騒音対策はどうしたらいい? 個人でできる方法から相談先まで解説!
「民泊」のトラブルを解決したい!
マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「民泊」のトラブルに目を向けてみたいと思います。
2018年にマンション管理センターが行った調査によると、調査対象105組合のうちなんと9割の管理組合で民泊禁止の取り決めを行っているそうです。民泊禁止の施行については、8割近くが管理規約で定めたと回答。騒音などの迷惑行為や文化の違いなどから発生するトラブルに対応するため、民泊を全面禁止としている管理組合は多いようです。
とはいえ、禁止せず、民泊を解禁しているマンションもあることでしょう。では、民泊で起こりがちなトラブルには、どう対応をしていけば良いのでしょうか。
民泊で起こりがちな4つのトラブル
【トラブル1】騒ぎ声がうるさい……
マンションによっては、ホテルなどの宿泊施設と違い、騒音対策が行われていない物件もあります。旅行に来ている高揚感から、宿泊者の騒ぎ声が近隣住民に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。
海外の人と日本人だと、騒ぐレベルが異なることもあります。とくに大勢で宿泊している場合、話し声も自然と大きくなるため、知らず知らずのうちに周囲に騒音が響いてしまう可能性も……。民泊を提供する側は、以下の記事でも紹介しているように、騒音対策を行うと良いでしょう。
【トラブル2】違う物件に間違って入った!
民泊を利用したゲストが宿泊場所の周辺で迷い「違う物件に間違って入ってしまった!」というトラブルもあります。
そのため、宿泊場所の目印となるような看板を設置しておきたいところ。なお民泊新法では、届出番号や届出年月日を記載した標識を提示することが定められています。
【トラブル3】禁煙にもかかわらず、喫煙される
においや火災のリスク対策として「禁煙」にもかかわらず、ルールが守られないケースもあります。
タバコの匂いが上階や隣の洗濯物に付いてしまい、住民同士のトラブルに発展してしまう可能性も考えられるでしょう。
また、ベランダや庭といった「部屋以外での喫煙は許される」と勝手に解釈するケースもあります。
警告の掲示を分かりやすく設置するほか、隠れてたばこを吸われるくらいなら、喫煙場所を指定するのも1つの方法。部屋で黙って吸われるより、においや火災のリスク対策になるはずです。
なお消防庁の「民泊における防火安全対策」でも、喫煙ルールの例があげられているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
【トラブル4】ゴミ出しのルールを守らない
住人もそうですが、ゴミの分別がきちんとできないゲストもいます。とくに、細かい分別のルールにあまり馴染みのない海外の人に多いといえそうです。
Airbnbなどでは予約済みのゲストに対し、ゴミの分別方法などの説明は行っていないようです。そのため、ホストだけでなく理事会も含めて、分別方法やゴミ出しの場所などが誰でもわかるよう、伝え方を工夫することが求められます。
例えば、ゴミの分別に関する張り紙を何カ国語かで作成して貼ったり、分別用に色の異なる複数のゴミ箱を置いたりする。言葉が通じなくとも、直感的に分かるような工夫が大切です。
トラブルはどうやって回避する?
では、前述したトラブルに、どう対応をすれば良いのか。以降で紹介していきます。
【対処法1】ゲストには口頭でルールを伝える
紙を渡して「ルールを事前に見ておいてください」だけでは不十分です。わざわざルールを自発的に読む人は少ないでしょう。そのため「ルールについてはホストの口から説明してください」と、民泊の運営者には伝えておきましょう。
とはいえ、あまり細かくルールを設定しても逆に見てもらえない可能性があります。本当に守って欲しいルールについてのみ何カ国語かに分けて、いつでも見れる位置に貼っておくと良いですね。
【対処法2】罰則を事前に決めておく
管理規約などで、ルールが守られなかったときの罰則を決めておくと安心です。ゲストが騒いで苦情が来たり禁煙にもかかわらずタバコを吸ったりした場合、どのような罰則があるか、ルールを明確にしておきましょう。
ただ、ルールを一方的に押しつけようとすると、反発する可能性もあります。そのため、あくまでもゲストとコミュニケーションを取りながら関係性を良好に保つことは前提。その上でルールを伝えるよう、民泊の運営者に促しましょう。
【対処法3】何カ国語かでルールを作成する
すでに触れていますが、忘れてはならないのは、ゲストは日本人ばかりではないということ。そのため、ルールを作成する場合、日本語だけでなく何カ国語かで作成し、共用部の必要な箇所に貼っておきましょう。
【対処法4】共用部への損害は保険を利用する
万が一、ゲストがエントランスなどの共用部分に損害を与えた場合、Airbnbであれば保険が適用されます。
まずは、ゲストに損害の見積もりと請求書を提出。支払いを拒否された場合、仲介サイトに証拠写真と見積もりを送り、保証金を払ってもらうための申請を行いましょう。証拠写真と見積もりが揃っていれば、保証金が支払われるケースが多いといえます。
【対処法5】あまりにトラブルが絶えない……民泊の禁止も視野に
冒頭で紹介したように、トラブルを未然に防ぐのであれば、民泊の「禁止」も選択肢となるでしょう。その際、管理規約上で定めることが望ましいといえます。
なお民泊の禁止を定めるための管理規約変更は、総会で「区分所有者数の4分の3以上」かつ「議決権の4分の3以上」の賛成が必要。決議を行う手間はかかるものの、民泊に関するトラブルに頭を抱えている管理組合は、一度検討してみてはいかがでしょうか。
以上、今回は民泊をテーマに、トラブルとその解決方法を紹介してきました。
次回、13回目の連載は「原状回復」をテーマに、マンション退去時のトラブルを解決する方法について解説していきます!
イラスト:カワグチマサミ
この連載について
【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル
複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!