必見!! 注目の「 民泊新法」のポイントを解説!
一時的なイベントや外国人観光客の増加による宿泊施設の不足などに対応するため、規制が緩和された民泊。民泊新法も制定されたことで、改めて民泊に関する法律を理解しておきたいと思う方もいるでしょう。
ここでは、民泊新法の内容を含めて、押さえておくべきポイントを厳選してお伝えしていきます。
なぜ「民泊新法」が必要になったのか!?
そもそも民泊の定義とは、宿泊用途に提供された個人宅の一部や空き別荘、マンションの空室などに宿泊すること。近年では外国人観光客の増加による宿泊施設の不足や人口減少による空き家問題、さらには部屋を貸したい人と宿泊したい人をマッチングするサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」などの登場により、民泊が急速に普及しました。
ただこのAirbnbなどを通じた空き室の貸し出しは、従来の「旅館業法」で規制するとほぼ違法になってしまうという問題もあったのです。そこでこういった民泊の急速な普及に対応するために制定されたのが、「民泊新法(正式には住宅宿泊事業法)」です。
民泊新法は3つの事業者を対象としている!
この民泊新法ですが、そもそもどういう人を対象としているのでしょうか。
民泊新法は民泊事業に関わる「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」の3つの事業者を対象としています。それぞれの役割を整理すると、以下の通りです。
・住宅宿泊事業者:届出住宅を利用して民泊事業を行う民泊ホスト
・住宅宿泊管理業者:民泊ホストから住宅の管理業務の委託を受ける民泊代行業者
・住宅宿泊仲介業者:民泊物件を紹介する仲介サイト
民泊を運営するためには、住宅宿泊事業者として届出を行う必要があります。また、あわせて住宅宿泊管理業者へと、管理業務を委託する必要もあるでしょう。いずれにせよ、前述した3つの業者は民泊の運営に関わってくるため、以降では改めてそれぞれの事業者にかかわる制度概要をまとめてみました。
「住宅宿泊事業者(民泊ホスト)」にかかわる制度概要
住宅宿泊事業者は、都道府県知事への届出が必要です。ただ、都道府県知事に代わり保健所が設置してある市の長や特別区の長(東京23区)が、届出の受理・監督・条例制定事務を処理できるとされています。
なお、年間提供日数の上限は180日(泊)。各自治体の条例なども踏まえた運営を行う必要があります。
そのほか、定められているルールとしては以下の通りです。
・家主居住型の場合、衛生確保措置や宿泊者に対する騒音防止のための説明、近隣からの苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付け、標識の掲示などを義務付け
・家主不在型の場合、上記措置(標識の掲示は除く)を住宅宿泊管理業者に委託することを義務付け
・各都道府県知事などは、住宅宿泊事業者への監督を実施する
「住宅宿泊管理業者」にかかわる制度概要
民泊の管理業務を委託するであろう住宅宿泊管理業については、国土交通大臣の登録が必要です。そして、住宅宿泊事業者と同じく、主に以下のようが業務が義務付けられています。
・衛生確保措置、宿泊者に対する騒音防止のための説明、近隣からの苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付けなど
・管理受託契約の内容の説明、契約書面の交付など
「住宅宿泊仲介業者」にかかわる制度概要
住宅宿泊仲介業については、観光庁長官の登録が必要となります。
そのうえで、宿泊者への契約内容の説明などを義務付け。住宅宿泊仲介業者の監督については、観光庁長官が実施するルールとなっています。
「旅館業法」と「民泊新法」はここが違う!
