マンションの大規模修繕の内容は?
大規模修繕工事で行う工事内容を詳しく解説!
マンションの区分所有者であれば、必ず関わることになる大規模修繕。
聞いたことはあるけれど、実際にどんなことをするのかわからない。居住者の生活にはどんな影響があるのだろう?
そう考えているあなたのために、大規模修繕の「何のために行う?」「どんな工事をする?」を解説します。
大規模修繕はなぜ必要?
大規模修繕とは、建物の経年劣化や不具合が生じた箇所を、建築当初の水準まで回復させる工事のことを指します。
建物は風雨や強い日差しに晒されるため、劣化を避けることはできません。定期的に点検を行い、不具合や異常の早期発見を心がけることが重要です。トラブルに早く対処することにより、建物の寿命を守ること、そして居住者の安全と快適な住み心地を守ることに繋がります。
一般的には、10年〜12年ごとに工事を行うマンションが多いようです。
大規模修繕の工事内容
大規模修繕工事の内容は、「外装」「共有部」「付随」の3つに分けられます。
「外装」は外壁の補修や屋上の防水、シーリング打ち替えなどを行う工事です。
「共有部」はエレベーターや廊下の補修のほか、ベランダやバルコニーの防水工事など。
「付随」は工事のための足場設置、作業員が使用する仮設トイレの設置や現場事務所の設置などを行います。
これらすべての工事が、すべてのマンションで必ず必要になるわけではありません。対象のマンションに必要な工事を劣化診断で調査し、実施する工事内容を検討する必要があります。
次の項目から、工事内容を詳しく見ていきましょう。
建物の外装工事
建物の外装とは、マンション外壁に使われているタイルやコンクリートなどを指します。外装部は太陽光や風雨に晒されるため劣化しやすい箇所であり、大規模修繕の中では最初期に行われる工事です。
外装工事には5つの工事項目があります。
【外装1】外壁補修工事
外壁に付く排気ガスのすすやカビ、コケなどの汚れや異物を高圧洗浄機で除去し、傷やひび割れを補修します。
タイルが浮いている場合は接着剤で埋める作業を行い、剥がれてしまっている箇所は新しいタイルに張り替えます。
【外装2】屋上の防水工事
マンションの屋上は、雨や雪によって水がしみ込まないように防水処理が施されています。しかし、屋上は紫外線や砂などの飛来物により、設備の耐久性が低下しやすい場所です。そのため、屋上防水工事による防水機能の回復が必要になります。
屋上に防水層を作る主な工法は、ウレタン防水・アスファルト防水・シート防水・FRP防水の4種があり、それぞれ耐用年数や費用が異なるため、工事計画時に決めておくことが重要です。
【外装3】外装の塗り替え工事
劣化してしまった外壁の塗膜を除去し、新たに外壁塗装を施します。
塗り替え工事で使われる塗料は、ウレタン塗料・シリコン塗料・フッ素塗料などがあります。それぞれ耐用年数や費用が違うほか、防カビなどの機能付きのものがあるので、条件を踏まえて選択しましょう。
【外装4】シーリングの打ち替え工事
シーリングは外壁のタイルの目地に充填されており、風雨や害虫のタイル下地への侵入を防ぐ役割を担っています。
劣化によって細くなったり、ひび割れたりすることがあるので、定期的な交換が必要です。古いシーリングをカッターで切り出し、新たなシーリングを充填することを打ち替え工事と言います。
【外装5】サッシの改修工事
建物の断熱性能を高めるために行われる工事です。具体的には、単層ガラスのサッシを複層ガラスに交換したり、アルミサッシを樹脂サッシに交換したりといったことを行います。
サッシの交換にはガラスのみを交換する方法とサッシの枠ごと交換する方法があります。
マンションの共用部分の工事
分譲マンションには、住戸部分である「専有部分」と、居住者が共同で使用する「共用部分」があります。大規模修繕では廊下や手すり、階段、駐車場、エレベーター、配管、各住戸のバルコニーやベランダといった共用部分の修繕も行います。
実際にどのような作業を行われるのか見ていきましょう。
【共用部分1】廊下の補修工事
床や壁の剥がれ、カビ、漏水の状況などを把握し、シートの張り替えや再塗装、パテの充填、ひび割れの処置を行います。
【共用部分2】玄関扉の補修工事
各住戸の玄関扉は、部屋側の面は室内に属するため専有部分、廊下側は建物の美観に含まれるため共用部分という特殊な扱いをされます。
補修工事では玄関扉の交換、傷の補修、廊下側の塗装、鍵の一斉交換を行います。玄関扉の枠の交換では、新規の枠を付ける方法と、既存の枠に新しい枠をかぶせる工法の2パターンがあります。
【共用部分3】鉄部の再塗装工事
マンションには、階段やバルコニーの手すり、シャッター、電気メーターや放水口格納箱、エレベーター扉と枠、消火栓ボックスなど多くの鉄部があります。
鉄部はサビで老朽化しやすい部分です。そのため、5年に1度はサビや汚れを落とし、表面を保護するために再塗装を行います。
【共用部分4】給排水管設備の交換工事
給排水管設備も、劣化がみられる場合には交換が必要です。設備が劣化すると、漏水や詰まりの原因となるので、約15〜20年に1度、交換や点検を実施することが推奨されています。
大規模修繕の度に必ず行うべき作業ではありませんが、排水トラブルを避けるためにも注意が必要な箇所です。
【共用部分5】エレベーターの改修工事
エレベーターも改修工事が必要です。制御盤やボタンといった部材交換や、カゴ内部のリフォームのほか、一基まるごとの交換をする場合もあります。
エレベーターの計画耐用年数は25年とされているため、20年を超えたあたりから交換を検討します。交換の場合は高額な費用がかかります。
【共用部分6】ベランダ・バルコニーの防水工事
漏水・サビ・カビからベランダを守るために行う作業が、防水塗装工事です。
工事の際は、洗濯物をベランダに干せなくなることや、エアコン室外機の一時撤去を求められる場合があります。
居住者への影響が大きい工事となりますので、事前に住民へ向けた説明会を開催して、しっかりと説明を行いましょう。
外装・共用部分に付随する工事
「付随」は外装・共用部分の修繕を行うために、事前準備として行う工事のこと。安全で効率的な工事に欠かせない工程です。
【付随1】足場設置工事
外壁の塗り替えやベランダ・バルコニーの防水工事といった高所作業用に、足場を設置します。
10階未満のマンションでは、多くの場合、足場を組む作業に約2週間かかるとされています。
タワーマンションなどの高層階まであるマンションでは、風による影響が強く、足場が使えないため、高所からゴンドラを吊して作業することが一般的です。
【付随2】仮設工事
作業員が工事現場で働きやすくなるように、工事事務所・詰所、資材置き場、倉庫、仮設トイレなどを設置します。
この作業を仮設工事と言い、作業を進めていくうえで欠かすことができないものです。
大規模修繕で建物と住み心地を守ろう
大規模修繕は、建物の寿命を伸ばすと同時に、居住者が安全かつ快適に長く住み続けるために必要なものです。
工事項目は、大きく「外装」「共用部分」「付随」の3つに分けられ、それぞれの項目にはさまざまな作業が含まれます。
必ずしも毎回の大規模修繕で全ての作業を行わなければならないわけではありません。事前にしっかりと調査を行い、必要な工事内容を検討しておくことが重要です。
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