修繕積立金ガイドラインを見れば、積立方法や金額の目安がわかる
一時金のリスクとは? マンションの修繕費不足はどう解消する?
マンションの大規模修繕にかかる費用は、基本的に毎月支払う「修繕積立金」で計画的に備えるものです。しかし修繕費用の不足分を補うための、「修繕積立一時金」としてまとまったお金が集められることがあります。今回はこの修繕積立一時金の問題点と、リスク対策について解説します。
修繕積立一時金の金額は専有面積に応じて決まる
修繕積立一時金とは、毎月支払う修繕積立金とは別に納める修繕費です。納めるタイミングは大規模修繕のときや10年サイクルなど、マンションによって異なります。
修繕積立一時金の額は、管理組合の財務状況によってさまざま。1戸あたり数万円から、百万円単位でかかるケースもあります。その物件に何年住んでいるかはあまり関係なく、専有部分の広さに応じて金額が決められることがほとんどです。
また新築マンションではランニングコストを低く見せるため、毎月の修繕積立金を少なく設定する代わりに、入居のとき「修繕積立基金」などと称してまとまったお金を納めることもあるようです。
修繕費を一時金として集めるリスクとは?
修繕積立一時金を集めるようにすれば、毎月の修繕積立金の額が低くなり、住民の負担は一見少なく感じられるかもしれません。しかし、一時金という形での集金にはリスクがあることも知っておきましょう。
【リスク1】全居住者から遅滞なく集金するのが難しい
修繕積立一時金の最大の問題点は、すべての入居者から漏れなくお金を集めるのが難しいということです。
国土交通省の調査によると、管理費・修繕積立金の滞納があるマンションは全体の25%弱。毎月数万円の管理費を滞納している方もいると、その何倍もの金額になる一時金を支払うのはなかなか難しいでしょう。
【リスク2】金融機関から借り入れることも
それまでの管理組合の財務状況がクリーンでも、もし一時金が集まらなければ、大規模修繕の予算が不足することに。
一部の修繕を諦めるか、管理組合が金融機関から借り入れを行って業者への支払いに充てるなどの対応をしなければなりません。
【リスク3】修繕積立金の値上げにつながる
管理組合が借金をすれば、金融機関に支払う利息という、不必要な支出が生まれます。利息分の支出が増える分、今後の修繕積立金を値上げする必要も出てくるかもしれません。
値上げの原因が「修繕積立一時金の滞納」であれば、きちんと納めた住民から不満が生じることも。値上げの合意を取るのが難しくなることも、問題点の一つといえるでしょう。
修繕積立一時金のリスクにどう対応すれば良い?
【対策1】均等積立方式を採用する
まずは計画的に修繕費を集められるよう、積立金の集め方を見直してみましょう。
集め方として主に、次の2つ。
・均等積立方式:長期間にわたり一定の金額で徴収する
・段階増額積立方式:新築時の積立金額を低く設定し、段階的に増額していく
多くのマンションでは「段階増額積立方式」を採用しています。これは、新築時のランニングコストを安く見せるため。しかし段々と負担が増えていくため、計画通りに増額できなかったり、修繕費の滞納につながったりするリスクがあります。
そのため国土交通省のガイドラインでは、将来的に値上げをしなくても済むように「均等積立方式」を推奨しています。もちろん均等積立方式でも一時金が必要となるケースはありますが、はじめから一時金をあてにした計画より、修繕費用が不足するリスクは軽減できるでしょう。
【対策2】長期修繕計画を5年おきに見直す
大規模修繕の資金計画のもとになるのが長期修繕計画です。一般的には約30年ベースで計画されます。ただ、建物の劣化状況や修繕費の高騰などにより、計画にズレが生じてくる可能性があります。そのため大幅な資金不足に陥らないためにも、長期修繕計画はこまめに見直すことが大切です。
長期修繕計画を見直すタイミングは、5年スパンが推奨されています。また、大規模修繕が行われた後も、実際の工事内容や金額を反映させましょう。
【対策3】管理会社への委託費などを削減する
修繕積立金の値上げが難しい場合、管理会社への業務委託費などを削減して、修繕費を補填するという方法もあるでしょう。
ほとんどのマンションでは、新築分譲時に系列会社などが管理を行います。そのため、管理会社を改めて見直すことで価格競争の原理が働き、委託費を大幅に削減できる可能性があるでしょう。
複数の管理会社に声をかけ、サービス内容や価格を比較したいところ。委託する業務を減らすなど、管理会社との契約を見直すことで、年間百万円単位でコストを削減できる可能性があります。
一時金のリスクを理解して計画的な運営を!
大規模修繕のタイミングなど、臨時にまとまったお金を集める修繕積立一時金。高額であるがゆえに計画通り集まらなかったり、修繕積立金の値上げにつながったりと、リスクもあります。そのため均等積立方式の導入や、修繕計画の定期的な見直しを通じて、リスク対策ができると安心です。
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