理事会の副理事長の役割は? 「業務がラク」とされる理由も解説
理事会を代表する役職の理事長は、管理組合のトップとしてさまざまなマンションの管理業務に対応する重要なポジションです。
理事会には、ほかにも「副理事長」という役職があります。副理事長は、理事長とどのような違いがあって、どのような役割を持つのか知らない人は多くいるでしょう。
この記事では、普段は理事長の陰に隠れて目立たない、理事会の副理事長にスポットライトを当てて解説していきます。
副理事長の主な仕事は理事長の補佐
マンションの理事会は、区分所有者で組織されるマンション管理組合の代表として、総会の決定事項を執行する組織です。理事会の構成メンバーは管理組合員から選出され、さらにその中から代表者である理事長が選ばれます。
理事長は、管理組合の活動に必要な多岐にわたる業務に対応しなければなりません。年に1度開催が必要なマンション総会の時期が近づくと、理事長が総会の招集をして、さらに総会当日は議長として意見の取りまとめや進行を担当するケースもあります。また、総会関連以外にも、管理会社との連絡業務や管理費を納めていない区分所有者への支払い催促なども理事長の役割です。
理事長のほかにも、理事会の役職には副理事長、会計、監事などがあります。
会計は、管理組合の運営で発生する支払い業務や収支の計算、監事は、管理組合の業務や予算の使用用途が適正かを公平な立場で判断する、といったように、名称から概ねの役割が判断できるでしょう。しかし、唯一副理事長だけは、名前だけでは具体的な業務内容が浮かばない役職です。
マンション標準管理規約の第39条には、「副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときは、その職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う」と記されています。この記述から、副理事長は、理事長の活動を補佐をする役職で、時には理事長の代理も務める理事会のNO.2といえる役職と考えられるでしょう。
マンションによって違いはありますが、多くの管理組合では1〜2名が副理事長に選任されています。また、「現役の副理事長は次回の任期で理事長に就任する」とルールで定めている管理組合もあるようです。
副理事長は「ラク」な役職?
管理組合の中には、「副理事長=理事会の役職の中で一番業務内容がラクな役職」と考えている人が少なくありません。
「理事長の補佐」が副理事長の主な業務ですが、理事長の職務には、窓口対応など他者と協力して進めるのに適さない内容も多くあります。そのため、副理事長がどのようにサポートするべきかがわからず、結局、理事長が1人で職務へ対応しがちです。このような状況を考えると、実際に副理事長が理事長の仕事をサポートする機会はそれほど多くないといえます。
また、理事長の不在時に代理を務めるのも副理事長の役割ですが、理事長が長期出張していたり、ケガや病気で入院したりしない限り代理の必要はありません。任期中の理事長が、やむを得ない理由で活動ができなくなる状況は、それほど起きないことなので、副理事長が理事長の代理で業務に対応する可能性は低いといえるでしょう。
このように、補佐や代理として活動する機会がない場合は、副理事長の業務はそれほど大変ではないかもしれません。
管理規約の内容次第で副理事長も業務に関わる機会が多くなる
前述の通り、理事長が不在にならなければ、業務に対応する必要がない場合が多い副理事長ですが、マンションのルールによってはその限りではありません。
なかには、あらかじめ副理事長にも固定の業務を設定しているマンションもあります。例えば、地域の自治会と連絡する際の窓口を理事長ではなく、副理事長にするといった体制です。
このように、通常であれば理事長の担当とされている業務の一部を副理事長の担当とするルールをあらかじめ設定しておけば、理事長に業務が集中する状況を避けられます。通常であれば業務量に大きな差ができてしまう理事長と副理事長ですが、いくつかの業務を副理事長が受け持てば、作業負担の不平等さが緩和されるでしょう。
このようなルールをしいているマンションでは、副理事長にもほかの理事会役員と同じくらいやらなければならない業務が発生します。そのため、「業務がラクだと思うから副理事長に立候補した」といった安易な考えで副理事長に就任すると、後々見込み違いだったと感じてしてしまうかもしれません。
区分所有者であれば、いつか理事会メンバーになる順番が回ってくる可能性があります。理事に選任された時には、自分のマンションの理事会にはどのような役職があり、各々がどんな業務をしているのかを知っておくといいでしょう。
イラスト:大野文彰
この連載について
【連載】理事会役員超入門
マンションだからといって、購入後の管理はすべて管理会社にお任せ!というわけにはいきません。ほとんどのマンションにおいて、理事会の選考は立候補制ではなく、メンバーが入れ替わる輪番制。つまり、居住者誰もが理事会を担当する可能性が。というわけで本連載では、理事会役員になったらまず、これだけは知っておきたい!という超入門知識をご紹介。しっかり知識を身につけて、より良いマンションライフを送りましょう!
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