オートロックで防犯性能と資産価値をアップ! 方式の種類も解説
マンションの防犯機能を向上させる設備の一つに、「オートロック」があります。
オートロックを物件選びの必須条件に挙げる人は多く、マンションが人気物件となるためには必要不可欠な機能です。
この記事ではオートロックの方式や、設置する上でのメリット・デメリット、マンションへの後付け設置について解説していきます。
オートロックで不審者の侵入を防止できる
オートロックは、多くのマンションでエントランスのドアに導入されている、防犯対策のための機能です。
国土交通省住宅局が発表した「平成25年住生活総合調査結果」での用語解説では、「建物内に共用玄関のドアがあり、外からドアを開けるためには、鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要があるもの」をオートロックと定義しています。
オートロック機能を持たないマンションでは、部外者であっても容易に共用部分へ立ち入ることが可能です。不審者やセールスマンが自由自在に出入りできてしまうため、オートロックマンションと比較すると、空き巣などの犯罪被害に遭ったり、ポストに不要なチラシを投函されてしまったりする可能性が高い可能性があります。
そのため、オートロックの有無は物件選びをする際に多くの人がチェックするポイントとなっており、必須条件としている人も少なくありません。
防犯性能アップで資産価値向上の効果にも期待
オートロックを導入する最大のメリットは、セキュリティー性能の向上です。前述の通り、オートロックがあれば部外者の侵入リスクを下げられるため、空き巣などの犯罪行為の防止に効果を発揮すると考えられます。
オートロック機能があるマンションは、そうでないマンションと比較した際に、「セキュリティ性能が高い」という評価を受けやすい傾向にあるため、オートロックによって資産価値の評価を高める効果にも期待できるでしょう。
2000年台前半以降は、新しく建てられるマンションの6割以上にオートロック機能が備えられており、今後もますます普及が進んでいくと考えられます。
安心感からくる気の緩みには要注意
人気の高いオートロックですが、設置するデメリットもあります。
最も大きなデメリットは、メンテナンスが必要となる点です。オートロックを正常かつ安全に利用し続けるためには、定期的なメンテナンスを実施しなければなりません。そのため、オートロック付きマンションではメンテナンス費用が発生するため、その金額分、管理費や修繕積立金が高くなります。
また、マンションによっては、新聞を玄関ポストまで届けてもらえないというデメリットがある場合も。オートロック付きマンションでは、新聞はエントランスの郵便受けに届けるというルールを定めているところが多く、新聞を取っている人はエントランスまで取りに行かなければなりません。
それ以外には、安心感から住民の防犯意識が低下してしまう可能性も考えられます。「エントランスにオートロックがあるから安心」という気持ちで、住戸の施錠を忘れて出かけてしまう人もいるようです。
基本的に部外者はエントランスを通れませんが、住民が出入りする時のドアが開いたタイミングで忍び込んだり、鍵を複製したりといった、不正な方法で侵入されてしまうリスクも考えられます。このように、部外者であっても建物内への侵入が不可能というわけではないので、オートロック付きマンションでも各住戸の戸締まりは注意しなければなりせん。
オートロックには複数の方式がある
一口にオートロックと言っても、鍵の方式はさまざまです。ここからはオートロックの種類について解説していきます。
集合キー
各住戸の玄関ドアの鍵で、エントランスのロックも解錠できるタイプを集合キー方式と呼びます。集合キーは、最も多くのマンションで採用されているオートロック方式です。
1本の鍵がエントランスと住戸を兼ねるため、複数の鍵を持ち歩かなくても良いという点がメリットと言えます。
ただし、鍵のつくりが簡易になりがちで、複製が比較的容易だという点には要注意。オートロック方式のなかでは、比較的侵入されやすい方式だと言えるでしょう。
マンションによっては、集合キー方式であっても、エントランス用と住戸用それぞれ異なる2本の鍵を準備するところもあります。
暗証番号
暗証番号を入力して、ドアのロックを解除する方式です。
