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本格的に民泊ビジネスを始めたい方向け! 旅館業法の手続きを解説

2020.07.20
本格的に民泊ビジネスを始めたい方向け! 旅館業法の手続きを解説

年間180日以上営業する民泊では、民泊新法ではなく従来からある「旅館業法」にもとづく許可が必要となります。

今回は、そんな旅館業法の基礎知識や、法改正以降の設備構造基準、必要な手続きなどを解説。営業日数に制限のない、本格的な民泊ビジネスを始めようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

旅館業法が適用される4つケースとは?

旅館業法における旅館業の定義は、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」。つまりアパートの貸室業などは、旅館業には含まれません。

この定義を踏まえて、具体的に旅館業法が適用される4つのケースを見ていきましょう。

【1】宿泊料の徴収

旅館業は「宿泊料の受け取り」が前提なので、宿泊料を徴収しない場合、旅館業法は適用されません。宿泊料という名目でなくても、休憩料・寝具賃貸料・寝具のクリーニング代・室内清掃費などを宿泊者から受け取っていれば、旅館業法の営業許可が必要です。

【2】社会性の有無

旅館業法でいう「営業」には、「社会性をもって継続反復されている」という意味が含まれています。つまり個人生活上の行為として親戚・知人・友人などを泊める場合、社会性があるとは言えないため、旅館業法上の許可は不要と考えられています。

一方で広告で宿泊客を募集したり、不特定の方を宿泊させたりすると、「社会性がある」と判断されるため旅館業法上の営業許可を得る必要があるでしょう。

また「繰り返し宿泊させているかどうか」も、大切な判断基準といえます。例えば人を泊めることで宿泊費を受け取ったとしても、それが1回限りであれば継続的な営業とはいえないため、旅館業法にもとづく許可は必要ないといえます。

【3】生活の本拠か否か

旅館業と不動産賃貸業の違いは、「生活の本拠となるかどうか」です。例えばマンスリーマンションやシェアハウスのように「生活の本拠である」とみなされる場合、不動産賃貸業にあたります。

しかし宿泊期間が1ヵ月未満のウィークリーマンションや、宿泊期間1ヵ月以上であっても清掃や寝具の提供をオーナー側で行う場合などは、旅館業の対象となる可能性が高いです。

旅館業法における営業の種類は3つ

旅館業法では、営業の種類を「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3つに分類しています。

戸建て住宅やマンションなどを活用する民泊ビジネスでは、「旅館・ホテル営業」もしくは「簡易宿所営業」の許可を受けるのが一般的ですが、念のためそれぞれの運営形態の基準について確認しておきましょう。

【1】旅館・ホテル営業

以前は旅館業法のなかで「旅館営業」「ホテル営業」とで分けられていましたが、2018年6月15日の法改正で1つのカテゴリーに統合されました。

旅館・ホテル営業の客室床面積は、1室7㎡以上(ベッドがある場合は9㎡以上)。従来は、原則としてフロントの設置義務があるのも特徴でした。しかし、2018年6月の法改正で、フロントの設置義務が緩和されたことにより、旅館・ホテル営業を行う上でのハードルは下がったといえます。

【2】簡易宿所営業

簡易宿所営業には、多人数で部屋を共用するような宿泊施設が該当します。例えば、バンガロー・スキー小屋・ユースホステルのような施設です。特に二段ベッドを置いて、大勢で使うような部屋をイメージすると良いでしょう。

簡易宿所の客室面積は、33㎡(宿泊者数10人未満の場合、3.3㎡×宿泊者数)以上。国の法令上はフロントの設置義務はありませんが、自治体によってはルールとして定めている地域もあります。

旅館・ホテル営業に比べると、許可取得の難易度が高い簡易宿所営業。後ほど、設備基準などの条件面について詳しく解説していきます。

【3】下宿営業

下宿営業は、1ヵ月以上の期間を単位として、宿泊料をとって人を泊める営業方法です。賃貸借とは違うので、各部屋の清掃や施設の管理責任が宿泊者ではなく事業者側にあります。

2018年6月15日旅館業法改正で何が変わった?

2018年6月15日、違法民泊など無許可営業の取り締まりを強化するため、民泊新法の施行とともに行われたのが旅館業法の改正です。

これまでは旅館業法の設備要件が厳しく、戸建てやマンションを活用した民泊では設備を整えるのが難しいという問題がありました。しかし旅館業法についても規制が緩和されたことで、営業許可のハードルは下がったといえます。

主な改正点は、以下の3つです。

【改正点1】旅館・ホテル営業の最低客室数を撤廃

改正前は旅館で最低5部屋、ホテル業で最低10部屋の設置が必要でしたが、前述した通り「旅館営業」「ホテル営業」だった分類を「旅館・ホテル営業」に一本化したことで、最低客室数も撤廃されました。

客室1部屋から営業可能となり、規模の小さな民泊運営でも、旅館・ホテル営業としての許可を取得しやすくなったといえます。

【改正点2】フロント設置義務の緩和

もともと旅館・ホテル営業の玄関帳場・フロントの設備基準として定められていた「受付台の長さが1.8m以上」というルールを撤廃。一定の条件を満たす場合は、フロントの設置義務もなくなりました。

旅館業法上ではフロントを設置しなくても良い条件を「緊急対応ができる態勢整備・ビデオカメラなどによる本人確認・鍵の受け渡しが適切に行われる」としていますが、自治体によってルールは異なるようです。

営業許可を得るための申請手続きも紹介!

