騒音対策はどうしたらいい? 個人でできる方法から相談先まで解説!
マンションにおけるトラブルのなかで、最も多いのが騒音問題。国土交通省が2018年に行ったマンション総合調査によると、居住者間のマナーをめぐるトラブルで最も割合が高かったのは生活音(38.0%)でした。
騒音にまつわる悩みや問題を解決するために、この記事では騒音対策として個人ができることや第三者への相談方法について解説していきます。
個人でできる騒音対策一覧
騒音は被害に遇うこともあれば、自分が加害者になってしまうこともあります。そこで電車や近隣の工事音、隣人の生活音など外部からの騒音を軽減する方法のほか、室内から外に発する音を軽減する方法まで、個人でできる対策をいくつか紹介します。
【1】防音壁や防音パネルを設置する
お隣さんや上の階から聞こえてくる音はもちろん、自身の住戸から発する音を抑制するための有効な方法の1つに、後付けの防音壁や防音パネル、遮音シートを設置することが挙げられます。防音壁や防音パネルはフェルトなどの柔らかい素材が使用されているものが多く、音を吸収する効果が期待できます。
遮音シートは、薄いゴムに近い樹脂でできた防音効果のあるシートのこと。学校の音楽室やカラオケルームで使用されていることも多く、両面テープを使って貼れば壁に傷をつけずに設置することができるため、賃貸であっても安心です。
「楽器の使用などで室内の音が反響してしまう」「上の階の住人の足音が気になる」といった方は、天井にマットを貼り付けても良いでしょう。
これらはいずれも、個人でもホームセンターなどで購入が可能。大がかりな工事も必要とせず、自分の手で手軽に設置することができます。
【2】防音(防振)マットで室内で発生する音を抑える
防音(防振)マットは、床の上を飛び跳ねたときなどに出る振動音を軽減するためのもの。下の階などに、子どもの飛び跳ねる音が響かないようにするため、などに有効です。
防音マットにはシートタイプやパネルタイプなどがありますが、シートタイプの場合は1畳当たり800~2000円程度で購入できます。
【3】カーテンを防音効果のあるものにする
屋外からの騒音が気になる場合には、カーテンを防音効果のあるものに変えてみるのも手。ペットの鳴き声や楽器の演奏音など、住戸内の生活音を外に漏らさないためにも有効です。
なお防音カーテンには音を遮る効果だけでなく、遮光効果もあるものも多く、外の明るさが気になるといった場合にも利用できます。効果を高めるためには、窓をすき間なくカーテンで覆うように取り付けましょう。
【4】防音工事で壁や窓そのものに防音性能を施す
壁を防音にする場合、中に吸音材と遮音シートを入れる方法と、換気口を防音仕様にする方法があります。あくまでも一例ですが、壁に吸音材を埋め込む費用は18~25万円程度。一方で換気口を防音仕様にするのみであれば2~5万円程度で済みます。
また窓を防音仕様のガラスに取り換える際の費用は、5~13万が相場。ただ、ここで注意しておきたいのは窓ガラスに関しては「共用部分」であるということ。そのため、壁の工事はもちろん、窓の取り換えも管理組合の許可などが必要となります。
なおここで紹介した金額感は目安ですので、もっと正確な費用が知りたいという方は業者に見積もりを取ってみましょう。
【5】耳栓やイヤーマフで耳そのものをふさぐ
一定期間だけ防ぎたいケースなど、騒音対策にあまりお金をかけたくない場合は、「耳栓」でも騒音を防ぐことはできます。ただ、テレビを見たり音楽を聴いたり部屋にいる間ずっとしておくというわけにはいきませんから、眠るときのみつけるなど限定的な使い方になるかと思います。
また耳栓以上に遮音効果が高い製品には、ヘッドホンのように耳全体を覆うイヤーマフなどもあります。しかし、人によっては装着時に圧迫感を感じる人もいるため、長時間ずっとつけておけるかどうか、慎重に検討しましょう。
騒音の被害にあったら誰に相談すればいいのか?
騒音に悩まされている場合、これまで紹介した対策を試すだけでなく、第三者への相談によって解決することもあります。ここでは、マンションにおいてもし騒音の被害者になってしまったときの相談先について紹介していきます。
【1】まずは管理会社または理事会へ
騒音トラブルは当人同士で解決できれば良いですが、感情と感情がぶつかりあってしまうと、なかなか話が前に進まない可能性があります。そこで第三者を介入させた方が冷静にことが運ぶケースもあるでしょう。
では誰に介入してもらうのか。
マンションでいえば、やはり理事会や管理組合、管理会社です。相談するときは直接個人へ注意をして欲しいのか、もしくは掲示板などで広くアナウンスして欲しいのかなど、具体的にどういった対策を行って欲しいのかまで伝えておくと、なおよいでしょう。
【2】警察に110番通報する
管理会社や理事会を通して注意をしたにもかかわらず騒音が止まない場合は、最終手段として警察への110番通報も視野に入れておきたい。といっても警察の対応も「注意をする」で終わることがほとんどです。ちなみに誰が通報したか騒音主に知られることは基本的にはありません。
なお「110番は気が引ける……」という方は、警察の相談窓口(#9110)などを利用する手もあります。
【3】訴訟を視野に入れるなら弁護士に相談
弁護士に相談するのは、訴訟を念頭に置いた行動であるということ。騒音問題で相談すると、「被害の状況」「現状持っている証拠」などの客観的な証拠を持っているか、そして「最終的にどうしたいのか」などを確認されます。そのため、騒音に関する情報をあらかじめ整理したうえで臨みたいところ。レコーダーなどで騒音を録音しておくと、訴訟になったときの証拠として役立ちます。
騒音は被害者になることもあれば加害者になることもある
騒音のもととなる生活音は、音量の程度は違えど、誰しもが日常的に発しているものです。そのため騒音の被害者になることもあれば、知らぬ間に加害者になっていることもあります。被害者にならないために騒音の対策を行うのはもちろん、自分が発する音が周囲に迷惑をかけていないかどうかも改めて振り返ってみましょう。