連載:これで解決!マンション暮らしのトラブル

マンションの「雨漏り」を解決したい!

2020.10.02
マンションの「雨漏り」を解決したい!

マンションでよくある困った問題をテーマにその解決方法を紹介していくこの連載、今回は「雨漏り」にスポットをあてて解説します。マンションの雨漏りは「少量だしまだ大丈夫……」と放っておくと、被害が広がってしまう可能性があります。修理コストを抑えるためにも、被害が小さいうちに対処したいところ。この記事では、自分でできる応急処置や事前対策はもちろん、信頼できる業者の選び方についても紹介していきます。

修理の前に自分でできる応急処置を!

天井や外壁から侵入してきた雨水は、内部の鉄筋コンクリートや鉄骨を伝わって部屋へと浸水してきます。その過程で水分に弱い鉄骨や鉄筋が錆びてしまい、マンション自体の強度が低下してしまう恐れもあるので、放置は厳禁です。

また雨漏りによる湿気の増加でカビが発生しやすくなり、アレルギーや喘息など、健康への影響が出る可能性も。「少し湿るくらいだし……」と後回しにしている間にも、被害は大きくなり結果的に修理費用も増えてしまいます。健康管理と同じように、原因の早期発見・早期解決が重要といえます。

となると、さっそく業者に修理を依頼したいところですが、業者の選定や原因の調査など「今すぐに」というわけにはいかない場合もあります。そのため修理が行われるまでの間、自分ができる範囲で応急処置を施しておくのが賢明です。

原始的な方法ですが、例えば天井からの雨漏りに対しては必ずバケツを下に置いておくこと。さらにバケツの下にレジャーシートを敷き、その上に新聞紙や雑巾を置いて水はねによる水分を吸収することで、室内の湿気の増加を軽減できるでしょう。

また屋上などに関しては、広範囲にブルーシートを被せたうえで、風に飛ばされないように砂利を詰めた袋を置いておきたいところ。こういった方法で、雨漏りによる被害を可能な限り抑えておくと安心です。

なお、雨漏りの事前対策や応急処置については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ確認してみてください。

信頼できる業者の選び方

いざ、業者に修理を依頼するにあたって「たくさんあってどこを選べばいいかわからない」という方も多いでしょう。そのため、ここからは業者選びのポイントを解説していきます。

まず前提として、雨漏り修繕は建物工事のなかでも比較的難易度の高い工事と言われています。そのため費用が安ければ良いというものでもなく、多少コストがかかっても可能な限り実績のある業者に依頼をしたいところです。

また業者への見積もりは、できれば3~4社に依頼すると安心です。比較することによって、適正な価格の目安も見えてくるでしょう。

以上を踏まえて、業者選びのポイントを3つにまとめてみました。

【ポイント1】「雨漏り診断士」の有無で選ぶ

依頼を検討している業者に「雨漏り診断士」の資格保有者が在籍しているかどうかは、一つの判断基準となるでしょう。

そもそも雨漏り診断士とは、雨漏りの原因や修理に関する知識を有していることを証明する民間資格。複雑な雨漏りの原因究明に精通した人間であることを証明する資格ですので、保有者が在籍している業者は、その分信頼できるといえそうです。

雨漏りは、原因を深く調査しないまま修理を行ってしまうと、一時的には防ぐことができても、その後再発してしまう可能性も考えられます。そのため現地での原因調査を専門的な視点で行ってくれるのが、雨漏り診断士といえるでしょう。

なお、雨漏り診断士については以下の記事でも解説しています。

【ポイント2】質問への回答で判断する

業者に依頼する際に、こちらからいくつか質問をしてみるのもポイントです。

例えば「台風の日から雨漏りしているんだけど、何か補償はないか?」「施工から10年も経っていないのに雨漏りが発生して……」といった質問や状況説明を投げかけてみましょう。そのうえで、「火災保険」や「住宅瑕疵担保責任保険」の適用で修理費用を補えるといった内容を提案してくる業者は、信頼できるといえます。

ちなみに「住宅瑕疵担保責任」というのは、購入から10年以内であれば建築会社などの住宅の売主が、主要構造部の欠陥や雨漏りの修理費用について保証をするという責任です。

【ポイント3】アフターケアが充実した業者を選ぶ

雨漏りの原因は複雑なため、1度の工事で対処しきれない場合もあります。例えば現時点での劣化箇所は補修できたが、その後に別の箇所から水の侵入経路が発生して、再び同じ雨漏りが発生してしまうといったケースも。

そのため作業費が少し高くても、アフターケアやある程度の修理保証の設定などがある業者の方が、長い目で見ると経済的であるといえそうです。

雨漏りの修理は火災保険で補えることもある!

火災保険といえば、火事による損害を補償するイメージが強いかと思います。しかし実は、その保障対象に雨漏り被害も含まれていることはご存知でしょうか。台風や大雨など、自然災害が原因の雨漏り修理は、火災保険で補える可能性があります。

ただし、経年劣化が原因の雨漏りに関しては例外とされるケースがほとんどです。また台風によって発生した雨漏りでも、経年劣化を放置していたことが原因として考えられる場合は、保険金を受け取れないケースもあるようです。

そのほか、保険の種類によっては水濡れによる損害が補償対象外となっている可能性もあります。自分や管理組合で加入している火災保険の補償内容を一度チェックしてみましょう。

事前にできる雨漏り対策も忘れずに!

雨漏りの事前対策としては、コーキング(シーリング)補修があげられます。コーキングとは、外壁材の隙間を埋める作業。マンションでは、特に外壁塗装の際の工程に含まれています。ひび割れ箇所にコーキング剤を注入することで、雨漏りの原因になりやすい外壁の隙間を塞ぐことが可能です。

ホームセンターでコーキング材を購入して、自分で行うこともできます。ただ塗りムラなどによってコーキング材が持つ本来の機能を十分に活かすことができない可能性もあるため、不安な人は専門業者にお任せしたほうが安心といえそうです。

また雨漏り防止スプレーを使えば、プロの手を借りることなく素人でも簡単に雨漏り対策ができます。こちらもコーキング材と同じくホームセンターなどで購入可能。外壁の小さな亀裂などを塞いでくれるのはもちろん、防水効果だけでなく外壁の劣化を食い止める効果もあります。

使用するときのポイントは、スプレーする箇所の汚れを拭き取っておくこと。この作業を経ることで、効果が持続しやすいといわれます。乾燥するまでに約1日程度かかるため、天気予報でしばらく晴れが続きそうか確認してから実施しましょう。

以上、今回は雨漏りが発生した場合の応急処置の方法や、信頼できる業者の選び方を中心に紹介してきました。

次回、5回目となる連載は「引っ越し」をテーマに、ご近所への挨拶のタイミングや手土産の相場などについて解説していきます!

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【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル

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