連載:マンション管理最前線

永く住み続けながら資産価値を保つ! 「勝ち組」マンションになる方法とは?(前編)

2021.02.10
永く住み続けながら資産価値を保つ! 「勝ち組」マンションになる方法とは?(前編)

住宅の過剰供給などを背景に、空き家の増加が社会問題となっている現在。2019年に公表された住宅・土地統計調査によると、空き家件数は過去最高の846万戸になりました。

マンションにおいても、資産価値が大きく下落し、買い手が見つからずに空き家になることはどうしても避けたい。では、空き家となるリスクを回避し、資産価値を維持し続けるためにはどうすれば良いのか。

不動産コンサルタントで、ホームインスペクション(住宅診断)の実績豊富なさくら事務所の会長・長嶋修さんに聞きました。

今後空き家の深刻化が予想されるのはとくに「郊外」

誰にも使用されていない空き家が社会問題となるなか、2015年に施行された「空き家対策特別措置法」によって、自治体は所有者に修繕や撤去の指導・勧告・命令を行うことができるようになりました。しかし、マンションのような集合住宅は建物すべてが空室で老朽化が進んでいない限り取り壊しができず、空家対策特別措置法の対象外。そのため、建て替えもできないまま、放置されている古いマンションも多いそうです。

長嶋さんによると、とくに郊外を中心に空室の多いマンションが増加しているようです。

「都心部であれば駅から近くて交通手段の選択肢も多く、商業も発達しているため、利便性の良さから売却や相続がしやすいです。一方で郊外のマンションは、空き家になっても売れにくい。そのため、空室がますます増加してしまいます。こうなると、管理費や修繕積立金を納める住人もいなくなるため修繕もままならなくなる。そして建物の老朽化が深刻化し、さらに売れなくなるという悪循環に陥ってしまうのです」

都心部のマンションは、ニーズの高さから空室になっても買い手が見つけやすい。しかし郊外のマンションは駅から比較的遠くに位置することも多く、共働き世帯にとっては通勤に不便。さらに若い世代は、空間の広さよりも通勤時間の短縮といった時間を優先する方も多く、利便性の高い都心のマンションを重視する傾向にあるといえます。

「新築持ち家信仰」が空き家問題の原因!?

空き家が増加する背景には、ほかの先進国に比べて日本は新築住宅の供給件数が圧倒的に多いことが、理由の1つにあるようです。

「戦前の持ち家率を見てみると地方のほうが高く、東京などの大都市部では低かったんです。しかし、高度経済成長期に入ると、田舎から東京や神奈川、大阪といった大都市部に仕事を求めて人が集まるようになりました。すると、都市部で住宅が不足。住宅が足りない問題を解消しようと、国では新築をどれだけ建てるかという目標を定め、各事業者に建物の供給を促すようになりました。こうした背景から、1960年代後半から新築マンションの量産化がスタート。『夢のマイホーム』というコピーがあるように、『家を購入するなら新築』という常識も浸透していきました」

長嶋

※写真提供:さくら事務所

「戦前の持ち家率を見てみると地方のほうが高く、東京などの大都市部では低かったんです。しかし、高度経済成長期に入ると、田舎から東京や神奈川、大阪といった大都市部に仕事を求めて人が集まるようになりました。すると、都市部で住宅が不足。住宅が足りない問題を解消しようと、国では新築をどれだけ建てるかという目標を定め、各事業者に建物の供給を促すようになりました。こうした背景から、1960年代後半から新築マンションの量産化がスタート。『夢のマイホーム』というコピーがあるように、『家を購入するなら新築』という常識も浸透していきました」

さらに当時は新しく建てられるたびに、構造の安定や防水性能の向上といった住宅の性能が上がることも、新築の購入を促したようです。

「当時の購入者は、新築ほど性能が良いという前提があったため、中古住宅に目を向ける人はあまりいませんでした。将来的な売却を考えて、定期的に修繕を行いながら資産価値を保つという考えもなかったわけですね」

しかし2008年の1億2808万人という人口をピークに、世帯数は減少。増加する新築住宅とは逆に人口は減り始め、これまでの過剰供給の反動から空き家が目立つようになりました。そのため、国は新築住宅の供給件数に関する目標を廃止したのです。

「しかし税制優遇措置は依然として新築住宅に偏っており、中古住宅を買う税制上のメリットは少ない状況。新築住宅の購入を国が後押しする限り、中古物件の流通は活性化しません」

その結果、今あるマンション資産の活用が促されず、ますます空き家が増えていく可能性があるといいます。

空き家問題への対策とは?

国土交通省は、昭和58年の区分所有法改正以前に新築された建物のうち、6戸以上のマンションについては、5年以内ごとに管理状況を届け出ることが必要だと定めています。しかし現状、自治体に届出を行なわずとも罰則はありません。空き家問題が心配される古いマンションほど、国土交通省のアナウンスを知らない状況にあるといえます。

「そのため海外のように届出を行わないと罰則を設けるなど、ある程度、強制力を持つ改革が必要だといえます。届出が義務化され、行政が積極的に助言や指導を行える環境になれば、買って終わりではなく『管理』にも目が向くようになる。そして修繕の行き届いたマンションが増えてくると、自ずと中古住宅の流通も活性化するのではないでしょうか」

とはいえ、立地が重要視される不動産において、郊外のマンションはやはり不利な状況にあるかもしれません。

では郊外のマンションでも、購入希望者に選んでもらう方法は何か。

長嶋さんは「立地に多少の難があっても、このマンションを好きだと思える要素があるかどうかが大事」だと話します。

「思いつく条件だと、例えばペットを歓迎していたり、階段や廊下などのバリアフリー化が行き届いていたりなど。また、住民同士の交流が盛んであったり、子供から大人まで参加できるようなイベントを定期的に開催していたりなどもあげられますね。そのほかにも保育園や学校、または自然が近くて子育てがしやすい環境など、そのマンション独自のニーズがあれば資産価値の大きな下落は避けられるかもしれません」

長嶋

※写真提供:さくら事務所

郊外のマンションは交通環境が不便であることから、あえてそこに住む必要性を感じてもらえるかが大切だといいます。ただ、長嶋さんが話すようにペットの飼育や高齢者にとって住みやすい環境を整えるためにも、資金は必要です。とくに高額になりがちな大規模修繕の費用をいかに抑えるかが鍵を握ります。

そんな修繕費用を削減する手段の一つが「インスペクション」と呼ばれる、住宅の健康診断です。後編では、資産価値を維持するために欠かせない要素とも言われる、このインスペクションについて詳しく紹介していきます。

(プロフィール)
さくら事務所会長・長嶋修さん

不動産コンサルタント。国交省・経産省などの委員歴任。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。『100年マンション』『不動産格差』(日経新聞出版)など、著書・マスコミ掲載やテレビ出演、講演等実績多数。YouTube:長嶋 修の「不動産経済の展開を読む」は登録者数約5万人。

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