前述したように従来からある旅館業法、さらに民泊の急速な普及によって誕生した民泊新法について、以降で改めておさらいしていきましょう。
営業許可となる規定が厳しい「旅館業法」
旅館業法における旅館業とは、「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」とされています。この「営業」とは、施設の提供が「社会性をもって継続反復されているもの」とあり、一般的には知人や友人を宿泊させる場合には旅館業に該当しません。
ただ、インターネットを利用して広く宿泊者の募集を行い、繰り返し人を宿泊させて対価を得る状態は「社会性をもって継続反復されているもの」に該当する、つまりは旅館業といえます。そのためAirbnbというインターネット上から広く宿泊者を募るサイトを利用して民泊を行うことは、旅館業の定義に当てはまるわけです。
旅館業の営業を行う場合、原則として厚生労働省から旅館業法にもとづく営業許可を得なければなりません。ところが、旅館業法の規定が厳しかったため、無許可の民泊が増えてしまいました。そこで制定されたのが、民泊新法といえます。
なお、年に数回(1回あたり2~3日程度)開催されるイベント時の宿泊施設不足対策として、開催地となる自治体の要請などにより自宅を提供するような公共性の高い「イベント民泊」は、「旅館業」に該当しません。このように一部例外的に、旅館業法の許可がなくても宿泊サービスを提供できる場合もあります。
営業届出だけで民泊の提供を可能にした「民泊新法」
旅館業法の規定が厳しく、無許可の民泊が増えたため、2018年に施行された民泊新法。この民泊新法では、民泊を「人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が一年間で百八十日を超えないもの」と定義しています。
従来は各自治体からの営業許可が必要でしたが、営業届出を行うだけで営業ができるようになったことが、旅館業法との大きな違いです。
民泊新法のなかで特に押さえておきたいポイント
ここでは、民泊新法のなかで特に押さえておきたいポイントをピックアップして紹介していきます。
【ポイント1】届出可能な住宅の条件が設定されている
民泊新法の届出には、設備と居住の条件を満たした住宅でなければなりません。設備条件としては、台所やトイレ、浴室や洗面設備の4施設が必須です。
居住条件としては、次の3点になります。
・現に人の生活の本拠として使用されている家屋
・入居者の募集が行われている家屋
・随時所有者等の居住の用に供されている家屋
これらの条件を満たせば、一戸建てやマンションを問わず、届出ができます。ただし、最も注意しなければならないのは、消防設備の設置条件。自動火災報知器や誘導灯など、ホテルや旅館と同等の特定防火対象物の設置が必要となります。
【ポイント2】年間営業日数は180日まで
民泊新法では、家主居住型や家主不在型にかかわらず、年間営業日数は180日以内に制限されています。自治体によっては、さらに営業日数の制限を定めていることもあります。
注意しなければならないのは、実際の宿泊日数ではなく、正午を基準に日数がカウントされること。例えば、4月1日14時~4月2日14時の場合、実際の宿泊日数は1泊ですが、正午を基準にカウントするため、2営業日となります。つまり、4月1日14時~4月2日正午で1カウント、4月2日正午~14時で1カウントの合計2営業日となるのです。
【ポイント3】管理業務の委託が義務付けられている
住宅宿泊事業者(部屋の貸し主となる「民泊ホスト」)は、管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する義務があります。 ただし、民泊ホスト自身が住宅宿泊管理業者に該当する場合や、貸し出す住戸内に家主も住んでいる場合などは管理業務の委託は必要ありません。
とはいえ、家主が住んでいない物件を利用して民泊を行う場合は、物件の規模に関係なく管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなければならないことがほとんど。管理業務を委託する場合は、委託費用が必要になることも頭に入れておきましょう。
【ポイント4】適正な運営のために一定の義務が課せられる
住宅宿泊事業の適正な運営のために、民泊ホストには次のような義務が課せられています。
・宿泊者の衛生・安全の確保
・外国人宿泊者への快適性および利便性の確保
・宿泊者名簿の備え付け・提出
・騒音防止など、宿泊者へのマナーの説明
・周辺住民からの苦情の処理
・標識の掲示
・都道府県知事に対する定期報告
民泊新法の制定によって規制は緩和されたものの、民泊ホストがやるべきことは想像以上に多いといえます。
そのほかの困ったは「民泊制度コールセンター・ポータルサイト」を利用しよう
ここまで紹介したポイント以外でわからないことがあれば、制度内容や住宅宿泊管理業者への登録方法などが掲載された、観光庁の「民泊制度ポータルサイト」を利用してみましょう。コールセンターも設置されているため、直接電話で問い合わせることもできます。
規制が緩和されたとはいえ、一定の義務が課せられている
民泊新法によって規制が緩和され、民泊を提供するハードルは下がりました。今ではイベント宿泊や農泊など、宿泊スタイルや楽しみ方の幅が広がり、地方創生として厚生労働省からも期待を集めています。外国人観光客の増加による宿泊施設の不足といった問題の改善にも役立つでしょう。
ただ、規制が緩和されたといっても民泊ホストになる方には法律のなかである一定の義務が課せられています。届け出を行う設備や住居の条件だけでなく、年間営業日数の制限や宿泊日数のカウントの注意点など、マンションで民泊の提供を検討している方は事前に確認しておきましょう。
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この連載について
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マンションだからといって、購入後の管理はすべて管理会社にお任せ!というわけにはいきません。ほとんどのマンションにおいて、理事会の選考は立候補制ではなく、メンバーが入れ替わる輪番制。つまり、居住者誰もが理事会を担当する可能性が。というわけで本連載では、理事会役員になったらまず、これだけは知っておきたい!という超入門知識をご紹介。しっかり知識を身につけて、より良いマンションライフを送りましょう!
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