大規模修繕

マンションの下地補修工事とは? 工法の種類や平均単価を紹介!

2021.03.20
マンションの下地補修工事とは? 工法の種類や平均単価を紹介!

ほとんどのマンションの大規模修繕で実施される、外壁塗装工事。このとき工事の仕上がりを左右する重要な工程が、塗装前に行うコンクリートやモルタルの下地補修工事です。そこで今回は、下地補修工事の種類や費用などについて解説していきます。

そもそも下地補修工事とは?

下地補修工事とは、塗装前にコンクリートやモルタルの亀裂や傷などを補修する工事です。下地をしっかり整えてから塗装することで、美しい仕上がりになり、塗膜も長持ちすると言われています。

コンクリートのひび割れやモルタルの浮きなどを放置したままだと、いくら丁寧に塗装してもまたすぐにひび割れが再発したり、塗膜が剥がれてきたりします。目立たない作業ではありますが、工事全体の仕上がりに影響を与える重要な工程なのです。

下地補修工事が必要な劣化症状例

では、どのような状態だと下地補修工事が必要になるのでしょうか。

実際の大規模修繕では外壁の調査を行って補修が必要な箇所を判断しますが、今回は代表的な4つの劣化症状について特徴や原因を解説します。

【劣化症状1】ひび割れ(クラック)

クラック

コンクリートやモルタルでできたマンションの外壁に、ひび割れはつきもの。地震の揺れや地盤沈下などでできることもあれば、気温変化で膨張と収縮を繰り返してできることもあります。クラックをそのままにしておくと、割れ目から雨水などが侵入して建物内部にもダメージを与えることもあるため、補修が欠かせません。

幅0.3mm以上、深さ5mm以上のひび割れは「構造クラック」、それより小さなひび割れは「ヘアクラック」と呼ばれます。なお構造クラックは建物全体にダメージが出る可能性も高いため、早期の補修が必要です。ヘアクラックは建物へすぐ影響が出るわけではありませんが、そのままにしておくと症状が進行するため、シーリングやフィラーといった材料で埋めて補修します。

【劣化症状2】モルタルの浮き

マンションでは躯体コンクリートの凹凸を調整するため、塗装やタイルの下に下地調整材のモルタルが塗られています。そのため建物が地震などの力を受けたり、クラックから水分が侵入したりすると、そのモルタルが浮いてくることがあります。

モルタルの浮きは見た目ではわからないことが多いので、テストハンマーや打診棒などを使って打音の違いを聞き分けて診断します。浮いたままにしていると、モルタルごと剥がれ落ちる可能性があるので補修が必要です。

【劣化症状3】鉄筋の爆裂

クラックから雨水などが浸入すると、コンクリート内部の鉄筋にサビが発生することがあります。サビによって鉄筋の体積が膨張すると、コンクリートを押し出してボロボロになったり、鉄筋が露出したりすることも。この現象を「爆裂」といいます。

鉄筋の爆裂を放置すると、コンクリートが剥がれ落ちたり、建物全体の強度が下がったりする可能性があります。再度爆裂が発生しないよう、サビ止め塗料などを使いながら慎重に補修を行わなければなりません。

【劣化症状4】コンクリートの欠損

外壁コンクリートが欠けた状態もよく見られます。原因はさまざまで、先述したクラックや爆裂が影響していることもあれば、地震などの強い外力を受けて欠けてしまうケースもあります。弱くなったコンクリート部分を除去し、モルタルなどで成形する補修が必要です。

下地補修工事の種類と施工単価

下地補修工事には、症状に合わせたさまざまな工法があります。代表的な工法と、その施工単価の目安を見ていきましょう。

【工法1】フィラー処理工法

0.3mm未満の微細なヘアクラックに採用されることの多い工法です。ひび割れ部分にペースト状のポリマーセメントモルタルなどを擦り込んで、ひびを埋めていきます。

施工単価の目安:300円~400円/m程度

【工法2】エポキシ樹脂低圧注入工法

フィラー処理工法で対応できない、0.3mm以上の大き目のクラックに対してよく使われるのが「エポキシ樹脂低圧注入工法」です。ひび割れ内部にエポキシ樹脂とよばれる補修材を注入して埋めるという工法です。

施工単価の目安:3,500円/m程度

【工法3】Uカットシーリング工法

1.0mm以上を目安とする大きなクラックには「Uカットシーリング工法」がよく採用されます。ひび割れ部分をU型にカットし、シーリング材を充填するという工法です。シーリング材の上からポリマーセメントモルタルなどを充填して、表面を滑らかに仕上げます。

施工単価の目安:2,000円~2,500円/m程度

【工法4】エポキシ樹脂アンカーピンニング工法

モルタルの浮きがある場合は「エポキシ樹脂アンカーピンニング工法」を採用することが多いです。浮いた部分にドリルで穴をあけて、すき間を埋めるように接着剤のようなエポキシ樹脂を注入。ステンレス製のピンを穴に挿して建物に固定し、コンクリートが落下してくるのを防ぎます。

施工単価の目安:部分補修で300円~500円/穴
        全面補修で5,000円~8,000円/㎡

【工法5】モルタル充填工法

鉄筋爆裂やクラックなどで欠損した部分には「モルタル充填工法」が採用されます。欠損部分が浅ければ、通常のセメントにポリマーを配合して強度を高めた「ポリマーセメントモルタル」でも可能です。鉄筋が露出するような大きい爆裂には、軽量で厚塗り施工できる「エポキシ樹脂モルタル」が適しています。

施工単価の目安:1,200円~3,000円/箇所(欠損の大きさによって異なる)

劣化症状に合わせた下地補修工事を

外壁調査

下地面の劣化を放置すると、建物の耐久性の維持が難しくなります。また工事全体の仕上がりにも影響を与えるため、大規模修繕では必ずといっていいほど、下地補修工事が行われます。

マンションの外壁ではひび割れ・浮き・爆裂・欠損などの劣化症状が代表的で、症状に合わせて適切な補修方法を選択しましょう。

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