マンション管理組合の理事は拒否できる? 選出方法や断り方を紹介
マンションの知事に選任されると、理事会での話し合いや管理業務を担います。
区分所有者であれば、だれでも理事になる可能性がありますが、仕事や家庭の事情から役員には選ばれたくない…という人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、理事を拒否することができるのかどうか解説。理事の選出方法や、拒否する場合の断り方も紹介します。
マンション管理組合の理事は拒否できる?
結論から言うと、マンションの理事になることは拒否できますが、あまりオススメはできません。
マンションの住民が協力し、運営・管理を行う「管理組合」は、区分所有者全員が組合員と定められています。理事を選任し理事会を開くことは、組合員の義務の一つです。正当な理由無く自分だけ理事を断ることは、マンションの住環境作りに協力的でないとされ、他の住民から反感を買う恐れがあります。
協力的な人にとっては、非協力的な住民に対して不公平感を感じることもあるでしょう。組合員全員でマンションの管理・運営をしていくのだという意識をもつことが大切です。
どうしても理事を引き受けられない場合には、他の住民の方に納得してもらえるような理由が求められるでしょう。
理事を拒否するとペナルティはあるの?
理事の就任を断ったとしても、法的な罰則はありません。ただし、理事を引き受けた人からしてみれば、不公平に感じることもあるでしょう。住民間の不平不満やトラブルになる可能性も考えておくべきです。
また、マンションによっては理事を拒否した人に対して負担金の支払いを求めるよう規約に定めているケースもあります。
理事を拒否すると、本来担うべき役割を別の誰かが担うことになるため、「協力金」という名称で支払う場合もあるようです。
とはいえ、お金を払えば断れるものだと考えてしまうのも一考。前述したとおり、住民全員で管理していくマンションですから、理事を断るのは正当な理由がある場合のみと考えましょう。
理事になったら報酬は貰える?
一般的なマンションの管理規約においては、理事の報酬の規定はありません。しかし、各管理組合で独自に報酬を規定することは可能です。
国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理組合があるマンションのうち理事に報酬を支払っているのは23.1%となっています。
同調査によると月額平均報酬は3,900 円程。理事間で報酬が一律でない場合、理事長が約 9,500 円、理事が約3,900 円、監事が約3,200円の月額平均報酬となっています。特に、古いマンションや戸数の少ないマンションでは報酬を支払っているケースが多いようです。
理事の報酬を定めているマンションは少ないと言えますが、なり手が少なかったり、辞退者が多かったりする場合には、不公平感を減らす措置として検討してみても良いかもしれません。
マンションの理事の選出方法
マンションの理事は、一般的には年に1回行われる総会の場で、区分所有者の賛同を得て任命されることになります。選任方法は「輪番制」と「立候補制」の主に二つです。
【決め方1】輪番制
輪番制とは、事前に組合員で順番を決めておき、持ち回りで理事を務める方法で、多くのマンションで採用されています。全ての組合員が理事となる可能性があり、公平に選出できる点がメリットです。
ただし、マンションの運営・管理業務に積極的ではない人が理事になると、理事会の活動が停滞してしまうという懸念があります。
【決め方2】立候補制
立候補制とは、役員になりたい人が自ら立候補する制度です。輪番制よりもマンションの管理・運営に前向きな人が選ばれる傾向にあります。住民からの信頼が厚い方が理事長になると、合意形成が容易に進みやすいといった点もメリットの一つです。
一方で、立候補制を取ると、毎年同じ人が理事を勤めることになりやすく、「ワンマン理事長」となってしまう懸念もあります。同じメンバーの意見が通りやすくなり、新しい意見が取り入れられにくい点はデメリットかもしれません。
ワンマンな活動にならないよう、任期ごとに理事を入れ替えるよう決めておくなどして工夫したいですね。
穏便に理事を拒否する方法
【断り方1】仕事を理由にする
仕事が忙しいという理由だけで理事を断るのは難しいと言えます。他の住民も同じように仕事をしている場合が多いためです。
月の半分以上は出張にでている、海外に赴任している、土日が出勤日である等、理事会に参加できない理由がある場合には、その理由を具体的に説明すると断れる可能性が高まります。
ただし、上記の理由があったとしても、引き受けられなくて当然という態度は反感を買う恐れがあります。
1年後や2年後には仕事の状況も変わっている可能性があるため、「また次の機会があれば喜んでお引き受けしますので、今回の順番は飛ばしていただけますか」といった伝え方をすると穏便に断れるでしょう。
【断り方2】健康面の問題を理由にする
健康面での問題を理由にするのも、理事を断る一つの方法です。自身や家族の通院、介護が必要とあれば、他の住民にも理解してもらいやすいといえます。
ただし、高齢だからという理由は少子高齢化の現在、他の住民にも言えることなので、正当な理由とは言いづらいかもしれません。年齢そのものよりも、足腰が悪く外出が難しい、耳や目が悪く議論に参加できないなど、具体的な症状があれば、穏便に断ることも可能です。
理事になったら責任を持って担当しよう
分譲マンションを購入した時点で、区分所有者は管理組合の組合員です。管理組合の活動はマンションの資産価値や区分所有者全員の共有財産を守るために重要な役割を果たします。理事への就任にかかわらず、マンションに住む当事者として、より住みやすい環境づくりは心がけたいですね。
ほとんどのマンションが輪番制で理事を選任していますから、遅かれ早かれ理事は回ってくるものと考えて良いでしょう。その場しのぎで拒否しても、住民から白い目で見られてしまう可能性もあるためオススメはできません。
また、反感を買いたくないために一度は引き受け、その後1〜2回だけ理事会に出席してから「やっぱり都合が付かずに出席できませんでした」というのは避けましょう。
他の理事の方の負担を増やすことにもなりますし、再び選任の場を設けなくてはいけない場合もあり、迷惑をかけることになります。順番が回ってきた際には快く引き受け、管理組合の代表者であるという責任を持って理事を勤めましょう。
理事就任はできるだけ断らない
マンションの理事への就任を拒否することは可能です。法的拘束力もなく、一般的にはペナルティ等もありません。
ただし、マンションによっては辞退にあたって負担金・協力金といった費用を徴収すると管理規約に定めているところもあります。輪番制で理事の選任を行っている場合には、理事を断ることで他の住民から不公平に思われる可能性を忘れてはいけません。
一方で、辞退せず理事を引き受けた場合には月額報酬を支払うと規定している管理組合もあります。
とはいえ、そもそも管理組合は、マンションの資産価値や共有財産を守るため住民同士が協力しあって管理・運営を行っていく母体です。仕事や健康上に問題がなければ責任を持って引き受け、よりよい住環境作りを支えるのが良いといえます。
イラスト:大野文彰
この連載について
【連載】理事会役員超入門
マンションだからといって、購入後の管理はすべて管理会社にお任せ!というわけにはいきません。ほとんどのマンションにおいて、理事会の選考は立候補制ではなく、メンバーが入れ替わる輪番制。つまり、居住者誰もが理事会を担当する可能性が。というわけで本連載では、理事会役員になったらまず、これだけは知っておきたい!という超入門知識をご紹介。しっかり知識を身につけて、より良いマンションライフを送りましょう!
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