騒音対策はどうしたらいい? 個人でできる方法から相談先まで解説!
マンション管理組合が知っておきたいトラブルの実例と解決方法
マンションでは騒音や無断駐車、管理費滞納などの問題が起きることがあります。またペット飼育やゴミ出しをめぐって、住民間でトラブルが発生することもあるでしょう。そんなとき管理組合の理事や役員は、どのような対処をしたらよいのでしょうか。今回はマンションでよく起きるトラブルの内容や解決方法について解説します。
マンションでよくあるトラブルと解決方法
騒音トラブル
平成30年度マンション総合調査によると、マンションで最も多いのが居住者間の生活マナーをめぐるトラブル。その中でも生活音に関するトラブルが最も多くなっています。
騒音には空気音と固体音の2種類があります。空気音は防音パネルなどで軽減できますが、床や壁の振動による固体音は軽減が難しいためトラブルにつながりやすいです。
空気音:人の会話、テレビの音、ペットの鳴き声、楽器の音など
固体音:足音、物を落とす音、給排水の音など
騒音トラブルは当事者同士の話し合いで解決することもありますが、お互いに感情的になり大きなトラブルへ発展してしまうケースもあります。本人が直接注意するのが難しい場合は、管理組合などの第三者が間に入るとよいでしょう。管理組合では、注意文を投函・掲示するなどの対策を行うのが一般的です。
無断駐車・駐輪トラブル
次に多いのが、マンション敷地内での無断駐車・駐輪トラブルです。駐車場ではない場所に車両が停まっていると、道路の見通しが悪くなって事故を誘発したり、ゴミ収集車や救急車が近寄れなかったりと、さまざまな問題につながります。
公道での違法駐車は警察にお任せできますが、マンション敷地内は私有地なので原則として警察が介入できません。そのため管理組合としては、車のワイパーに警告文を挟む、日時やナンバーの記録をとっておくなどの対応が一般的です。警告文を車両に直接テープやのりで貼ると、車両に傷や汚れがついて器物破損で訴えられる恐れがあるので気をつけましょう。
また無断駐車を予防するために、駐車されやすい場所にコーンを立てたり、監視カメラや看板を設置したりするのも有効です。無断駐車と来客を見分けやすくするため、手続きを踏んだ駐車場利用者に対して駐車許可証を発行するのもよいでしょう。
ペットの飼育トラブル
ペット飼育禁止のマンションで、無断でペット飼育をする住民がいる場合は、明らかなルール違反です。管理組合は管理規約や使用細則に基づき、注意文の投函や話し合いの場を設けるなどの対応をとりましょう。最終的な解決方法としては「飼っているペットを他に預けてもらう・一代限りの飼育を認める・飼育期限を決める」などの事例があります。
隠れてペットを飼う住民が多い場合は、ルールが現状とマッチしていない可能性も。その場合は住民にアンケートを取り、特例として条件付きで容認することで、トラブルが減った事例もあります。
またペット可・条件付きペット可のマンションでも、騒音や鳴き声、共用部分の臭いや汚れなどでトラブルに発展するケースがあります。その場合は「ペットクラブ」を組織するのも一つの手です。ペットクラブは、マンション内の飼い主のマナー向上を目指す活動や、ペットに関わる苦情の窓口となる組織で、通常理事会とは別で立ち上げられます。ペットクラブには飼育者全員が加入し、お互いの協力や情報共有で、他の住民へ迷惑をかけないよう対処してもらうと良いでしょう。
水漏れトラブル
マンションの配管から水漏れした場合、共用部分と専有部分のどちらに問題があったかによって、責任の所在が異なります。
共用部分の給排水管からの水漏れでどこかの住戸を汚してしまった場合、管理組合が責任を負うことになります。その際には管理組合で加入している賠償責任保険で対応しましょう。
専有部分の給排水管が老朽化していた場合や、入居者の不注意で水漏れを起こしてしまった場合は、その入居者個人の責任となるので、階下の住民への賠償などは専有個室の所有者の個人賠償責任保険などで階下への賠償を行ってもらいます。
