大規模修繕

マンションの第三者検査とは? 検査内容や費用、メリットを解説

2023.12.01
マンションの第三者検査とは? 検査内容や費用、メリットを解説

マンションを購入した後で、思わぬ不具合が見つかり修繕費用が必要になったとして、売買トラブルにつながるケースは少なくありません。

トラブルを避け、安心して取引するために有効なのが住宅診断士による第三者検査です。

この記事では

・第三者検査(ホームインスペクション)とは
・検査内容や費用
・検査を受けるメリットやデメリット

についてわかりやすく解説します。

マンションの第三者検査とは

住宅診断士が第三者的視点から実施する調査がマンションの第三者検査

マンションの第三者検査とは、住宅に精通した住宅診断士が第三者的視点から実施する調査です。住宅診断士は建物の劣化状況や不具合の有無を確認し、適切なアドバイスを与えます。

住宅診断は、一般的に「ホームインスペクション」とも呼ばれます。第三者検査を受ければ、補修や改装が必要かどうか、必要な場合は作業にかかるおおよその金額がいくらか、その把握が可能です。

この記事では、第三者検査(ホームインスペクション)のメリットデメリット、受けるときの注意点について解説します。

マンションの第三者検査の検査・診断内容

専有部分も診断の対象に含まれる

マンションの診断は「専有部分」と「共有部分」の2つに分けて実施されます。

専有部分は壁や床、天井などの基本部分のほかに、給排水管や給湯器といった細部までチェックします。

共有部分は外壁、屋根、外構、バルコニー、床面や階段などを確認します。損傷だけでなく、雨漏りや湿気によってカビが発生していないかなども確認対象です。

住宅診断士は、すべての項目をチェックし終えたら「ホームインスペクション報告書」と呼ばれるレポートを作成します。

マンションの第三者検査の費用

マンションの健康状態を把握するために必要な第三者検査ですが、費用はどのくらいかかるのでしょうか。

一般的に、中古マンションの建物状況調査の費用相場は、ひと物件あたり約4万5000円から7万円ほどです。新築マンションの内覧会同行の場合は4万円から9万円ほどと考えておくとよいでしょう。

調査費用は依頼する調査会社によって異なり、オプションを追加する場合はさらに費用がかかるケースもあります。補助金を利用できる自治体制度もあるので、第三者検査の実施を検討している場合は、事前に調べておくとコストを抑えられるかもしれません。

マンションの第三者検査を実施するメリット

売主、買主それぞれの目線で第三者検査を実施するメリットを見ていきましょう。

(1)物件が売れやすくなる

検査済み物件の方が購入者は安心できる

第三者検査を受けておけば、所有者はマンションを「インスペクション済み」物件として売却できます。購入者の心理を考えれば、適切に調査された物件のほうが売れやすいのは明確です。

なかには、購入の条件としてインスペクションの実施を申し入れる買主もいます。また、国土交通省の調査では、既存物件を購入しなかった理由として「設備の老朽化が不安だった」「耐震性に不安がある」などがあげられています。

事前に診断を受けておけば、建物の状況や価格の適性度が判断できるため、スピーディーな売却が可能です。

(2)既存住宅瑕疵保険に加入できる

第三者検査を受けた物件は、既存住宅瑕疵保険に加入できるのもメリットの1つです。瑕疵(かし)とは一般的に「欠陥」を意味し、住宅の場合は土地や建物に何らかの不具合や欠陥がある状態を指します。例えば、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分が欠陥している建物は瑕疵があるといえます。

なお、住宅瑕疵保険に加入するにはホームインスペクションが必須です。売却後に発見された瑕疵に対する補修費用を保険料でまかなえるため、保険加入済みの物件は買主が安心して購入できます。

(3)購入後のトラブルを防げる

物件の売買成立後に瑕疵が発覚し、トラブルにつながる事例は多いです。想定外の不具合があった場合、買主が債務不履行で売主の責任を追及してもおかしくありません。

一方で、あらかじめ第三者検査によって老朽箇所や劣化状況を明らかにしておけば、買主の理解を得たうえでの売買契約となります。売主だけが責任を問われる事態にはなりづらく、売却後に修繕要求などのクレームを受けるリスクを抑えられます。

第三者検査のデメリット

買主、売主双方にとって安心材料となる第三者検査ですが、デメリットも把握しておきましょう。

第三者検査のおもなデメリットは以下の通りです。

・費用がかかる
・決められた調査範囲のみの調査である
・すべての瑕疵が発見できる保証はない

前述したように検査費用の相場は数万円ほどで、詳しい調査をする場合は10万円を超えるケースもあります。不具合が見つかった場合は修繕のための費用や時間も必要です。

また、調査範囲は決まっており隅々まで調査できるわけではありません。ホームインスペクション済みの物件であっても、瑕疵が見つかる可能性はあり、すべての売買トラブルを防ぐのは不可能です。

第三者検査の注意点

第三者検査は買主、売主双方にとって安心材料のひとつとなりますが、必ずしもプラス要素になるとは限りません。

調査の結果、大がかりな修繕が必要になった場合は、費用負担が発生したり売却価格の値引き交渉をされたりする可能性があります。

また、一般的には調査結果が報告されるまでに1〜2週間かかります。「報告を受けるまでの期間は他者と取引ができない」といった条件を買主が要望して実施する調査の場合は、売主にとっては機会損失になる点も注意が必要です。

反対に、そのような取り決めがない場合は、調査結果が出る前に物件を売却できます。トラブル防止のためにも買主・売主双方が調査条件を理解、同意しておく必要があります。

第三者検査で売買トラブルのリスクを下げよう

第三者検査によって、建物の状況を客観的に把握できるため、適正価格でのスムーズな売却が期待できます。

一方で、検査の結果、思った以上に修繕費用がかかったり、建物の価格が下がってしまうケースもあります。修繕の必要がなくとも検査には一般的に数万円程度の費用がかかり、詳しく検査するためには10万円以上かかるケースも。

なお、調査の範囲は決まっており、すべての瑕疵を発見できる保証はありません。必ずしも売主にとってプラスになるとは言い切れませんが、第三者の評価があるというだけで売買トラブルを避ける効果は期待できます。

買主・売主双方が少しでも安心して取引を進められるよう、第三者検査による診断を検討してみてはいかがでしょうか。

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