理事・管理

マンションの管理組合向け保険はなぜ必要? どんな種類がある?

2021.05.14
マンションの管理組合向け保険はなぜ必要? どんな種類がある?

マンションでは、火災や水漏れなどさまざまな損害のリスクがあります。被害が大きければ復旧費用の調達も難しくなるため、保険をうまく活用したいところ。そんなマンション向け保険の種類や問題点、契約時のポイントなどを解説していきます。

管理組合で保険への加入はなぜ必要?

エントランスなどの共用部分

マンションには、所有者全員で共有する「共用部分」があります。例えばエントランスホールや駐車場、エレベーターなどの部分です。こういった共用部分で火災や水漏れなどの事故が起きた場合、修復にかかる費用は管理組合の負担となります。

とくにマンションでの火災や事故は、被害が大きくなりがち。損害が多額になると、なかなか管理費や修繕積立金ではカバーしきれません。マンションの資産価値を安定させるためにも、火災保険を中心とした損害保険が必要となるのです。

管理組合向けの保険って何がある? 補償内容は?

管理組合でも、さまざまな事故を想定して保険に加入する必要があります。そこで主な保険の種類と補償内容をまとめてみました。

【保険1】火災保険

火災保険はその名の通り、マンションで火災が起きたときの損害を補償する保険です。専有部分は区分所有者が保険を掛けます。そのため、管理組合が手配するのは管理規約で定めた共用部分を対象とした火災保険です。

具体的な補償の範囲は建物本体のほか、エントランスや廊下、屋上、機械室など。保険会社によっては、ロビーに置いているソファなども含みます。

また基本補償として火災だけでなく、落雷・破裂・爆発・風災・雹災・雪災・水漏れ・破損などの損害が含まれる商品も多いです。

例えば以下のような事故の例が該当します。

・風で物が飛んできて窓が割れた
・落雷でインターホンが故障した
・雪の重みで駐輪場の屋根がゆがんだ
・共用部分の給排水管が破損して水浸しになった

どこまで基本補償に含まれるかは商品によって異なるので確認しましょう。なお台風や大雨による洪水、土砂崩れ、落石などの被害を補償する「水災」や、空調がショートするなどの「電気的・機械的事故」の損害補償は基本補償には含まれず、必要に応じて特約を付加します。

【保険2】地震保険

火災保険では、地震・噴火・津波などの損害は基本的にカバーできません。地震による建物の倒壊や、津波による浸水などのリスクに備えるには、地震保険にも加入する必要があります。

地震保険は単独で加入できず、火災保険とセットでの契約が必要。建物・家財とそれぞれ、火災保険金額の30~50%の範囲で保険金額を定めます。

地震保険は保険料が高いため、未加入という管理組合も少なくありません。しかし地震で被害を受けたマンションの再建・修繕費用は非常に高額になるため、国も地震保険への加入を推奨しています。

【保険3】施設賠償責任保険

施設賠償責任保険は、マンションの建物や施設に問題があって誰かにケガをさせたときや、誰かの物を壊したときの補償です。法律上の損害賠償金や訴訟費用などが保険金として支払われます。

例えば以下のようなケース。

・外壁タイルが剥がれ落ちて、下に停めていた車に当たった/通行人にケガをさせた
・エレベーター事故で住民にケガをさせた

施設賠償責任保険は、安い保険料で大きな補償が得られます。新しい建物であっても思いもよらない事故が起こる可能性もあるため、念のために加入しておくと安心です。

【保険4】個人賠償責任保険

個人賠償保険は区分所有者の責任で誰かにケガをさせたときや、誰かの物を壊してしまったときの損害賠償金などを補償します。自動車保険や生命保険の特約として居住者が個人で加入することも多いですが、住民分をまとめて管理組合で掛けることも可能です。

例えば以下のようなケースが、保険の対象となります。

・居住者の不注意で、階下や廊下が水浸しになった
・敷地内で子どもが遊んでいたボールが車に当たった
・ベランダに置いてあった物が落ちて通行人にケガをさせた

施設賠償責任保険と個人賠償責任保険は似ていますが、次のようにそれぞれ責任の所在が異なります。

・共用部分の排水管破損で住居が水浸しになった→施設賠償責任保険
・住居内の洗濯機のホースが外れて下階が水浸しになった→個人賠償責任保険

管理組合向け保険には問題点も……

管理組合向けの保険には、いくつか問題点も指摘されています。

【問題点1】管理会社が契約内容を決めるケースが多い

1つ目の問題点は、保険の比較検討が不十分で、割高な保険に加入しているケースが少なくないこと。保険料は管理組合が支払うものですが、多くのマンションでは管理会社が代わりに保険の内容を検討しているためにこういった問題が起きています。保険の更新時期がきても適切な見直しがされなければ、管理組合は無駄な保険料を支払い続けることになります。