手続き

では、旅館業法による民泊の営業許可を取るにはどのような手続きをすれば良いのか。

以降で大まかな流れを紹介していきます。

【1】「保健所」で事前相談や申請を行う

民泊の営業許可の大きな柱としては、「保健所・建築基準法・消防法」という3つをクリアしなければなりません。

その1つである保健所は、旅館業法にもとづく民泊運営の許可証を発行する場所。まずは窓口で事前相談を行った後、必要書類をそろえて申請手続きを行うのが一般的な流れです。申請には、許可申請書や営業施設の図面、そのほかにも自治体の条例で定められた書類の提出が必要となります。

なお保健所での許可を得るためには、この後に説明する建築基準法・消防法への適合状況も確認しなければなりません。

【2】「建築基準法」上の構造基準を満たしているか確認

民泊を提供する予定の建物が、建築基準法にもとづく「ホテル・旅館」や「簡易宿所」の構造基準を満たしているか、確認しておく必要もあります。またもともと住宅や共同住宅としてつくられた建物で民泊運営を行うためには、原則として「用途変更確認申請」という手続きが必要です。これは要するに、建物の用途を従来の「住宅」から「簡易宿所」などに変更する作業となります。

ここで建築基準法の確認とあわせて覚えておきたいのが、用途地域によっては民泊を営業できる地域とそうでない地域があること。

都市計画法による区分の1つ「市街化調整区域」は、市街化を抑制して自然環境を保全する地域のため、民泊を営業できないケースがあります。そのため民泊として提供する建物が、どの区域に属するかも念のため確認しておきましょう。

【3】「消防法」上の基準をクリアする

最も手続きのハードルが高いと言われるのが、消防法の基準を満たすことです。

消防法では民泊の運営に関して、消化器や自動火災報知器設備、誘導灯や避難器具など設置すべき設備の条件を設けています。自分だけで判断することは難しいため、消防設備工事などを専門に行う業者と相談しながら、進めていきましょう。

営業許可を得るために満たすべき設備基準は?

最後に、旅館業法にもとづいて民泊運営を行うために、クリアしなければならない設備基準も紹介していきます。

【基準1】簡易宿所では最低でも2つ以上のトイレを設置する

旅館・ホテル営業では、客室内にトイレが1つずつあれば、共同トイレは不要。1棟や1フロアごとを貸し出す場合、各棟・各フロアにトイレが1つ以上あれば問題ありません。

多人数で1部屋を共用することになる簡易宿所営業では、男女別というルールがあるため、最低でも2つ以上のトイレを設置する必要があるでしょう。

【基準2】洗面所の設置台数は収容定員に応じて変わる

洗面所もトイレと同じような考え方で、客室内に洗面所があれば、共同洗面所は不要です。しかし客室内に洗面所がない場合や、多人数で居室を共用する簡易宿所の場合は、共同の洗面所が必要となります。

なお共同洗面所に関しては施設の収容定員に応じて、洗面ボウルや給水栓の数が自治体ごとに定められています。例えば「5人当たり1個以上」「30人超なら10人あたり1個以上」などといったルールが多いようです。

【基準3】浴室内の設備はシャワーのみで良いケースも

シャワー

簡易宿所に関しては、原則として浴室・脱衣所の設置は必須となっています。ただ、自治体によっては浴槽は必要なく、シャワーのみで良いケースもあるようです。

旅館・ホテル営業では、客室内に浴槽があるなら脱衣所は不要ですが、共同浴室の場合は脱衣所を設けなければなりません。

【基準4】窓の面積は有効客室面積の1/8~1/10

旅館・ホテル営業、簡易宿所営業ともに設置する窓の面積は「有効客室面積の1/8~1/10」が目安となっています。例えば100㎡の客室であれば、10㎡以上の窓の設置が必要ということです。

しかし、2018年6月の旅館業法改正以降、自治体によっては「窓があればOK」というように条件を緩和したケースも見られます。窓の拡張には時間もお金もかかるため、基準を満たしているかどうか、早めに各自治体のルールを確認しておいたほうが良いでしょう。

【基準5】民泊はリネン庫の設置も必要

リネン庫

また民泊を行うにあたっては、寝具類を収納するためのリネン庫の設置も必要となります。もし客室がベッドでなく布団の場合、押入れなどの比較的大きな収納設備を用意することになるでしょう。

なおリネン庫は各階に必要の場合もあれば、詳しい基準はなく「リネン庫があればOK」という自治体もあります。

日数制限のない民泊ビジネスなら旅館業法による営業許可を!

民泊新法にもとづく許可では、年間営業日数に180日という制限があります。そのため日数に縛りがなく、本格的に民泊ビジネスを始めたいという方は旅館業法にもとづく手続きも検討したいところ。個室を提供するのか、多人数で共用してもらうのかなど民泊の運営スタイルによって「旅館・ホテル営業」もしくは「簡易宿所営業」のいずれか適した許可を取得しましょう。

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