騒音が解決しない。そこで最終手段として、警察への通報を考えている方もいるでしょう。
度を超えた騒音は警察への通報を検討しよう
騒音問題がでた場合、まずは管理組合の理事会を通じて管理会社へ相談をするのが一般的ですが、管理会社に注意してもらったにも関わらず騒音がおさまらない場合、「警察に通報するしかないかな……」といった考えが頭をよぎりつつも、「事件でもないのに通報していいの?」と悩む人もいるでしょう。
結論からいうと「地響きのような音が続いて一睡もできない」、「ストレスで体調が悪くなる」といった健康被害が発生するような騒音は、通報しても問題ないでしょう。
騒音に対する警察の対応は「注意のみ」で終わることがほとんどです。この際、誰が警察へ通報したかは、騒音の主に知られることは基本的にはありません。一度注意しても変わらない場合は、複数回、警察に注意してもらいましょう。
なお、警察に何度も注意されたにも関わらず迷惑行為をやめなかった場合、法律違反によって罪に問われる可能性もあります。
騒音は犯罪になり得る
前の文でも触れた通り、最悪の場合、騒音は犯罪として扱われるケースがあります。
では、どのような場合に犯罪となるのでしょうか。
注意されたにも関わらずやめない場合は「軽犯罪法違反」に
騒音は「軽犯罪法」内で定められている「静音妨害の罪」にあたります。
そもそも軽犯罪法とは、軽度の秩序違反に対して罪を定める法律です。この法律の第1条では、「公務員(警察)の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」は犯罪にあたると定めており、該当する人は拘留もしくは科料を課せられる可能性があります。
より悪質な騒音は傷害罪になる可能性も
さらに悪質な騒音の場合は「傷害罪」となる可能性もあります。傷害罪とは「人の身体を傷害した」場合に成立する犯罪です。このように聞くと、他人を殴って傷つけるというような体への暴力をイメージするかもしれませんが、実は精神的なダメージを与えた場合も「傷害罪」として扱われる可能性があります。
例えば、他者を追い詰めてうつなどの精神障害状態にした場合も傷害罪にあたるケースがあります。過去には2年半も騒音を出し続けた結果、傷害罪として逮捕された事例も存在します。
警察への通報の仕方は主に2種類ある
実際に騒音で通報しようと考えたときに、ほとんどの方は110番をイメージするかもしれません。ただ、「警察には相談ダイヤル(#9110)」も用意されていることはご存知でしょうか。
それぞれどういったケースで使うのが良いのか、紹介していきます。
急ぎでない相談は「#9110」に
「いきなり110番通報するのは気が引ける……」「どこに相談をすればいいか分からない」と悩んでいる場合は、「#9110」を活用しましょう。#9110は事件や事故に至っていない悩みや心配事の相談窓口となっており、在籍する相談員が悩みの解決を手助けしてくれます。
電話をかけるとまずは自分が住んでいる都道府県の警察本部に繋がり、その後、相談内容に応じて各専用窓口に案内されます。
なお#9110には受付時間があり、都道府県ごとに異なるものの、例えば東京都だと平日の午前8時30分から午後5時15分までとなっています。
緊急の場合は110番通報を
「今すぐ騒音を注意して欲しい!」といった場合は、110番への通報を検討しましょう。110番通報をすると近所の交番ではなく、全国の警察本部や指令センターに繋がります。
そして通報を受けた本部やセンターは、現場近くの隊員へと直接出動命令を出します。
警察への連絡手段としては「最寄りの交番に直接電話する」という方法もあります。しかし警察官が不在であったり、対処が後回しにされたりする場合もあるため、110番のほうがより確実に警察官を現場へと向かわせることができます。
110番通報で聞かれること、伝えるべきこと
いざ110番通報をすると、まず「事件ですか?」と聞かれることが多いので「騒音の苦情です」と伝えましょう。
その後は警察官から住所や被害の大きさなど、出動に必要な情報を質問されるのが一般的です。音の大きさや種類など、可能な限り具体的な被害内容を伝えましょう。