【問題点2】保険料が値上がり傾向にある

2つ目の問題点は、保険料の値上がりです。全国的に大きな災害が続いており、保険会社が保険金を支払う件数が増えていることが影響しています。また管理組合向けの保険は築年数別料率なので、建物が古くなるほど保険料は高くなります。

保険料が値上げされると、管理費への負担は増加。無駄な出費を避けるためにも、定期的な保険の見直しが大切です。最近は保険会社独自の新商品も発売されているので、数社から見積りをとることでメリットの大きい保険に出会えることもあります。

保険の契約時に押さえておきたい4つのポイント

最後に、保険契約や見直しのときのポイントを紹介していきます。

【ポイント1】管理組合主体で保険内容を検討する

管理組合で保険の内容を検討

まずは管理組合が主体となって、火災保険の付保内容を検討しましょう。必要な特約がついているか、不要な特約がついていないかの確認も大切です。

例えばマンションでは給排水管の破損による水濡れ事故が多いので、個人賠償責任保険は重要度が高いといえます。とはいえ、各家庭で火災保険や自動車保険を特約として加入されているケースも多いので、もしかすると管理組合での補償は最低限に抑えても良いかもしれません。

水災補償は基本補償に含まれませんが、最近は豪雨も多発しています。国交省のハザードマップなどを確認して、特約を付加するべきか検討しましょう。火災保険だけでは地震や津波へのリスクヘッジはできないため、必要であれば地震保険もプラスします。

【ポイント2】付保割合で保険金額を調整する

支払う保険料を抑えたい場合、「付保割合」の見直しも効果的です。

火災などが起こったときに支払われる保険金額は「建築費単価×延床面積×共用部分の割合×付保割合」で求められます。「共用部分の割合」は保険会社によって異なりますが、50〜70%の間で設定します。例えば建物の再調達価額が10億円、共用部分の割合が60%であれば、管理組合が火災保険で掛ける最高金額は6億円です。

しかしマンションで火災が起きても全焼する可能性は低いため、満額で掛ける管理組合はほとんどありません。再調達価額に対してどのくらいの割合で保険をつけるかという「付保割合」を30~60%くらいの間で設定するのが一般的です。

(例)共用部分の評価額が6億円の場合
・付保割合30%→保険金の上限は1.8億円
・付保割合60%→保険金の上限は3.6億円

万が一のときにもらえる保険金の上限は少なくなりますが、管理組合が支払う保険料の負担も軽減される仕組み。ただ、付保割合を60%にすれば保険料も60%になるというものではありません。付保割合を下げすぎると今度は逆に保険料が割高になることもあるため、支払える保険料と求める補償額のバランスを見て決めましょう。

【ポイント3】火災保険の範囲が正しいかを確認

管理組合が加入する火災保険では、マンション本体だけでなく敷地内の付属建物や設備も対象となります。フェンスや給排水設備、該当設備、駐車場など、建物に直接付随していない設備も保険の対象に含まれているか、契約前に確認しておきましょう。

【ポイント4】保険料の割引制度をチェック!

契約前には、適用できる保険料の割引制度がないかも確認したほうが良いでしょう。例えば地震保険には割引制度があり、耐震等級や免震性能などに応じて割引が受けられます。

ほかにも保険会社によっては、水濡れ原因調査費用など一定の保証を対象外とする「不担保特約」をつけることで保険料を軽減できることも。1年ごとに更新していくよりも、5年一括払いなどの長期契約の方が保険料が割安になります。

保険の見直しがコスト削減につながる!

管理組合向けの保険は、火災などの事故があったときスムーズな復旧工事に移行するために必要です。火災保険が主契約で、地震保険や賠償責任保険などを必要に応じてプラスします。付保する保険が多くなるほど、保険料の負担も大きくなるため、定期的に契約内容を見直しましょう。

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