修繕積立金ガイドラインを見れば、積立方法や金額の目安がわかる
マンション修繕積立金の残高の目安は? 不足したときのリスクは?
マンションを購入すると負担することになる、修繕積立金。経年劣化が避けられないマンションを定期的に修繕するために、必要な費用です。
そんな修繕積立金ですが、どれぐらいの残高があるかによって値上げすべきか、もしくは将来の大規模修繕を延期すべきかなど対応が変わってきます。では修繕積立金の残高の目安や、残高が少ない場合にはどのようなデメリットが発生するのでしょうか。
修繕積立金の残高の目安はどのくらい?
結論から言うと修繕積立金の金額は現在の築年数やマンションの規模、また導入している設備などによって異なるため、明確な目安はありません。ただタワーマンションなど、足場の設置が難しい工事などを必要とする場合は大規模修繕の費用も想定より大きくなることが予想されるため、その分、確保しておくべき残高も高額になるでしょう。
参考までに、あくまでも目安ですが、国土交通省の調査によると、大規模修繕1回あたりの1世帯の工事費用は約75~125万円程度。とはいえこの金額は平均金額となるため、マンションの規模や建物の状態によって上下するでしょう。そのため後ほど紹介しますが、国土交通省の「修繕積立金に関するガイドライン」をもとに適正な金額の修繕積立金を積み立てていくことが大切だと言われています。
残高の目安は「修繕積立金ガイドライン」が参考になる!
2011年に国土交通省が作成し、公開している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」には、修繕積立金に関する基本的な知識が掲載されています。
このガイドラインは、複数のマンションの長期修繕計画をもとに、建物の規模ごとに必要な修繕積立金の平均データが記載されています。
例えば、専有床面積1㎡当たりの修繕積立金の額については、建物全体の延べ床面積や階数に応じて以下の値を当てはめます。
【15階未満】
・5,000㎡未満:218円/㎡・月
・5,000〜10,000㎡:202円/㎡・月
・10,000㎡以上:178円/㎡・月
【20階以上】
・206円/㎡・月
ただこの目安は、2011年以前のマンションの状況をもとに算出されたデータです。劣化状況や付帯設備によって適正な金額は変わってくるため、残高を判断する際の参考値程度にとどめておくと良いでしょう。
なお、修繕積立金のガイドラインについては以下の記事でも詳しく解説しています。
修繕積立金の残高が少ない……どんなリスクがある?
では、修繕積立金の残高が少ないマンションにはどのようなリスクがあるのでしょうか? 以降で改めて整理してみました。
【リスク1】資産価値を維持できない恐れがある
修繕積立金の残高が少ないと、1回目の大規模修繕は実施できても、2回目以降は延期など見直しをせざるをえない状況になってしまいます。修繕が実施できないとなると、当然ですが建物の劣化を放置することになるため、資産価値は低下してしまうでしょう。
また中古マンション市場では、修繕積立金の残高が十分にあるかどうかが価格に影響することもあると言います。そのため建物の状態はまだまだ良くとも、修繕積立金の残高が少ないことで安く売却せざるを得ないこともあるのです。
資産価値を維持するために必要なお金だということを認識し、長期修繕計画や国土交通省のガイドラインをもとに適正な金額を積み立てていく必要があるでしょう。
【リスク2】一度に高額な修繕積立金を払わざるを得なくなる
修繕積立金は長期修繕計画をもとに、積み立て金額を決定します。しかし、計画通りに値上げできなかったり地震や災害などで想定を超えた修繕が必要になったりして残高が不足すると、大規模修繕時にまとめて高額な費用を負担せざるを得なくなってしまう可能性もあるでしょう。
一度に高額な修繕積立金を、全世帯から納めてもらえるとは限りません。そのため修繕積立金の残高が不足して結局、適切な大規模修繕が実施できず、建物の劣化が長年放置され、マンションがスラム化してしまった事例もあるようです。
長期修繕計画やガイドラインをもとに適正な金額の積み立てを!
修繕積立金の残高が少ないと計画通りに大規模修繕が実施できず、資産価値を維持しながら長く住み続けることも叶いません。そのため、まずは各マンションの劣化状況や長期修繕計画、さらには国土交通省のガイドラインなどを参考にしながら、修繕積立金の適正金額はどの程度か、目安の算出から始めたいところです。
自分たちでの算出は難しいという場合、設計事務所やコンサルティング会社などの専門家に建物調査を依頼し、適正な金額を教えてもらうといった方法も検討してみましょう。
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