通報は匿名でも可能ですが、オートロックのマンションだと、警察官が中に入れず騒音を確認できない場合もあります。通報者の情報は秘密にされるため、管理人の不在が想定されるときは、自分の部屋番号をあらかじめ伝えておく必要があるかもしれません。
被害届の提出も解決方法の1つ
警察を頼ることでトラブルの解決を図る場合で、「被害届」という単語を聞いたことがあるのではないでしょうか。
被害届とは、その名の通り犯罪被害にあったことを警察に知らせる書類です。前述した通り騒音も犯罪の1つになる可能性があるため、被害を出すことができます。
ここでは被害届を出すメリットと、実際に提出する際に必要な記入項目、そして証拠確保の重要性について解説していきます。
被害届を出すと捜査に動き出す可能性が高まる
騒音の被害を知らせるという点では、直接の通報も被害届も大きな違いはありません。110番によって通報した場合などと同様に、自分が提出したことは秘密として守られます。
大きな違いとしては通報が「現在起こっている犯罪」に対して行われるという点に対して、被害届は現行犯以外でも対処してもらえるということ。
例えば、通報だと現在鳴っている音に対しての注意となってしまいます。しかし被害届を提出していれば、いざ通報があったときに騒音が起きていなくても、騒音主に事情聴取を行うなど、厳重に注意をしてくれる可能性があります。
被害届の記入項目は6つ
被害届は警察署や交番に準備がされています。以下に、騒音で被害届を出す場合に記入が必要な項目をまとめました。
① 被害者の住居・職業・氏名・年齢
② 被害のあった年月日時
③ 被害のあった場所
④ どのような被害を受けたか
⑤ 騒音主についての情報
⑥ 遺留品その他参考となるべき事項(証拠品など)
被害届はその場で書くことになるので、あらかじめこれらの情報を整理しておくと良いでしょう。印鑑や身分証明書もあると安心です。
証拠があると被害届が受理されやすい
ただし「隣人がうるさい」などの訴えだけでは、被害届は受理されにくい可能性があります。
そこで、騒音による被害届を出す際は「これは明らかに問題だ」と警察が断定できるような証拠を一緒に提出することが必要となります。
具体的な証拠となるものを以下にまとめました。
・騒音被害の音声や動画
・騒音による健康被害の診断書
・被害を記す日記やメモ
・騒音レベルを測定した数値
このうち日記やメモは、被害を受けた際の心情や、例えば相手方に苦情を言ったのに聞き入れてもらえなかったなどの記載も、証拠の信憑性を高める可能性があります。
「やっぱり警察に相談は気が引ける……」という場合は?
ここまで警察に通報する際の注意点を解説してきましたが「やっぱり警察に頼るのは気が引ける」と不安に思う方は、管理組合の理事会や管理会社への相談を続けることになるでしょう。そこでそのときの注意点についても、念のためおさらいしておきましょう。
注意点を整理すると、主に以下の2点。
・客観的事実を踏まえ相談すること
・どのように対処して欲しいかを伝えること
被害届の出し方でも説明したように、証拠をしっかりと提示することが大切です。自分の主観だけでなく客観的に分かる情報があることで、相談相手にも事態の深刻さが伝わりやすくなるでしょう。
そして「電話等で直接注意してほしい」「次の総会で取り上げてほしい」「注意喚起の張り紙を貼ってほしい」など、こちらから対応方法を提案することで、理事会のメンバーも解決に向けて動きやすくなります。
そのほか、自分以外の住民からも騒音の相談が来ていないか確認してみましょう。同じ悩みを抱えている人なら、問題解決に協力してくれるかもしれません。
快適な生活を守るために警察への通報も検討する
耐えきれない騒音は110番へ通報することも検討しましょう。警察が間に入ってくれることで、匿名性を守りながら、騒音を注意することができます。
ただし、110番通報するほどでもない場合は、#9110を利用するのも1つの手。自分の快適な生活を守るために、管理会社や理事会に相談しても変わらない場合は、我慢せずに警察に相談してみましょう。