エントランス外側のドアの側に設置されているパネルを操作して、決められた数字を入力するタイプが一般的ですが、それ以外にもドアに番号入力用のボタンが直接設置されたテンキー錠タイプもあります。
解錠用の鍵を持ち歩く必要がないため、紛失や複製をされるリスクがない点がメリットといえるでしょう。
ただし、暗証番号を入力しているところを第三者に盗み見られてしまうなどして、暗証番号が漏洩してしまう可能性があります。セキュリティ機能を高めるためには、定期的に暗証番号を変更するなどの対策が有効です。
カードキー
カードキーで鍵を開けるタイプも、多くのマンションで採用されている方式です。
カードキーには大きく分けて2つの種類があります。一つ目は「磁気カード式」で、カードの磁気部分をカードリーダーに読み取らせて解錠する方式です。
二つ目は「非接触ICカード式」。SuicaやPASMOなどと同じタイプで、カードをセンサーにかざして、埋め込まれているICチップを読み取らせてロックを解除します。
どちらのタイプも、財布に入れて持ち運べるという手軽さはメリットと言えるでしょう。一方で、その形状から他のカードに紛れやすいという側面もあり、紛失リスクが高いという声もあります。
遠隔操作
遠隔操作でオートロックを解除する方法です。この方式では、エントランスのドアに受信装置が設置されており、そこへ向けて専用のリモコンで解錠操作を行います。
近年では「スマートロック」と呼ばれる、スマートフォンのアプリで鍵の施錠管理を行えるシステムも出てきました。
スマートロックアプリを使用すれば、外出中でも鍵の施錠の確認を行えます。また、本人が家にいない時に、家族、友人などに家に上がってもらうために鍵を開ける、といった遠隔操作ならではの使用方法も可能です。
利便性が高く、利用者が増加傾向にあるスマートロックですが、スマートフォンが使用できなければ鍵を開けられないので、バッテリー状況に注意しなければなりません。
指紋認証
スマートフォンなどにも採用されている、指紋でロックを解除する方式です。エントランスに設置された、専用リーダーに指紋を読み取らせて解錠します。
人はそれぞれ特有の指紋を持っており、他人の指紋と特徴が一致することはほとんどありません。指紋は複製の難易度が非常に高いため、不正に解錠されるリスクが非常に低い方式です。
さらに、物理的に鍵を持ち歩く必要がなく、紛失するリスクもありません。
セキュリティー性能と利便性の高さから、メリットが大きい方式と言えますが、導入コストが高額であるため、まだ一部のマンションでしか採用されていないのが現状です。
後付けできる! オートロックの設置費用
現在住んでいるマンションにオートロックが付いていなくても、諦める必要はありません。オートロック機能は後付けで設置が可能です。ネットで検索すれば、後付け工事に対応している業者がすぐに見つかるでしょう。
「そもそもエントランスドアがない」というマンションの場合は、ドアの新設対応も可能です。
設置にかかる費用は、1戸当たり15万円が目安とされています。しかし、業者やオートロックの方式によって、目安金額よりも高額になる可能性があるという点は覚えておきましょう。
オートロックの後付けを検討してみよう
マンションにおけるオートロック機能は、年々普及が進んでいます。
防犯性能の向上だけでなく、資産価値の上昇にも期待ができるため、マンションにオートロック機能があれば、新規入居者獲得にも貢献してくれるかもしれません。
お住まいのマンションにオートロック機能がなければ、後付け工事の実施を管理組合で検討してみてはいかがでしょうか。
イラスト:大野文彰
この連載について
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マンションだからといって、購入後の管理はすべて管理会社にお任せ!というわけにはいきません。ほとんどのマンションにおいて、理事会の選考は立候補制ではなく、メンバーが入れ替わる輪番制。つまり、居住者誰もが理事会を担当する可能性が。というわけで本連載では、理事会役員になったらまず、これだけは知っておきたい!という超入門知識をご紹介。しっかり知識を身につけて、より良いマンションライフを送りましょう!
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