理事・管理

マンションの管理会社選びで後悔しないためには? 失敗例も解説

2023.06.29
マンションの管理会社選びで後悔しないためには? 失敗例も解説

「管理委託費を抑えたい」「今の管理会社のトラブルへの対応が物足りない」……

どんな管理会社と契約するかは、マンション管理の質に直結します。

今回は新規契約や、委託先の変更を検討する際に気をつけたいポイントを解説していきます。

後悔しない管理会社選び7つのポイント

【1】会社の種類を確認する

管理会社は3つの種類に分類される

マンション管理会社と一口に言っても、その成り立ちは会社によって異なります。大きくは、

・デベロッパー系
・独立系
・ビルメンテナンス系

の3つに分かれます。

デベロッパー系は不動産の開発事業者(デベロッパー)の管理部門が子会社として独立した会社である場合が主です。新築分譲マンションの管理会社に多い傾向があります。物件の情報に詳しく、安心感も高い点がメリット。比較的経営も安定しており、長期的な契約が望めるのも利点といえます。一方、もともとが開発事業者の関連会社のため市場の競争原理が働かず、管理費が割高に設定されている場合もあります。

次の独立系は、開発事業者との関連を持たない管理会社です。デベロッパー系よりも管理委託費は安い傾向があります。また、デペロッパー系と違い開発事業者への配慮が不要なため、建物に関するトラブル時などでは公平な対応が期待できます。ただし、会社によっては管理委託費が安価な分、管理組合の負担が増えるような場合もあるようです。

最後のビルメンテナンス系は、オフィスビルや商業施設の管理を主力としています。清掃や設備の保守などに強みがある一方、管理組合や理事会運営のノウハウに乏しいケースも多く、期待したサポートが受けられない可能性もあります。

【2】担当者の実績を見る

担当者の実績も確認したい

担当者(フロントマン)の実績もポイントです。

まずは対応した経験のある物件を確認しましょう。地域や設備、規模など、所有マンションと類似した物件の担当経験があれば、精度の高い対応が期待できます。

また、受け持っている物件数の確認もしましょう。一般的に、20件以上を担当している場合はかなり多忙な担当者であると考えられます。トラブル発生時などに丁寧に対応してもらえない可能性があるため、なるべく受け持ち物件数が少ない担当者を選びたいところです。

「管理業務主任者」を始めとする資格の有無も重要です。管理の質は担当者の能力によって大きく左右されるため、信頼できる経験や資格があるかを確認してみましょう。

【3】管理委託費の見積を取る

管理会社との契約は長期間に及ぶため、管理委託費の価格も重要な決め手になります。

管理委託費とは、管理会社に支払う報酬です。費用はマンションの規模や設備のほか、委託会社によっても大きく異なります。

前述の通り、デベロッパー系よりも独立系のほうが安価な傾向です。コスト重視の場合は独立系が候補となりますが、他社と比較してあまりにも安すぎる会社はサービスの質も低い可能性があり、注意が必要です。

なお、一般的な賃貸物件の管理委託費は、家賃収入の3〜8%程度に設定されるケースが多いようです。

【4】業務の対応範囲で選ぶ

どんな業務に対応して貰えるかを確認

業務対応範囲も必ず確認をしましょう。管理会社によっては、お願いしたい作業に対応していないケースもあります。対応可能な業務内容の確認や契約書の精査など、事前チェックを怠らないようにしましょう。

業務内容は管理会社のホームページなどにも参考にできる情報がある場合があります。

【5】資金管理能力を確認する

会計業務を委託する場合は、管理会社の資金管理能力の確認も忘れずに。

マンション管理組合の会計業務は、管理費や共用部分の電気料金などの引き落とし処理から、収支報告書の作成まで多岐にわたります。処理の正確さや報告書などの書類の質は、重要なチェックポイントです。

さらに、支出の見直しを行っているマンションであれば、経費削減に関する相談ができたり、提案を行ってくれたりする会社かどうかを判断の基準に入れてもよいでしょう。

【6】トラブルへの対応力を見る

マンション管理業務に伴うトラブルへの対応力も、管理会社選びのポイント。

例えば、設備関連のトラブルはいつ起きるか分かりません。管理会社のコールセンターが24時間365日対応であれば、夜間や祝日のトラブルにも迅速に対応できます。

また、事業継続計画(BCP)が策定されている企業は、災害時の個人情報保護や業務遂行について予め想定している企業といえます。

スムーズな対応を期待するなら、トラブルへの管理体制が整った会社かどうか見極めましょう。

【7】口コミ・評判も参考にする

口コミサイトの意見や評判が参考になる場合もあります。ユーザー目線の情報が取得でき、表向きの顔ではない、管理会社の実態把握にもつながります。

とくに対応の善し悪しや報告書などのクオリティ、トラブルの対応力についてはチェックしておきたい項目です。

管理会社選びで失敗する原因

ここまで、管理会社選びでの注目ポイントを見てきました。

より慎重に選ぶのであれば、NGパターンも知っておきたいところです。そこで、ここからは管理会社選びの失敗原因について解説します。

【失敗例1】会社の規模や知名度で選んでしまった

デベロッパー系を始めとする大手管理会社は、実績が豊富で経営も安定していることから、高い安心感があります。

しかし、大手だからといって必ずしも管理が高品質とは限りません。とくに大手は管理業務が組織化されており、縦割り特有のスピード不足が気になる場合もあります。また、人事異動や配置転換によって担当者が頻繁に変わる可能性もあります。

前述した「業務の対応範囲」や「トラブルへの対応力」など、実際の管理の質を必ず確認しましょう。

【失敗例2】営業担当者の印象で選んでしまった

前述の通り、担当者の質は管理会社の判断基準になりますが、実際の対応者は変わる可能性もあるため、それだけを理由に選ぶのはリスクがあります。

担当者が別の人に変わったとしても管理業務が滞らないよう、社内で物件情報などがきちんと共有されているか、管理体制が確立しているかを確認しましょう。

また、「人柄」を判断基準にするのも避けたほうが無難です。人柄の良さは、必ずしも管理の良さにつながるわけではないからです。

【失敗例3】 複数比較をせずに決めてしまった

複数の会社と比較検討しないまま、一つの管理会社に絞って契約を進めるのも失敗を招く恐れがあります。

とくに管理委託費については慎重な判断が大切です。割高な契約はマンションの財政事情の悪化にもつながります。

相場を把握するためにも、相見積による検討が必要です。複数の会社から資料や見積もりを取り寄せて比較するよう意識しましょう。

総合的な判断が重要

管理会社を選ぶ際は、まずマンションの実態や任せたい業務内容の洗い出しが必要です。そのうえで、費用やトラブルへの対応力など様々な観点から候補を絞り込みます。

見積や資料請求の際は、1社だけではなく複数の会社を比較するようにしましょう。比較せずに決めてしまうと、不利な条件で契約を締結してしまう危険性が高まります。

あらゆる視点から総合的に判断し、コストカットと質の高さの両立を図りたいですね。

イラスト:大野文彰

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