修繕積立金額はずっと同じとは限らない! 工事費高騰で値上がりも
修繕金の値上げには普通決議が必要! 議案書に記載する内容も紹介
大規模修繕に向けて管理組合員から毎月集めている「修繕積立金」。計画よりも工事費用がかさんだり、思うように資金が集まっていなかったりすると、値上げを検討せざるを得ないでしょう。
修繕積立金の値上げには総会で決議をとる必要があります。
そこで今回は、値上げにかかわる決議方法や、総会議案書に記載すべき内容を解説します。
修繕積立金を値上げするには決議が必要
修繕積立金の値上げには、総会で決議を取る必要があります。原則として「普通決議」が必要ですが、場合によっては「特別決議」が必要なケースもあります。それぞれの条件や方法を見ていきましょう。
原則として普通決議が行われる
一般的に修繕積立金を値上げする場合には総会において普通決議が必要になります。
普通決議は、区分所有者である管理組合員のうち過半数の賛成が必要です。
修繕積立金の集め方には、毎月一定額を集める「均等積立方式」と、建物が経年するにつれて5〜10年単位で金額を上げていく「段階増額積立方式」があります。
初めから段階増額積立方式を採用しており、一定期間ごとに増額すると決まっている場合でも、値上げ時には決議が必要となります。
特別決議が必要なケース
場合によっては普通決議ではなく、特別決議が必要となります。
例えば、マンションの管理規約に管理費や修繕積立金の金額が明記されている場合、修繕積立金に関する決議事項が記載されている場合です。
特別決議は、管理組合員の4分の3の賛成が必要となり、普通決議よりも賛成多数となるハードルは上がります。
どちらの決議に該当するか、事前に規約を確認しておきましょう。
値上げの議案書に記載すべき内容
【項目1】値上げ金額
当然ではありますが、値上げ金額は必ず記載しましょう。
各管理組合員の専有面積ごとに修繕積立金額を変えているマンションでは、住戸ごと、もしくは㎡単価で金額を記載するとわかりやすいかもしれません。
【項目2】値上げ実施日
修繕積立金は管理費とともに毎月集められるのが一般的です。
口座引き落としにしている管理組合員もいるでしょうから、値上げの実施日ならびに引き落としの日は議案書に記載して事前に通知しておきましょう。
【項目3】値上げが必要である根拠
単に値上げをすると伝えても、管理組合員からの賛成を得られない可能性があります。納得して値上げを認めてもらわなければ、総会での決議は難しくなるでしょう。
「マンションの劣化が当初の想定より進行している」「社会的に人件費が値上がしている」など、根拠の説明が重要です。
【項目4】値上げに至った経緯
値上げの根拠とともに、総会で議案を提出するに至った経緯も記載しておくと、より納得感が高められます。
理事会や管理会社で話し合った内容なども記載できると、管理組合員の疑問を減らせるはずです。
また、当日総会に出席できない組合員は、一般に委任状や議決権行使書で賛否を表明します。議案書を見るだけで議題の流れがわかるようにしておけば、組合員にとっても理事会にとっても円滑に決議が取れるでしょう。
修繕積立金の値上がりは数千円程度が一般的
国土交通省の「平成30年度 マンション総合調査」によると、1戸あたり月額1万2268円が平均となっています。
値上げ幅の平均は㎡あたり64.3円で、70㎡の住戸であれば4501円の増額になるわけです。
㎡あたり100円超の値上がりは12.7%を占めており、70㎡で計算すると7000円以上値上がりしたマンションも少なくないとわかります。
値上げの理由や対策については以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。
議案書には実施日や値上げ根拠を書いておく
修繕積立金の値上げには普通決議を行い、管理組合員の過半数の賛成を得る必要があります。
ただし、管理規約や細則に修繕積立金額が明記されている場合は、規約の変更に関わるため、特別決議が必要です。特別決議では管理組合員の4分の3の賛成が必要です。
組合員に値上げを納得してもらい円滑に総会を進めるためにも、議案書には値上げ金額や値上げ実施日のほか、値上げが必要な根拠を記しておきましょう。
修繕積立金の値上がり幅は4500円程度が一般的ですが、専有面積の広さなどによっては1万円以上増えてしまう可能性もあります。
組合員の負担が大きくなりすぎないよう、値上げ幅は実情に合わせて設定しましょう。