連載:理事会役員超入門

理事会の開催頻度は毎月じゃなくてもOK! 適切な開催周期の決め方を解説

2024.11.26
理事会の開催頻度は毎月じゃなくてもOK! 適切な開催周期の決め方を解説

管理組合の理事になると、定期的な参加が求められるマンションの理事会。毎月1回、必ず理事会を開催しているマンションが多くありますが、実際には、マンション理事会の開催頻度に対する法令による規則はありません。

理事会の開催頻度を少なくすれば、参加義務を課せられる理事の負担が軽くなるため、不満が出づらくなり、理事の成り手不足の解消にも効果的です。

ただし、適切な開催頻度はマンションによって異なるため、自分のマンションに最適な頻度を考えてみましょう。

2ヵ月や3ヵ月に1回の開催頻度のマンションも少なくない

毎月理事会を開催している管理組合は全体の4割未満

マンション理事会は、区分所有者の代表である理事たちが定期的に集まり、管理組合の活動における重要事項について話し合うなど、マンション管理全体に関わる業務に取り組む場です。

理事の任期はほとんどのマンションで1〜2年の間と決められているため、理事に選出された人は、任期期間中は定期的に理事会へ参加することになります。

理事の任期が年単位であるため、理事会は月に1回必ず開催しなければいけないと思われがちです。しかし、実際には開催頻度についての法令としての定めはなく、マンション管理組合が各々で決めたルールに基づいて理事会を開催しています。

国土交通省が実施した2023年のマンション総合調査における、理事会の開催頻度についての調査結果では「月に1度開催している」と回答した管理組合が全体の35.7%と、最も多い結果となりました。

一方で「2ヵ月に1回開催している」が27.3%、「3ヵ月に1回開催している」が25.5%と、理事会を毎月開催していない管理組合も多く存在していることがわかります。

さらに「年に1回開催している」管理組合が4.6%で、「ほとんど開催していない」という回答も0.3%みられました。

理事会の開催頻度が極端に少ないと、管理組合の運営に支障をきたす危険性があるため注意が必要ですが、2、3ヵ月に1度の頻度なら、まだ許容範囲といえるのかもしれません。

理事会を毎月開催するべき理由は?

毎月開催しないとクレームへの対応が遅れてしまう

しかし、理事会の開催は月に1回の頻度が最適ともいえます。

理事会の議題として頻繁に挙がるのが、マンション住民から出されるクレーム対応です。クレームの内容は、騒音や異臭に代表される住民トラブルや修繕工事の騒音問題など。

問題が起きてから2ヵ月以上経過し、そこから初めて理事会で話し合いを開始するというスピード感では、住民からの不満も溜まってしまいます。住民からのクレームに素早く対応するためには、月に1回の理事会の開催が求められるでしょう。

また、修繕積立金や管理費の滞納も理事会で対応するべき問題です。支払いは月に一度のペースで行われるのが一般的で、金額は数万円と高額。これらの滞納に1ヵ月目で気づくことができれば、回収はそれほど難しくありません。しかし、理事同士で情報共有する機会がないまま例えば滞納が3ヵ月続いてしまうと、支払うべき金額がかさんで高額となり、正規の金額を回収するのが困難になると想像できます。

このような問題の発生を抑えるためには、理事会の開催頻度は月1回と設定するのが効果的ではあります。

理事会の適切な開催頻度の判断基準は?

理事から不満が出されないかも考慮する

理事会の開催頻度が多いと、理事から不満を招く場合がある点には注意が必要です。

多くのマンションでは、仕事が休みの人が多くなる週末に合わせて理事会を開催しています。しかし、せっかくの休日に理事会のための時間を取る必要が出ると、不満に思うのは当然かもしれません。

昨今では、フリーランスや業務委託などの雇用形態で働く人も増えてきており、必ずしも誰しも土日が休みとは限らない時代となってきました。そのため、マンションによっては理事会メンバーの事情に合わせて、平日や時間帯も調整して理事会を開催したほうが適切な場合もあります。

このように、理事会の開催頻度は各々のマンションの現状に合わせて検討し決めることが重要です。竣工から数年以上経過しているマンションであれば、これまでのクレームや滞納などのトラブルの発生実績を考慮して、理事会の開催頻度を決定するのも良いでしょう。

住民から出されるクレームや管理費の滞納がほとんどないマンションであれば、毎月理事会を実施する必要もないかもしれません。

逆に、住戸数が多く、概ね月に一度の頻度で何かしらのトラブルが発生するマンションの場合は、1ヵ月ごとに理事会を開催しなければ対応が追いつかず、状況がさらに悪化する結果を招く場合もあります。

もしも、現在の理事会の開催頻度に対して、管理組合などから不満が出される状況にあるならば、マンションのこれまでのトラブルが発生する頻度なども考慮したうえで、開催頻度の変更を検討してみると問題解決につながるかもしれません。

イラスト:大野文彰

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この連載について

【連載】理事会役員超入門

マンションだからといって、購入後の管理はすべて管理会社にお任せ!というわけにはいきません。ほとんどのマンションにおいて、理事会の選考は立候補制ではなく、メンバーが入れ替わる輪番制。つまり、居住者誰もが理事会を担当する可能性が。というわけで本連載では、理事会役員になったらまず、これだけは知っておきたい!という超入門知識をご紹介。しっかり知識を身につけて、より良いマンションライフを送りましょう!

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