尚、水漏れの発生箇所が共用部分でも専有部分であっても水漏れの原因調査を行うのは管理組合です。
ゴミ出しトラブル
マンションには多数の住民が住んでいるので「ゴミ出しの日時が守られない」「分別方法が間違っている」などのトラブルもよくあります。地域によっては細かい分別が求められており、ルール違反のゴミは収集車に回収してもらえないことも。ゴミが放置されたままになっていると、悪臭や野生動物に荒らされるなどの問題にもつながります。
管理組合がゴミ出しトラブルに関してできる対策は、掲示板でルールやマナーを周知することです。自治体のゴミ分別表やカレンダーを掲示したり、ルール違反の注意文を各十個に配布したりします。マンションによっては、日本語以外の掲示も検討されるとよいかもしれません。
また分別されていないゴミを管理人がコツコツと分別することで、だんだんとマナー違反が減ってくるケースもあります。不法投棄が頻発する場合は、防犯カメラや鍵付きのゴミ捨て場の導入も効果的です。
管理費・修繕積立金トラブル
マンション総合調査によると、管理費等の滞納が発生しているマンションは全体の約25%と少なくありません。マンションの築年数が古いほど、滞納は増えるという傾向もあります。これは築年数が経つほど修繕積立金が値上げされ、経済的な理由から払えなくなる人が増えるというのも理由の一つでしょう。
管理費等の滞納は数万円程度なので、つい1ヶ月くらいならと放置しがち。しかし滞納が続いて金額が大きくなるほど回収が難しくなるため、早めに対処することが重要です。事前に滞納者が出た時のルールを決めておき、督促の手紙を出す、弁護士に相談するなど迅速に対処しましょう。またマンション内のコミュニティを活性化させ、滞納させない雰囲気をつくることも大切です。
私物の放置トラブル
マンションの共用部分に、自転車や傘、ベビーカーなどの私物が放置されていることもあります。そのままではマンションの美観を損なうだけでなく、災害時の避難に支障をきたすこともあり危険です。
管理組合から本人に直接注意する場合は、大きなトラブルに発展しないようマンションの管理規約などを丁寧に説明するのがポイント。また口頭での注意が難しかったり、誰の私物かわからない場合は、注意文の掲示や配布を行います。このときマンションのルールとともに「◯月◯日までに撤去をお願いします」など、具体的な期限を書くと効果的です。
マンションで消防訓練をするときには、私物放置の危険性についても説明するとよいでしょう。
トラブル解決の第一歩はコミュニケーション
マンションでトラブルが起きた時、最初に行いたいのは話し合いです。本人に悪意がなく「管理規約の内容を知らなかっただけ」というケースも多く、トラブルを起こした住民に規約を丁寧に説明するだけで問題が解決することもあります。
またマンショントラブルは起きてから対処するだけでなく、予防も大切です。管理組合が住民の交流イベントを行うことで、居住者間のコミュニケーションがとれるようになり、トラブル自体が起きにくくなることもあるでしょう。
明らかな問題行為への管理組合の対処方法
トラブルがなかなか解決しない場合や、特定の住民に問題がある場合は、弁護士に相談しながら管理組合が何らかの対策をとることになります。
法的措置をとる前の最後の手段が、内容証明郵便による催告です。内容証明自体に法的拘束力はありませんが、今後の裁判などの証拠として効力を持つため、トラブルの相手に強い意志を示すことができます。
それでも改善されない場合は、支払督促や訴訟などの法的措置も視野に入ってくるでしょう。
まずは当事者間で話し合いをする
マンションでは騒音やゴミ出し、管理費等滞納などさまざまな種類のトラブルが発生することがあります。トラブルが起きたらまずは当事者間で話し合いを行ってもらい、解決しなければ理事が間に入るとよいでしょう。
トラブルの内容によっては、注意文の掲示・配布で解決する場合もあります。話し合いや注意で解決しない場合は、弁護士に相談しながら法的手段も検討します。