連載:理事会役員超入門

マンション管理組合における会計監査とは?チェックポイントを紹介!

2022.01.27
マンション管理組合における会計監査とは?チェックポイントを紹介!

マンション管理組合の会計監査は、監事の仕事の1つです。収支報告書などの書類に基づいて、管理組合の予算管理や財政状況を確認します。

しかし監事は区分所有者から選ばれるため、監査の知識がなかったり、監査業務への責任を負うことが困難な場合も。監事による監査が難しい時は、外部専門家への依頼も検討してみてください。

マンション管理組合における会計監査とは?

会計監査は監事の役割

会計監査は、マンション管理組合の役員である「監事」の仕事の1つです。監事は重要書類に基づいて予算管理行為が適切かつ効率よく実施されたか、管理組合の財産状況はどうなっているかを確認します。一般的に会計監査が行われるのは、決算月後〜次の通常総会の開催通知が発信されるまでの期間です。

とはいえ、区分所有者から選ばれた監事が監査に必要な知識を持っているとは限りません。そのため、公認会計士などの外部に会計監査を依頼するケースもあります。

マンション会計監査の実態

国土交通省の調査によると、会計監査は95%以上のマンションで監事によって実施されています。

会計士等による外部監査は、費用負担が大きいことと、専門家による監査の仕組み自体が知られていないためにあまり行われていません。

マンションの管理組合とはいえ、タワーマンションのような大規模マンションは取り扱う金額が数億円におよぶこともあります。くじ引きや輪番制で選ばれることの多い監事が監査をするには、非常に金額が大きく責任が重すぎるでしょう。また、監査の知識がない区分所有者が監事になることも多く、会計監査の実態としては、会計書類に目を通すだけの管理組合が多いのではないでしょうか。

マンション会計監査での確認資料

監査で確認する資料をご紹介

【確認資料1】収支報告書

収支報告書は、当会計年度内に発生したすべての収入と支出の内容を明らかにし、資金収支差額と資金残高を算出する計算書のことです。マンション管理組合の会計は営利目的ではないため、「損益計算書」は必要ありません。

収支報告書は毎月報告する月次収支報告書、1年間の会計を報告する年次決算報告書の2種類が存在します。

【確認資料2】貸借対照表

貸借対照表は、会計年度末の財産状況を示す表です。「負債・正味財産の部」を表の右側に、「資産の部」を左側に記載します。この左右の合計金額が一致することから、バランスシートとも呼ばれます。貸借対照表は収支報告書と同様に重要な財務関係書類です。

【確認資料3】財産目録

財産目録は、年度末時点での全ての資産および負債の内訳を明記したものです。区分所有法には、「管理組合法人は設立の時及び、毎年1月から3月までの間に財産目録を作成しなければならない」と定められています。財産目録を作成しなかった場合、または財産目録に不正の記載や記録をしたときは20万円以下の過料になります。

マンション会計監査のチェックポイント

マンション会計監査のチェックポイントは、主に以下の3つがあります。

①残高証明書による残高確認だけではなく、預貯金の通帳コピーと総勘定元帳の預貯金の動きが一致していることをチェックする
②「予算資料上」の費用支出内容と「決算資料上」の費用支出内容を比較する
③前期と当期の資産計上額を比べて、資産の増加が無いか確認する

マンション管理業協会が、マンション会計監査のためのチェックリストを公開していますので、こちらも参考にしてみてください。

監事による会計監査が難しいときの対処法

【対処法1】管理会社に頼る

管理会社によっては監査のための手引きが用意されていることがあります。ボリュームや精度は管理会社によって異なりますが、もし参考にすることができれば役に立つでしょう。会計監査に行き詰まった際は、管理会社に手引きの有無を確認するとよいかもしれません。

【対処法2】外部専門家に依頼する

専門家に委託する方法もある

2つ目の対処法としては、専門家に依頼することが考えられます。依頼するケースは2つあります。

1つ目はそれまで区分所有者が行っていた監事の仕事を、専門家が管理組合の役員である監事に就任し、引き継ぐケース。

2つ目は、専門家が監事に就任することなく、監事に代わって中立な立場で監査業務を行うケースです。いずれにせよコストが発生するので、自身のマンション規模と収支状況を見て判断が必要です。

会計監査でマンションの財政状況を確認しよう

会計監査では「収支報告書」「貸借対照表」「財産目録」の3つを確認します。特に重要な手順は、区分所有者から集めた現預金が資料と通帳上で一致しているかどうかを確認することです。監事に専門知識がなく会計監査が難しいときは、管理会社に相談したり外部専門家に依頼することもできます。

管理費は区分所有者から集めた大切なお金。正しく監査を行い、管理組合を健全に運営していきましょう。

イラスト:大野文彰

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