修繕委員会でトラブルになる原因とは? 回避するポイントも解説
修繕委員会とは、マンションの住民を中心に有志のメンバーを募って組織される専門委員会です。
マンション管理業務のなかでも重要度の高い大規模修繕では、計画を進めるうえでさまざまな意見が出てくるでしょう。結論が出なかったり、他の住民からのクレームになったりといったトラブルが起きてしまう可能性もあります。
大規模修繕をスムーズに進行するために組織する修繕委員会ですから、トラブルは事前に防ぎたいところ。
そこで今回は、トラブルの原因と回避のポイントを解説します。
トラブルが起きる4つの原因と回避のポイント
【原因1】総会の承認を得ていない
マンション標準規約第55条によると、原則として理事会の承認があれば修繕委員会の発足は可能です。
ただし、下記の場合には総会での決議が必要となります。
・専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合
・理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合
・運営細則の制定が必要な場合
実際に委員会が始動してから経費がかかったり細則が必要になったりするとなると、当然決議が必要になります。
また、規約上は決議が必要ない場合であっても、住民の知らないところで大規模修繕の計画を進めてしまうとクレームの元になります。
トラブルを防ぐためには、はじめから総会で決議をしておくのが無難といえるでしょう。
【原因2】委員会の独断で計画を進めてしまう
修繕委員会が独断専行で計画や業者を決めてしまうと、理事会の方針や住民の意見と衝突し、トラブルに発展する恐れがあります。
先に述べたとおり、修繕委員会は理事会の諮問機関として組織されます。つまり、委員会は理事会に意見を述べる立場であり、決定権は理事会にあるのです。
委員会と理事会で意見が割れてしまったときには、決定権のある理事会の方針に従うよう認識しておく必要があります。
【原因3】情報を共有できていない
大規模修繕は、実際に工事を行う期間だけでも数ヵ月にわたります。ときにはベランダや共用部分の利用に不便が生じることもあるでしょう。
そんな時、工事がいつまで続くのか、今は何の工事をしているかがわからないと、住民の不安や不満が溜まってしまう可能性があります。
住民にとって、大規模修繕に向けて積み立てている費用の用途は気になるところです。住民への説明会の開催や掲示板を利用したこまめな状況報告を行い、情報共有をしましょう。
【原因4】理事会との連携不足
マンションの管理・運営業務は大規模修繕工事だけではありません。
修繕委員会だけで施工業者やスケジュールを決定してしまうと、他の業務の期間や費用との兼ね合いでスムーズに進行できない可能性もあります。
これまで述べてきた通り、そもそも修繕委員会は理事会の諮問機関です。委員会の案が可決されないかもしれません。
だからこそ、方向性の食い違いを未然に防ぐため、理事会とは普段から良好な関係を築き、お互いの方針を知っておく必要があります。過去に起きたトラブルも共有できると、よりスムーズに委員会を運営できるでしょう。
理事会と密に連絡を取る一つの方法として、理事の一人に修繕委員会のメンバーになってもらうのも効果的です。
トラブルを回避するには情報共有が不可欠
修繕委員会を運営するうえで、情報共有や連携が足りていないと、住民からクレームが来たり理事会と意見の衝突が生じたりといったトラブルに繋がります。
トラブルが起きてしまうと、当初計画していた工事ができなくなる、または遅れてしまう可能性もあります。
スムーズに大規模修繕を遂行するためには、住民や理事会にはこまめに情報共有を行って良好な関係を築き、協力し合える体制を整えたいですね。