修繕積立金の適正額は? 計算方法と相場を解説!
修繕積立金の値上げがトラブルの原因に!回避するための方法を解説
マンションの修繕費用を確保するためには、修繕積立金を適正に積み立てていくことが重要です。
多くのマンションでは、築年数が経過するのに合わせて値上げを検討する必要がありますが、値上げに反対する入居者も珍しくありません。
値上げの必要性を住民に納得してもらうために、どのような準備が必要になるのでしょうか。
修繕積立金の値上げはトラブルを招くことも
修繕積立金の値上げが必要になったからといって、理解を得られるような説明がないまま総会に提案すると、トラブルに発展してしまうことがあります。
主な反対意見として想定されるのは「いきなりの値上げに納得できない」「もっと工事費が抑えられるのではないか」といった内容です。これらの反対意見は、総会前にきちんと手順を踏むことである程度防ぐことができます。
今回は修繕積立金の値上げを総会に提案する前にしておくべき対策を解説していきます。値上げトラブルを防ぐポイントは3つです。
修繕積立金の値上げトラブルを防ぐ3つの方法
【方法1】値上げ金額を明確にする
まず重要なポイントは、いくら値上げするのかという点です。
修繕積立金は、マンションの管理組合ごとに策定されている長期修繕計画に基づいて算出されます。国土交通省が公開している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では修繕積立金の適正額の求め方が記載されています。
詳しい計算方法について解説しているのは、以下の記事で解説しているので参考にしてください。
現在は多くのマンションで、専有面積に応じて修繕積立金が設定されています。
しかし、古いマンションは必要な金額よりも大幅に安く設定されている場合があるため、自身のマンションの修繕積立金の金額がどのように算出されているかを一度確認してみましょう。
【方法2】値上げのタイミングを明確にする
次に重要なポイントは、修繕積立金の値上げのタイミングを明確に決めておくという点です。
修繕積立金の値上げを行うタイミングは大きく5つに分けられます。
①大規模修繕が終わった後
②修繕費用が高騰した時
③予定外の追加工事が必要になった時
④値上げする前提の計画が組まれている場合
⑤空室が増えた時
値上げのタイミングによって、必要な修繕積立金の総額が変わってくるため、値上げ金額とあわせて明確にしておきたいですね。
修繕積立金の値上げについては、下記の記事でも解説しています。
【方法3】アンケートを実施する
最後のポイントは、修繕積立金に関する区分所有者向けのアンケートを実施するという点です。
アンケート内に値上げの理由や不足金額、今後の修繕計画について説明を入れておくと、値上げに断固反対しようとする人に理解を促すことができます。
回答で「説明会を開催するべき」という意見が出ることが想定されるため、希望者が多ければ開催するよう調整する旨を予め盛り込んでおくと良いでしょう。
値上げには総会の開催が必須
修繕積立金の値上げは、原則としてマンション総会の「普通決議」で可決されなければなりません。普通決議では、管理組合委員の過半数の賛成によって可決となります。
マンションの管理規約によっては「特別決議」が必要なケースもあります。その場合は管理組合委員の4分の3の賛成がなければ可決されないため、条件がかなり厳しくなると言えるでしょう。まずは、自身のマンションの規約がどうなっているのかを確認することが必要です。
値上げの決議については、下記の記事でも解説しています。
管理を見直して値上げしない工夫も必要
大半のマンションでは管理費の値上げが必要という現状がありますが、値上げを回避する方法がないかを探すことも重要です。
値上げを回避するために必要なのは、管理仕様書の見直しです。管理会社に委託する内容を見直すことで経費削減を図り、浮いた金額を修繕積立金に充当することができるかもしれません。
また、管理会社や施工会社からの提案をそのまま承認するのではなく、工事の必要性や価格の妥当性を理事会や修繕委員会で検証するのも効果的です。
値上げの際は要件を明確にして提案を
修繕積立金の値上げは、最終的には総会で可決されなければなりませんが、住民の負担が増えることからトラブルに発展してしまう場合もあります。
値上げをいきなり総会に提案するのではなく、値上げの金額や実施タイミングを明確にした上でアンケートを取るなど、事前の説明や準備をしっかり行う必要があるのです。
また、管理委託費などの見直しでお金が浮き、値上げ自体を回避できる場合もあるため、まずは管理仕様書全体を見直してみることがオススメです。